パーヴォ・ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団【生誕200年記念】シューマン交響曲全曲演奏会![公演情報]

ショパン生誕200年、マーラー生誕150周年、そしてシューマン生誕200周年という記念イヤーで盛り上がりをみせる今年のクラシック音楽界。GWに「ラ・フォル・ジュルネ」で大々的に特集されたショパンや、現代のオーケストラ音楽として大人気のマーラーの影に隠れてしまっている感もなくはないシューマンだが、その音楽の魅力は決して劣るものではない。その「シューマン・イヤー」の掉尾を飾るにふさわしい、注目すべき演奏会が開かれる。躍進著しいパーヴォ・ヤルヴィとドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団によるシューマン交響曲全曲演奏会は、今年その実現が待ち遠しい、筆頭の演奏会だ。


 ドイツ・ロマン主義を最大限に花開かせた作曲家シューマンの書いた交響曲は4曲。そのどれもが名曲だ。にもかかわらず、残念ながら、不当にも評価が低い。それはなぜか?本来、名曲であるはずの音楽が、“正しく演奏されてこなかった”からに他ならない。作品の内に秘める「狂気」と、あまりにも「人間的」な両側面をもつシューマンの交響曲は、演奏者がシューマンと同化することができてはじめて、本来あるべき姿を表現できる。だから、シューマンを心から愛していなければ、その作品を名曲としてわかってもらえるような演奏がなかなかできない。つまり、名演となるのが難しいのだ。しかし、ようやくシューマンの真の姿に触れられる機会がやってこようとしている。
 指揮をとるパーヴォ・ヤルヴィは、まだ40代後半、指揮者としては中堅に位置するが、それでも、ドイツ・カンマーフィル、シンシナティ交響楽団の音楽監督を務め、今年からはパリ管弦楽団の音楽監督も務めるなど、いま最も忙しい指揮者のひとり。なかでも、ドイツ・カンマーフィルとの相性は抜群で、10年がかりのプロジェクトとなった「ベートーヴェン交響曲全曲演奏」は、2006年日本でも披露され、原典に忠実に細部をえぐり出すその演奏は、それまでのベートーヴェン解釈に再考を促すものとして大反響を巻き起こした。そして、ベートーヴェン・プロジェクトをうけ、パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーが新たに取り組んでいるプロジェクトが「シューマン交響曲全曲演奏」だ。

 ベートーヴェン同様、多くの時間を費やし用意周到に準備されてきたプロジェクトだけあって、すでに披露された海外の演奏会では、指揮者だけでなくオーケストラのメンバー全員にシューマンの魂が乗り移ったかのような、まるで火を噴くような推進力と爆発力を伴った予測不可能な演奏で、聴衆を興奮させたという。
 今年没後20年を迎えた指揮者・作曲家のバーンスタインを敬愛してやまないというパーヴォだが、想えば、バーンスタイン最後の来日演奏となった1990年、死を目前に、バーンスタインがそれこそ死力を尽くしてPMFオーケストラを指揮した作品がシューマンの交響曲第2番だった。いまでも、あの、超絶的名演を生んだバーンスタインの指揮姿が脳裏を過ぎるが、バーンスタインの「最後のメッセージ」はきっと、パーヴォにも届いていることだろう。
 演奏される機会が少ないけれども名曲中の名曲と言えるだろう第2番をはじめ、ドイツ・カンマーフィルによる「シューマン交響曲全曲演奏」は、私たちに天才シューマンの新たな魅力を再発見させてくれるに違いない。




2010-08-17 20:01 この記事だけ表示
 
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