ピアニスト特集!アンドリュー・フォン・オーエン、ペーテル・ヤブロンスキー、外山啓介、及川浩治ら、男性ピアニストの魅力に迫る![公演情報]

 近年はどちらかといえば、女性ピアニストの活躍が著しく、男性ピアニストはやや押され気味な状況が続いてきたが、ここにきてのアンドリュー・フォン・オーエン、ペーテル・ヤブロンスキー、外山啓介、及川浩治ら、今が旬ともいえる男性ピアニストの活躍は本当に心強い。今回、彼らは、ピアノ音楽の王道である、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ、リストやショパンの作品で充実の演奏を繰り広げることだろう。オーウェンはラヴェルも楽しみ。ヤブロンスキーは得意のガーシュウィンも披露。外山は一見意外な選曲とも思われるムソルグスキーが興味津々。及川は、十八番のベートーヴェンとショパンのほか、今年が生誕150周年に当たるドビュッシーの作品にも光を当てる。


アンドリュー・フォン・オーエン

 アメリカのピアニスト、アンドリュー・フォン・オーエンは1979年生まれ。17歳でエサ=ペッカ・サロネン指揮ロサンジェルス・フィルと共演して話題となる。その後、コロンビア大学やジュリアード音楽院で学び、アルフレート・ブレンデルやレオン・フライシャーの薫陶を受ける。これまでにフィラデルフィア管弦楽団、サンフランシスコ交響楽団、ロサンジェルス・フィル、セントルイス交響楽団、スロヴァキア・フィルなどの一流オーケストラと共演。2009年のアメリカ独立記念日にはワシントン・ナショナル交響楽団とガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏し、その模様はPBS(アメリカ公共放送)を通じて全米で放送された。CDにはリスト作品集がある。日本でも人気が高く今秋が4度目の来日となる。今回のリサイタルには、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」、第21番「ワルトシュタイン」、ショパンの「舟歌」、「幻想即興曲」、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」、「ラ・ヴァルス」などの名曲が並ぶ。ベートーヴェンやショパンの作品ではオーエンの魅力的な音楽性が示され、「ラ・ヴァルス」では華麗なテクニックが披露される。


ペーテル・ヤブロンスキー

 現代を代表するピアニストの一人であるペーテル・ヤブロンスキーは1971年、スウェーデンに生まれた。5歳でドラムスを、6歳でピアノを始め、10代の頃は、クラシックだけでなくジャズでも活躍していた。その後、ロンドンの王立音楽院で学び、アシュケナージに認められ、彼の指揮によるガーシュウィンのピアノ協奏曲でセンセーショナルなCDデビューを飾った。これまでに、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、フランス国立管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団などの世界の一流オーケストラと共演。
 今秋のリサイタルは、多彩なプログラム。ベートーヴェンの「エリーゼのために」やピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」では、彼の深みを増した演奏を聴くことができるだろう。今年、リスト・アルバムをリリースしたばかりの彼は、そのCDにも収められているバラード2番やハンガリー狂詩曲第15番「ラコッツィー行進曲」を取り上げる。まさに十八番のレパートリーだ。ガーシュウィンやコープランドなどのアメリカ音楽では、彼らしいリズムのキレやジャズで養ったセンスも披露されるに違いない。若くして世界的ピアニストとして活躍してきた彼が、40歳を越え、ますます充実した演奏を繰り広げる。


外山啓介

 外山啓介は、20代にして、すでに4枚のオリジナル・アルバムと1枚のベスト・アルバムをリリースするなど、実力と人気に恵まれたピアニスト。1984年札幌生まれ。2004年、日本音楽コンクールで第1位を獲得。2006年、東京藝術大学を卒業した後、2008年にはドイツ・ハノーファーへ留学した。外山は、毎年、テーマをもってリサイタルに取り組み、デビューした2007年と2010年はショパン、2008年はドビュッシー、ラヴェルなどのフランス音楽、2009年はラフマニノフ、2011年はベートーヴェンの4大ソナタ(「月光」「悲愴」「ワルトシュタイン」「熱情」)を取り上げた。今年のテーマは、「幻想曲」と「展覧会の絵」。リサイタル前半では、モーツァルト、ショパン、リストらの「幻想曲」すなわち「ファンタジー」をどう描き分けるのか、楽しみだ。後半はムソルグスキーの「展覧会の絵」。色彩感に富む、繊細なタッチを特徴とする外山はこれまで、ショパンやフランス音楽のイメージが強かったが、ドイツ留学やベートーヴェンへの取り組みを経て、重厚さや深みも手に入れた。ロシアの鬼才ムソルグスキーの大作でも、作品にふさわしいスケールの大きさとめくるめく多様なドラマが披露されることだろう。


及川浩治

 早くからその才能が注目されてきた及川浩治。女性ピアニストの活躍が著しい日本音楽界において、彼の存在感は常に大きいものであった。1984年に弱冠17歳でヴィオッティ・ヴァルセイジア国際コンクールで第1位、以降数多くの国際コンクールで優勝・入賞を果たし、五嶋みどりとの共演を重ねる。1999年にはショパン没後150年を記念して「ショパンの旅」と題するコンサートツアーを行う。2008年から2011年にかけては、東京と大阪で「10大協奏曲シリーズ」を開催して大成功を収め、充実振りを印象付ける。リサイタルでは、2010年には生誕200周年のショパン、2011年には同じく生誕200周年のリストを取り上げた。そして今年は、ベートーヴェンとショパンの最後のピアノ・ソナタに取り組む。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番は彼の晩年の境地を示した崇高な作品。一方、ショパンのピアノ・ソナタ第3番はそのスケールを増した音楽に彼の早過ぎる死が惜しまれる。40代半ばを向かえ、音楽に円熟味が感じられるようになった及川がこの2つのソナタに取り組むのは当然であり、早くその成果を聴きたいものである。ほかに、今年が生誕150周年にあたるドビュッシーの「月の光」や「花火」などの小品も披露される。こちらは色彩的でチャーミングな演奏が期待できそうである。

(文/山田治生)


公演概要

アンドリュー・フォン・オーエン(p) ピアノ・リサイタル

2012/9/23(日) 愛知県芸術劇場コンサートホール (愛知県)
2012/9/28(金) 紀尾井ホール (東京都)
2012/9/29(土) ザ・シンフォニーホール (大阪府)

▼東京・愛知公演

▼大阪公演

ペーテル・ヤブロンスキー(p) ピアノ・リサイタル
〜ピアニストの肖像〜

2012/9/21(金)サントリーホール (東京都)

外山啓介(p) ピアノ・リサイタル

2012/7/6(金) 町田市民ホール (東京都)
2012/7/14(土) 行徳文化ホール I&I (千葉県)
2012/7/21(土) 沼津市民文化センター・小ホール (静岡県)
2012/7/26(木) 愛知県芸術劇場コンサートホール (愛知県)
2012/7/29(日) 伊勢崎市文化会館 小ホール (群馬県)
2012/8/1(水) サントリーホール (東京都)
2012/8/2(木) 札幌コンサートホールKitara大ホール (北海道)
2012/8/4(土) ザ・シンフォニーホール (大阪府)

▼東京・静岡・愛知・北海道公演

▼千葉公演

▼群馬公演

▼大阪公演

及川浩治(p) ピアノ・リサイタル

2012/9/8(土) ザ・シンフォニーホール (大阪府)
2012/9/14(金) サントリーホール (東京都)
2012/10/14(日) 札幌コンサートホールKitara大ホール (北海道)

▼大阪公演

▼東京・北海道公演



2012-05-31 17:46 この記事だけ表示
 
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