約30年ぶりに待望の再来日! 「ミュンヘン・バッハ管弦楽団」が間もなく開催。芸術監督アルブレヒトが語った。[インタビュー]

 巨匠カール・リヒターの残した、バッハの精神を受け継ぐ名手揃いの歴史あるアンサンブル。モダン楽器による演奏でバッハの世界観を追求し、その演奏スタイルや解釈で多くの音楽ファンを魅了してきたミュンヘン・バッハ管弦楽団が約30年ぶりに待望の再来日を果たす。芸術監督を務めるハンスイェルク・アルブレヒトにインタビュー。


芸術監督アルブレヒトの語るミュンヘン・バッハ管弦楽団

Q1.ミュンヘン・バッハ管弦楽団の演奏スタイルと伝統について教えて下さい
回答:ハンスイェルク・アルブレヒト(芸術監督/オルガン/パイプオルガン)
 ミュンヘン・バッハ管弦楽団の今日のスタイルや演奏のテクニックは、器楽演奏のための歴史的な演奏規範に大いに影響を受けています。19世紀や20世紀の作品もレパートリーの一部であるため、楽器は「モダン」のものを用います。しかし、バロック時代の作品を演奏する場合、我々は、少数の楽器編成を採用し、面白く多彩で音色が魅力的な、通奏低音群を際立たせます。ニコラウス・アーノンクール、フランス・ブリュッヘン、グスタフ・レオンハルト、ジョン・エリオット・ガーディナーらによる「古楽運動」が登場する以前は、バッハやヘンデルの作品であっても、伝説的な音楽家カール・リヒターの指針のもと、ふんだんにヴィブラートをかけて、大編成で演奏されていました。当時の最も優れた演奏家に数えられる、オーレル・ニコレ(フルート)やモーリス・アンドレ(トランペット)のような「スーパースター」と接点があったにもかかわらず、リヒターの追求は一貫して、後期ロマン派に由来する完璧な音の基準に依拠していたのでした。リヒターは常に、ひとつひとつの音のニュアンスを正確に伝えることを目指していると言っていました。しかしそれは、バロック時代の音楽に対する、我々の現在の知識や現在の聴体験を実際に反映したものではなかったのです。今、我々はここ数十年の経験に基づいて演奏を行っています。新しく、若く、活力ある世代が育ってきているのです。この世代はとても好奇心旺盛で、器楽演奏のための歴史的な演奏規範を追求するのに、多くの時間を費やし、尽力しています。近年のミュンヘン・バッハ管弦楽団には、この素晴らしいミュンヘンのオーケストラに所属する一流の演奏家たちのみならず、いわゆる「古楽界」で活躍するメンバーも加わっています。バロック音楽を演奏するときはいつも、オリジナルの金管楽器や打楽器に加え、バロックの弓やピリオド奏法も採用します。その主な狙いは、明確なフレージングや息づかいをすることはもちろん、音楽の気質や情感を表現することでもあります。


Q2.「ミュンヘン・バッハ管弦楽団」は、これまでにも日本で何度かコンサート・ツアーを行っていると思うのですが、来日は何度目でしょうか。日本で開催されたコンサートによって、カール・リヒターは日本のクラシック音楽ファンの間で有名になりました。日本で行う予定が計画されているコンサートは他に何かありますか。

 ミュンヘン・バッハ管弦楽団のバッハの伝統が日本に初めて紹介されたのは、1969年に行われた、カール・リヒターと彼の2つのアンサンブルによる生演奏でのことでした。このコンサート・ツアーの期間は、バッハの作品だけが演奏されました。「マタイ受難曲」、「ヨハネ受難曲」、「ロ短調ミサ」、さまざまなカンタータ、「マニフィカト」です。リヒターが早くに亡くなってしまったため、第2回として計画された1981年の日本ツアーは、リヒター自身による指揮で行われることは叶いませんでした。代役は彼の弟子であったギュンター・イェーナが務めました。その後、ハンス=マルティン・シュナイトがリヒターの後継者となり、1991年以降はソリストおよび指揮として日本でも活躍するようになりました。90年代半ばの「ロ短調ミサ」の演奏の後には、シュナイト・バッハ合唱団が設立されました。私自身は、ドレスデン聖十字架合唱団の一員として、あるいは2003年に軽井沢のコンサート・ホールで、テノール歌手・指揮者のペーター・シュライアーと、ハープシコード奏者・オルガン奏者として共演した際などに、日本を何度か訪れています。今回、ミュンヘン・バッハ管弦楽団が日本で一連のコンサート・シリーズを行うために招かれたことは、1969年の日本への最初の旅から培われてきた遺産を引き継ぐことのできる素晴らしい機会です。数年前、日本の卓越したバッハ演奏家である鈴木雅明氏から、自分がバッハを初めて発見したのはカール・リヒターのコンサートと録音を通してであると語られたことがありました。これはまさに日本とドイツを結ぶ「バッハの輪」が一巡したことを示しており、今後もこの結びつきがさらに強くなり、輪がさらに発展していくことを願っています。


Q3.今回の日本ツアーを控えての意気込みを教えて下さい。

 このコンサート・ツアーは長年の希望であり、「家に帰る」ようなものにしたいと思っています。ドレスデン聖十字架合唱団と行ったコンサート・ツアー(ベルリンの壁が崩壊する以前)は、今でも鮮明かつリアルに、私の記憶に残っています。日本の聴衆と、クラシック音楽に対する彼らの並々ならぬ強い関心は、特筆すべきものがあります。とりわけ私がとてもはっきりと覚えているのは、ある1つの出来事です。それは、東京のサントリー・ホールで行われた、ハイドンのオラトリオ「天地創造」のコンサートでした。聴衆がひたすら席から去ろうとせず、ホールに残ってスタンディング・オベーションを続けるのです。バイエルン放送交響楽団のメンバーとしてマリス・ヤンソンスと共に定期的に日本を訪れている、当団の数名の若い音楽家にとってさえ、このツアーは、彼らが心の底から楽しみにしているツアーの1つなのです。


公演概要

<公演日程・会場>
2014/10/4(土) 東京オペラシティ コンサートホール (東京都)

<キャスト&スタッフ>

ハンスイェルク・アルブレヒト
(芸術監督/オルガン/パイプオルガン)



エンリク・ヴィーゼ(フルート)



シュテファン・テミング(リコーダー)



イーガル・カミンカ(オーボエ/リコーダー)



ニック・ドイチュ(オーボエ)



ヨアヒム・シェーファー(トランペット)



ミヒャエル・フリードリヒ(ヴァイオリン)



アルブレヒト・キューネル(ヴァイオリン)



出演:
芸術監督/オルガン/パイプオルガン  ハンスイェルク・アルブレヒト
ミュンヘン・バッハ管弦楽団
   
曲目・演目:
【プログラムA】10月4日(土)13:00公演:「ブランデンブルク協奏曲」全曲演奏会
【プログラムB】10月4日(土)17:00公演:オール・バッハ・プログラム
「トッカータとフーガ」「2つのヴァイオリンのための協奏曲」「主よ、人の望みの喜びよ」「G線上のアリア」「目をさませと呼ぶ声が聞こえ」
「管弦楽組曲 第2番」ほか



2014-09-19 20:46 この記事だけ表示
 
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