フランス国立リヨン歌劇場の首席指揮者・大野和士が語る!『ホフマン物語』の魅力 イベントレポート![公演情報]

 今年7月、フランス国立リヨン歌劇場は、首席指揮者・大野和士とともに、待望の日本でのオペラ公演を行う。演目はオッフェンバックの「ホフマン物語」。それに先駆けて、昨年12月29日に公演会場となるオーチャードホールで「大野和士が語る!『ホフマン物語』の魅力」と題するイベントが開催された。
 大野は、これまでもオペラのレクチャー・コンサートやプレトークに積極的に取り組んできたが、この日も自らピアノを奏でながら、「ホフマン物語」の魅力を語った。今回は、東京二期会の6人の歌手たちを招いてのレクチャー・コンサート。60分間の予定が100分間を超える盛り沢山の内容となった。


イベントレポート

  大野は、「ホフマン物語」を「E.T.A.ホフマンとオッフェンバックの二人の夢と希望のオペラ」という。「ホフマン物語」のモデルとなったE.T.A.ホフマンは、検事であり、作曲家であり、指揮者であり、作詞家であり、作家であり、画家であり、舞台美術や自然科学にも造詣の深かった、マルチ人間。そんな彼の想像力は果てを知らず、至高の女性を思い描くものの、現実に戻ったときには激しい絶望感にとらわれた。オッフェンバックは、小振りなブッフ・パリジャン座で活動を始め、オペラ・コミック座でも活躍したが、生きている間にパリ・オペラ座で自らのオペラが掛かることはなかった。あと1年長生きしていたら、「ホフマン物語」が完成し、オペラ座進出の夢を叶えることができただろう、と大野は語る。

 樋口達哉がホフマン、小林由佳がニクラウスとジュリエッタ、大沼徹がミラクル博士とダペルトゥット、全詠玉がオランピア、高橋絵理がアントニア、小林紗季子がアントニアの母の声、を歌った。彼らのほとんどは昨年の東京二期会の「ホフマン物語」に出演したばかりであり、レベルの高い歌唱を聴かせてくれた。大野のピアノ伴奏も魅力的であった。

 大野のレクチャーで特に面白かったのは、ニクラウスのロマンスを「愛の讃歌」と、アントニアとホフマンの二重唱を「世界はふたりのために」と比較するところ。大野は、「ホフマン物語」に「1970年代のフォーク世代の歌」を感じるという。常々、ヴェルディのオペラと日本の演歌の近似性を語るマエストロ。この日も「ホフマン物語」を聴衆にグッと近づけてくれた。

 1時間40分(休憩なし!)にも及ぶレクチャー・コンサートは、「ホフマン物語」のなかで最も有名な「舟歌」で締め括られた。

 イベント終了直後、ほとんど間を置かず、オーチャードホールのビュッフェで大野和士を囲む記者懇親会がひらかれた。ここでも大野は45分間話し続けた。彼の溢れる思いと首席指揮者としての責任感には、まったく敬服する。
 大野は、今回のロラン・ペリー演出の舞台について、空間の使い方を特徴としてあげる。「骨組みだけで隙間が多く、黒くて怖い空間」が効果的に使われているそうである。

 今回の公演では、パトリシア・チョーフィがオランピア、アントニア、ジュリエッタ、ステッラの4役を一人で演じる。それは、「ステッラが三人の女性を体現しているから(台本に書かれている)」。オランピアは超絶技巧的で、ジュリエッタは艶っぽいなど、通常、個性の違った歌手が当てられることが多いが、大野は「声の品評会にしたくない」と述べる。経験豊富で演技力もあるチョーフィは本当に楽しみだ。ホフマン役のジョン・オズボーンには、そのおおらかな性格に助けられたという。

 リヨン歌劇場のオーケストラについては、「品のある抒情、エスプリを、日本の皆様に楽しんでいただきたい」と語る。そして「ゆらゆら、めらめら、たゆたう流れを表現したい」と付け加えた。フランスきってのオペラハウスが、総力を結集して上演するフランス・オペラ。我々はそのエスプリを感じ取りたい。

[取材・文/山田治生]

公演概要

フランス国立リヨン歌劇場 オッフェンバック『ホフマン物語』

■公演日程・会場
2014/
7/5(土)15:00開演
7/7(月)18:30開演
7/9(水)15:00開演
Bunkamura オーチャードホール

■スタッフ
演出・衣裳:ロラン・ペリー

■出演者
指揮;大野和士(フランス国立リヨン歌劇場首席指揮者)
ホフマン:ジョン・オズボーン(T)
オランピア/アントニア/ジュリエッタ/ステッラ:パトリツィア・チョーフィ(S)
リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット:ロラン・アルバロ(Br)
ミューズ/ニクラウス:アンジェリク・ノルダス(MS)

管弦楽:フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団
合唱:フランス国立リヨン歌劇場合唱団

■チケット料金(全席指定・税込)
S席39,000円 A席34,000円 B席29,000円
C席24,000円 D席18,000円 E席13,000円

■チケット発売
一般発売:2014/3/1(土)10:00〜



2014-01-23 18:06 この記事だけ表示
 
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。