内田光子がハーゲン・クァルテットと織り成す極上のピアノ五重奏[公演情報]

左:内田光子(C)Richard Avedon
右:ハーゲン・クァルテット(C)Harald Hoffmann

 イギリス在住でデイムの称号を持つ世界的ピアニスト、内田光子。昨年はクリーヴランド管弦楽団を弾き振りしたモーツァルト・アルバムがグラミー賞を受賞した。そんな彼女が、人気実力とも現在最高の弦楽四重奏団であるハーゲン・クァルテットと、シューマンとブラームスのピアノ五重奏曲を共演する。また、リサイタルでは、シューベルトの最晩年の三大ソナタを披露。ますます円熟味を増す内田光子の演奏は聴き逃せない。


 今は日本人アーティストが国際的に活躍することが珍しくなくなったが、世界中の音楽ファンが知っている、本当の意味での世界的な音楽家といえば、指揮者の小澤征爾、ヴァイオリニストの五嶋みどり、そして、ピアニストの内田光子の3人に違いない。イギリス在住の内田は、デイムの称号を持ち、今年はクリーヴランド管弦楽団を弾き振りしたモーツァルトのピアノ協奏曲第23番、同第24番でグラミー賞を受賞した。昨年は、カーネギーホールでベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を演奏。また、以前に録音した、モーツァルトのピアノ・ソナタ全集やピアノ協奏曲全集が今も高い評価を受けている。まさに世界が注目するピアニストだ。
 そんな彼女が、現代最高の弦楽四重奏団であるハーゲン・クァルテットと共演し、シューマンとブラームスのピアノ五重奏曲を演奏する。オーストリアのハーゲン兄弟を中心に結成されたハーゲン・クァルテットは、アルバン・ベルク・クァルテット解散後の現在、人気実力ともにトップにいるといえるだろう。ヴィオラのヴェロニカ・ハーゲンやチェロのクレメンス・ハーゲンは、ソリストとしても一流。内田とハーゲン・クァルテットの共演は、日本では初めて。どんな化学反応を起こすか、まさに興味津々だ。
 また、内田はソロ・リサイタルもひらく。今回はシューベルトを中心としたプログラムが演奏される。シューベルトはモーツァルトとともに、内田が最も得意としているレパートリーだ。シューベルトのピアノ・ソナタ第19番(D.958)、同第20番(D.959)、同第21番(D.960)は、3つとも彼の死の年に書かれた、まさに最晩年の作品。時間の流れが止まったような雄大な音楽に死の影が忍び寄る。最晩年といってもまだ30歳を越えたばかりのシューベルトが描く死の影は切なく美しい。円熟味を増した内田がとびきり磨かれた音色でシューベルトの澄んだ心境に迫るに違いない。


(文/山田治生)




2011-05-24 20:00 この記事だけ表示
 
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