連載大特集 第2回 ハイティンク&シカゴ交響楽団 シカゴ交響楽団について[公演情報]


Hello Chicago !
最近では「シカゴ」といえば、第44代アメリカ大統領に就任したオバマ大統領の出身地ということですっかり名高くなってしまいましたが、シカゴはもともと全米最高のシカゴ交響楽団と大リーグのシカゴ・カブスを有することでも知られる、アメリカ有数の工業都市として有名です。

「現代最高のオーケストラのひとつ」。
私たちにとっては、シカゴ交響楽団のことを紹介するにはこう言えば充分でしょう。透明な弦楽器、冴え渡る木管楽器、輝かしくパワフルな金管、そしてそれらが濁ることなく均衡を保って響くさまはこの名オーケストラのトレードマーク。あたかもハイビジョンの映像の如き鮮烈で完璧な響きです。彼らは掛け値なし、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管とともに世界の頂点に位置するオーケストラ。 そのことは、実演やCDをずっと聴いてこられた多くのファンの方々には改めて説明するまでもありません。特に「プレーヤーの技量」や単純に「上手さ」でいえば、ベルリン・フィルとシカゴ響こそが世界の双璧ではないでしょうか?

さて、ライナー、ショルティ、バレンボイムと大指揮者に率いられてきたシカゴ響、今回は今年80歳を迎える巨匠中の巨匠ベルナルト・ハイティンクに率いられての来日ですが、1996年以来このコンビとなってから、どのような演奏を聴かせてくれているのでしょうか? 昨年、ロンドンの夏の風物詩ともいえる音楽祭、「プロムス」に出演した時の批評を見ますと、 (今回の来日公演でも披露する、マーラー「第6交響曲」を演奏しています)

歯切れが良く、気骨があり、容赦ないまでの説得力をもつハイティンクのマーラーの中にある恐らく最も印象的な要素は、鋭く激しい感情であろう。第1楽章でカウベルが鳴り響く中、優美に漂いながら長調へと移る様は、悲しくはかない白昼夢であることを承知の上でもなお、非常に美しい。ハイティンクは優しく、巧みに、アンダンテ(第3楽章)の哀愁を引き出し、シカゴ響の木管と弦がそれに名演で応え、そのピュアなはかなさによって、この作品の暗黒のクライマックスである熾烈な結末が強調された。延々と続いた聴衆の盛大な拍手も当然のことと納得できる演奏であった。
ニール・フィッシャー    2008年9月(ザ・タイムズ紙)


ハイティンクの巧みなマーラーの表現とシカゴ響の優れたテクニックによって、まさにシーズンを飾る演奏となった。 マーラーの6番のような長大な交響曲を、一貫性をもたせながら、それでいて非常に多彩な作品に表現する秘訣があるとしたら、それは多分彼が積み上げてきた長年にわたるロジックと、彼の音楽的見地の熟練したセンスの中にあるのだろう。この演奏の感情の核は緩徐楽章にあり、甘美な弦と繊細な木管が、静寂のオアシスを作り出している。 ハイティンクの感性とコントロールが完璧に作品の雰囲気を作り出し、厳格な足取りのスケルツォから牧歌的な間奏、そしてスリリングで背筋がぞっとするようなフィナーレへと、自然な流れを生み出した。非常に明確な定義による演奏だ。しかし、それにも増して、稀に見る洞察力と理性、力をもったマーラリアン音楽の魂を切り拓く演奏だった。
ジェフリー・ノリス  2008年9月(ザ・テレグラフ紙)


ゆっくりとした第3楽章のハイティンクのまとめ方は荘厳で、盛りだくさんのフィナーレを明快な道筋で辿り、破滅的な終末に至るまで、オーケストラの厖大な腕力を最大限の制御を利かせて自由に使いこなした。
アンドリュー・クレメンツ  2008年9月(ザ・ガーディアン紙)


おおっ、各紙とも絶賛を惜しみませんね。
この評を読むと、ハイティンクがシカゴ響の“性能”の高さを最大限生かし、なおかつ彼ならではの品格ある構成感、抑制を利かせて曲そのもののキャラクター、美点を生かす指揮をしていることがわかります。 このマーラー、そして今回の来日公演で演奏されるブルックナーやR.シュトラウスといった、ドイツ・ロマン派の長大で複雑な構造をもった大曲や、ハイドン、モーツァルトといった美しい古典は、このコンビならではの精緻なアンサンブルと高度に達成された音楽性、そしてしっかりと筋の通った構成によって曲の魅力、奥深さが普段よりも輝かしく私たちの前に現れるのではないでしょうか? そもそもこれらの曲は元々、このオーケストラが伝統的に得意としてきたものだけに本当に楽しみです。これまでの来日公演でも何回か取り上げられてきた曲たちでもあります。

そういえば、来日公演といえば、シカゴ響はこれだけのオーケストラにも関わらず、 ウィーン・フィルやベルリン・フィルに比べて来日回数が少ないことも目を引きます。 (前回紹介したハイティンクと同じですね。) 1977年(ショルティ指揮)、1986年(ショルティ/バレンボイム)、1990年(ショルティ/バレンボイム)、1995年(バレンボイム/ブーレーズ)、2003年(バレンボイム)の5回だけですから、今回で6回目の来日ということになります。



ところで、シカゴ響の本拠での活動に目を移してみましょう。 最近のコンサート(特に定期公演)をひもといてみますと、今年に入り、

1月上旬・・・現在話題沸騰のグスターボ・ドゥダメルが登場、ブラームス「第2交響曲」などを指揮
特別コンサートでは次期音楽監督に決定しているリッカルド・ムーティによるヴェルディ「レクイエム」、
1月下旬・・・エサ=ペッカ・サロネンがお得意の、ドビュッシーやバルトークなどの20世紀音楽を指揮
2月・・・ピエール・ブーレーズ
3月・・・ダニエレ・ガッティ、セミヨン・ビシュコフ
4月・・・ピンカス・ズーカーマンがJ.S.バッハの協奏曲などを弾き振り
5月・・・ベルナルト・ハイティンクが5公演以上を指揮。(ブルックナー「第8交響曲」、ブラームス「第1交響曲」、シューベルト「第9交響曲」、ショスタコーヴィチ「第15交響曲」など堂々たる大曲群を披露)
ほかにオスモ・ヴァンスカ指揮による得意のシベリウス
6月・・・マーク・エルダーが4回に分けたオール・ドヴォルザーク・プロを指揮

など、若手からベテラン、巨匠まで錚々たる名指揮者が登場します。 またこのコンサートに出演する共演ソリストもエレーヌ・グリモー、ジャン=イヴ・ティボーデ、ニコライ・ズナイダー、ヨーヨー・マなど実に多彩で、最高峰のオーケストラならではのラインナップを組んでいます。

特集ブログ、今回はこのくらいに致しましょう。 さあ、天下無双のシカゴ交響楽団のコンサートにいらっしゃいませんか?


チケットお申し込みはこちらまで
2月1日(日)4時 サントリーホール
2月3日(火)7時 サントリーホール
2月4日(水)7時 サントリーホール



2009-01-27 16:37 この記事だけ表示
 
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