オケプラスOPEN記念!在京オーケストラ座談会 その1 〜現代作品の紹介には、確かな吟味と積み重ねの努力が必要〜[公演情報]

◆現代作品の紹介には、確かな吟味と積み重ねの努力が必要

司会(唯野): 都響さんの現代の作曲家シリーズは長く続いているものですが、それ以外でも、新作が取り上げられる機会が最近多いように感じます。東京フィルさんが1月に望月さんの新曲を披露しますが、新日本フィルさんも9月に望月さんをとり上げて、読響さんは1月に池辺さん。現代音楽に対しての聴衆の反応ですとか、実際現場にいらっしゃって、そのあたりはどうお感じですか?


福地(都響): 《日本管弦楽の名曲とその源流》 シリーズの以前から、都響は毎年1月の定期で現代日本の管弦楽作品を取り上げてきた実績があり、他にもサントリー芸術財団の「作曲家の個展」やCD録音などで現代作曲家の作品を数多く演奏してまいりました。古くからのリピーターのお客様の中には、数多くの日本初演を聴いてきたというような、かつての現代音楽フリークのような方までいらっしゃいます。

 都響は、第3代音楽監督だった若杉先生時代の非常にチャレンジングなプログラムを、お客さんがそのまま引き継いできていて、新しいものに対する警戒感が案外少ない部分もあるように思います。聴衆は時間をかけて、良さも分かってくる。1月の公演も、少しずつですがお客さんも増えてきていますので、継続的に取り上げている意味も理解されてきているのかもしれません。またこのシリーズでは、作曲家の別宮貞雄先生にプロデュースをお願いすることで、客観的にも意義深い企画になったと思っています。

 それぞれの楽団さんが工夫されて、普通のプログラムに1曲だけ現代物入れたり、組み合わせを工夫されていますよね。最初は警戒感があったりすると思いますし、もう懲り懲りだと思って二度と来ないという心配もあり、多少苦労すると思うのですが、うまくそういうのを育てていけばという気持ちはあります。


安江(新日本フィル): クリスティアンと話していて「へぇ〜」と思うのは、かれは「初演」というものを気にするんですね。日本で初演なのかどうかとか。ヨーロッパでは初演や新しいものへの興味が日本よりも強くて、音楽監督が期待するような盛りあがり方が日本で見られないというのは、残念だと思っている節はありますね。

 彼が就任してからずっと積極的に、海外で喜ばれているいい作品、彼自身もそう思っている作品を紹介し続けてきましたが、もちろん、われわれ制作側もその作品をやるかやらないか、相当吟味します。

 以前は聴く前に「げっ・・・」という感じもなきにしもあらずだったのですが、聴衆の現代音楽に対する興味は以前よりも高くなっているように感じます。いまは「この曲はよかったね」とか、お客様が自然と会話できるような雰囲気が感じられるようになった。そういう意味ではお客様も楽しめるようになってきたのかなという気はします。

 私の考えですが、積み上げて、そういう信用を勝ち得るしかない。現代音楽をやりますとは言ってなくて、テーマを決めてプログラミングする、としか言ってなかったのですが、その中に自ずと現代物が入ってくる。時代差としては300年以上もある、ということや組み合わせのおもしろさを伝えていたわけですが、いい現代音楽も悪い現代音楽もある中、いい現代音楽の打率を高めるというか、「このオーケストラのとり上げている現代音楽はいいだろう」、という信用をどう勝ち取るかということに尽きる。

 音楽は文字で伝えることが難しいですが、それでも文字で伝えなきゃいけないことがあるとなれば、違う切り口で攻めてみる。例えば、作品の背景、こういう哲学が後ろに流れている、こういう歴史的な事象がある、といった部分から紹介したり、クリスティアンがプレ・トークをやっていますので、実際の音をまじえつつ、あまり分析的になりすぎず、音楽を楽しむ醍醐味の部分を教えたり、楽しむためのヒントを与えるくらいな感じでやっています。


司会(唯野): 都響さんの「別宮プロデュース」では、作曲家の権代敦彦さん、西村朗さんのプレ・トークもありますね。そちらも楽しみです。


大久保(読響): 定期会員になってシリーズを聴くなかで、毎回入れるのはきついですが、たまに一つ二つチャレンジングな曲目をやったり、知られていない現代曲があるという方がお客様にも違った楽しみ方をしていただけるので、トータルとしてオーケストラを愛してもらうためにはいいのかなあと。カンブルランが常任指揮者に就任したことでもっと現代物をやってくれと言う声はありますし、もちろん楽団としても、新しい創作物の立場にかかわってくことも必要だと考えますが、一方で一部コアなファンだけが楽しむものにはなってはならないと思います。やはり今はカンブルランを知ってもらうことを含めて、クラシック音楽ファンの底辺を広げてからではないかなとも思います。


法木(読響): ヨーロッパのオーケストラが、この11月、ウィーン・フィル、ロイヤル・コンセルトへボウ管、ロンドン響など、すごい指揮者と来て、超名曲がずらりと並ぶ。外国の伝統あるオーケストラは日本に来るときは名曲をもってくるけれども、本当は彼らも自分たちの国では、われわれと同じような活動をしている。名指揮者もいれば若手も使う、クラシックのマスターピースもやれば、新しい音楽を耕す活動もしている。実は同じことをやっているだけなんです。日本の音楽文化の一員として演奏者もいて、聴衆もいるなかで、その活動としてやっているわけですから、何も特別なことではない、ということを感じていただけたらいいかなと思いますね。


<<これからの演奏会のおすすめ、聴きどころ



2010-11-22 19:22 この記事だけ表示
 
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。