指揮者:西本智実インタビュー「鑑賞席で聴くだけの方にも是非歌ってもらいたい。ハミングでも。一緒に演奏する空間を感じていただきたい」TOKYO FM 夢の第九コンサート2013[インタビュー]

  今年も12月に「TOKYO FM 夢の第九コンサート」が開催される。西本智実の指揮のもとで初心者から上級者まで「第九」を歌いたい人たちが集うこのコンサートは今年で4度目となる。

西本智実インタビュー

「一年に一度、日本国中から集まってきて、声を合わせて、一つの作品で通じ合うのは、素晴らしいことです。これまでの3回を通じて顔なじみもできました。そういう横の関係はうれしいですね、広がりがあって。年末、一年の総決算という気持ちで参加される方もいます。
 初心者でも、ドイツ語ができなくても、『第九』を全部知らなくても、核になって支えてくれるメンバーがいますから、ここは口ずさめるというところを“ラ”でもいいですから、歌って参加できるコンサートです。合唱の素晴らしさは、見知らぬ人と声を合わせることで、大きな音楽が現れてくるところにあります。声の重なりや空気の動きを一緒に感じてほしい。その場所で作っている『なまもの』を味わっていただきたいですね。
 リピーターの方には、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目、前回よりも向上しようという方が多いです。新しく参加される方のために自分たちが土台となって支えてくださる」


 今回は、合唱との一体感をもつために、西本は客席で歌う合唱の方を向いて指揮をするという。
「これまで2回、東京国際フォーラムで演奏しましたが、同じことを繰り返すのではなく、このホールでどんなことができるのか、いろいろ考えています。ドーム的な声のシャワーを目指します。鑑賞席で聴くだけの方にも是非歌ってもらいたい。ハミングでも。一緒に演奏する空間を感じていただきたい」

 今年は、「第九」の前に、「THE 発声」というプログラムが辻博之によって展開される。
「発声をしながらみんなでやり取りができる曲を作りました。イルミナートには作曲家もいますから。発声がハモるだけでも、『おーっ』って、楽しいものですよ」

今回は、西本が創設時から芸術監督・音楽監督を務めるイルミナートフィルハーモニーオーケストラが演奏を担う。「イルミナート」は様々なジャンルのアーティストが参加する芸術家集団。
「『イルミナート』は、国境を取り払って、国籍を外して、オーケストラだけでなく、バレエ・ダンサーやオペラ歌手も参加します。11月にはヴァチカンに招かれますが、ローマにもメンバーがいて、ヨーロッパのメンバーもローマに集まってくれます。ソリストもいますし、合唱に参加してくれるメンバーもいます」

 西本&イルミナートフィルは、この11月にカトリックの総本山であるヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂で開かれるヴァチカン国際音楽祭にアジアのオーケストラとして初めて招かれ、枢機卿による音楽ミサ(グノーの「聖チェチーリア荘厳ミサ曲」抜粋と復元された長崎の「オラショ」)とベートーヴェンの「第九」を演奏する。
「まず11月9日に、サンピエトロ大聖堂での枢機卿の音楽ミサに出ます。最も権威のある厳格な儀式です。グノーの『聖チェチーリア荘厳ミサ曲』からその日に合ったヴァチカン指定の箇所を演奏します。そして、長崎・平戸・生月島に伝わる『オラショ』を再現します。私の先祖がそこの出身でその歌を守り継いできましたので。私が音楽の道に入ったのも、ここに来るためだったのではないかと、ヴァチカンに関しては感じています。ヴァチカン国際音楽祭の最終日にあたる11月10日にはベートーヴェンの『第九』を演奏します。今回の東京の『第九』では、ヴァチカン国際音楽祭に参加する人もたくさん歌いに来ますので、彼らがヴァチカンで習得したものを日本に持ち帰って、広げてくれればと思います」

 「TOKYO FM 夢の第九コンサート」は、西本智実&イルミナートフィルにとってもヴァチカンで得た経験を生かす、今年の総決算というべき演奏になるに違いない。


[取材・文/山田治生]


公演概要

TOKYO FM 夢の第九コンサート2013


<公演日程・会場>
2013/12/13(金) 東京国際フォーラム ホールA (東京都)

<出演>
指揮者:西本智実
ソリスト:大山亜紀子(ソプラノ)/山下牧子(アルト)/小原啓楼(テノール)/成田博之(バリトン)
オーケストラ:IlluminArt Philharmonic Orchestra

<曲目>
ベートーヴェン交響曲第九番 ニ短調 作品125(合唱付)、「THE発声」 指揮(指揮者・声楽家)辻 博之


2013-11-08 17:58 この記事だけ表示
 
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