〜すみだトリフォニーホール&新日本フィル共同企画〜
フランス・ブリュッヘン指揮 ベートーヴェン交響曲全曲演奏会[公演情報]

やっぱりベートーヴェンは凄かった!! 

ショパン、シューマン、マーラー・イヤーの今年、だからこそ原点回帰の表れなのか? なんだか最近ベートーヴェンがとっても熱いのだ。今年から来年にかけ、新日本フィル、東京シティ・フィル、紀尾井シンフォニエッタ、岩城宏之メモリアル・オケがベートーヴェン交響曲全曲演奏を行い、NHK音楽祭は「偉大なる三大B」と題し、ベートーベンを取り上げる。なかでも、古楽界の巨匠フランス・ブリュッヘンが新日本フィルと挑む演奏会は、練習から本番まで、およそ一ヶ月以上を指揮者と楽団員がともに過ごしベートーヴェンに没頭するという、入魂のプロジェクトだ。


いつの時代も革命を起こすのは新日本フィル

 今年3月に惜しまれつつも閉館してしまった日本初の室内楽専用ホール「カザルスホール」で、かつて新日本フィルは、4年間にわたり100曲を超えるハイドンの交響曲全曲演奏会を行った。いまなお語り草となっているその画期的なプロジェクトから20年、2009年のハイドン・イヤーには、ブリュッヘンとの「ハイドン・プロジェクト」で聴衆を熱狂させ、今度は「ベートーヴェン・プロジェクト」で聴衆を歓喜の渦に巻き込む。

 クラシック音楽は「再現芸術」だ。作品を演奏するとき、現代の作品をのぞき、そこに作曲家はもういない。あるのは楽譜だけ。楽譜を手がかりに、そこから、作曲家の意図をくみ取り、楽譜という記号からインスピレーションをうけ、自身の音楽感とあわせてそれを表現する。だから、いろんな演奏があっていいと思う。いや、むしろ、そういったいろいろな演奏に触れることができるのが、クラシック音楽の醍醐味だ。
 一方、楽譜の校閲に始まり、作曲家がどのように考え作曲したのかを徹底的に追求し、作曲当時の演奏方法を用い、作品初演時の感動を再現するのもひとつの方法だ。
 ブリュッヘンの目指すところは、作曲当時の演奏方法とオリジナル楽器(古楽器)を用いたオーケストラでの「作品初演時の感動の再現」だった。私財を投じて結成した「18世紀オーケストラ」とのベートーヴェン演奏は、それまでのベートーヴェン解釈に一石を投じるものとして注目を集めた。ハイドン〜モーツァルトというクラシックの伝統の上に革命をもたらしたベートーヴェンを現代に甦らせ、再度革命を引き起こしたのが、他ならぬブリュッヘンなのだ。


およそ一ヶ月以上におよぶスパルタ練習

 厳しい練習で有名なブリュッヘンは、年明け早々、1月中旬には来日し、2月8日の初日まで、徹底的に新日本フィルを鍛え上げる。特筆すべきは、通常ならコンサートの直前2、3日にリハーサルをするのが一般的なところ、ブリュッヘンの指示により、演奏順とは逆に、9番からはじめて1番へと練習するということ。ベートーヴェンをより深く知るためだという。その間、半月以上にも及ぶ。そして、本番前にはもう一度、当日に向けたリハーサルを1番から演奏順に重ねる。
 こうして入念に準備された演奏会だ。真の音楽家であれば、折々に聴衆に何かを発見させてくれる。好き嫌いは分かれるかもしれない。けれども、まずは巨匠が到達した境地に耳を傾けてみようではないか。きっと何か発見があるはずだ。そうでなければ彼は真の音楽家ではない、ということになる。そんなはずはない。ともかく、クラシック音楽ファンにはぜひ聴いてほしいプロジェクトなのだ。

 音楽家自らのコメントを前に、筆者の文章などかすんでしまう。このあとはインタビューを見てほしい。

(文:唯野正彦)


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2010-09-07 17:24 この記事だけ表示
 
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