第6回  『ワカラナイことは、音楽家がしっている。』vol.2 “それは、自然でピュアな音楽”[公演情報]
ハイドン没後 200年記念 ハイドン・イヤー最大級のプロジェクト!! 新日本フィルハーモニー交響楽団 フランス・ブリュッヘン・プロデュース  “ハイドン・プロジェクト”ロンドン・セット全曲演奏会

新日本フィルハーモニー交響楽団 フランス・ブリュッヘン・プロデュース “ハイドン・プロジェクト”ロンドン・セット全曲演奏会 連載、第6回目、第7回目は崔文洙(チェ・ムンス)に続き、新日本フィル楽団員に聞くシリーズ第2弾です!

音楽のことは、音楽家に聞け!崔文洙(チェ・ムンス)に続くシリーズ第2弾は、 新日本フィル首席ホルン奏者、井手詩朗です。普段はけっこう自他に厳しい井手が、 前回のブリュッヘン指揮・定期演奏会のあと、舞台裏で「人生でベスト3に入る幸せなベートーヴェンだった」と とろけているのを目撃!! ブリュッヘンの魅力って一体何?どうしてもその秘密が知りたい!ということで、 ここはやっぱり本人にきいてみました。前編・後編の2回連載でお送りします。

―まずは井手さん、おしえてください。ブリュッヘンは、何がすごいのでしょう?

深い感銘、深い信頼。
「ブリュッヘンの音楽は、自然で、かつ極めてピュア。」

井手:
たとえば、ハイドンとか古典の作曲家の作品はもしかしたら、指揮者なしでもうまくいくかもしれない。 オーケストラがすでに持っている経験と感性があるから、それを以て演奏すれば成立するんです。 でも、ブリュッヘンのすごいところは、彼が振ると自分たちが考えているよりもより自然な演奏になること。 リハーサルが進行する中で、ブリュッヘンが様々な指示をする、そしてまわりでできていく音を聴いていると、 どんどん余計なものが削がれてよりピュアになっていくのがわかるんです。音楽を「作っている」、でも自然、 そこがすごい。もともと彼は管楽器奏者だから、“ブレス”という感覚がわかるんでしょうね。 彼の指先を見てもわからない、でもその体の動き、全体の雰囲気を見ていると、よくわかる。 あの指揮は、呼吸から生まれてくるものなんだろうと思います。 それから、彼はすごく強い目をもっていて、吸い込まれそうになる。といっても怖いタイプの人ではなくて、 そう、まさにこの写真の通り(下記参照)。本当にいい瞬間をとらえているね。 この手を伸ばしているのなんて、まさにブリュッヘンそのもの。



―ブリュッヘンを表現して「図書館」みたいな人だと言っている楽員さんもいました。 どんな質問をしても、必ず答えがかえってくると。

井手:
この不思議さは、リハーサルを見なければわからない、見ればわかる。 だから、今回はチケットを買った人には公開リハーサルがついているでしょう、 とてもいいと思います。「不思議」がどんな感じなのか、わかると思いますよ。 僕はいまから、このハイドン・プロジェクトが始まるのが本当に楽しみなんです。 もともと古典が大好きだから、過去のハイドンの交響曲全曲演奏 (注:1988年〜1991年にカザルスホールで新日本フィルが全曲演奏した)も チャンスがあればもう一度やってみたいくらいだけど。今回は同じ指揮者でできるので、 ますます期待しています。

「これまで会ったことのない、個性的な指揮者。」

井手:
ブリュッヘンの指揮、というのは、ただのバトン・テクニックに重きがおかれているのではなくて、 その独特さなんです。彼は、少なくとも僕が今までに知っている指揮者の中で同じような指揮者はいない、 とても個性的な指揮者。これだけ積み重ねてきた結果がこうなのか、それとも最初からこうなのか、 聞いてみたい(笑)。本当に、素晴らしい音楽家ですよ。昔、千葉先生(=故・ホルン千葉馨氏)が 言ってたのを思い出します。学生の頃、僕が技巧的な練習ばっかりしているのをみて、 「おまえ、それじゃあ『上手いホルン吹き』にはなれても『いい音楽家』にはなれないぞ」と言ったの。 ブリュッヘンはまさにそう。つまり、彼はどんなに難しい変拍子や現代曲でも絶対に間違わないような 職人的な指揮者ではないけれど、間違いなく素晴らしい音楽家ですよ。この時代で、この人のハイドンを 聴かないのは、本当にもったいない。こんなチャンスはめったにないのに。 今回、自分が演奏する立場にあることが幸せ―そう思わせてくれる指揮者です。ブリュッヘンの音楽は、 これから先に絶対残さなければならない、未来につなげなければならないもの。 ああ、ハイドンの時代の演奏ってきっとこんな感じだったんだろうな、と聴いて感じるはずです。



<次回は「後編」 お楽しみに!!>


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2009-01-14 19:03 この記事だけ表示
 
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