日本を代表するヴァイオリニスト徳永二男。「徳永二男の挑戦 10年間・10回リサイタルシリーズ」について語る![インタビュー]

 若い頃から日本を代表するヴァイオリニストと活躍し、近年は宮崎国際音楽祭音楽監督も務める徳永二男。そんな彼が2008年に「徳永二男の挑戦 10年間・10回リサイタルシリーズ」を始め、以来毎年10月、紀尾井ホールでリサイタルをひらいている。シリーズは今年で7回目を迎える。徳永は現在、67歳。最終回の10回目には70歳になっている。

インタビュー

 「シリーズは、今のところ、無事すすんでおります(笑)。今年はピアノに野平(一郎)先生に来ていただきます。これまでにもいろいろな形で共演し、気心も知れ、人間的にも音楽的にも尊敬しています」

 第7回のプログラムは、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第7番、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第1番、バッハの無伴奏パルティータ第1番、シュニトケのヴァイオリン・ソナタ第1番。

 「今回は短調のソナタを並べました。暗い静けさから悲劇的な激しさまでの心の動きを聴いていただきたいと思います。まったく違う色の4曲ですから、それぞれの音色の違いを楽しんでほしいですね。

 プロコフィエフのソナタ第1番は、オイストラフとオボーリンによって1946年に初演されましたが、それは僕が生まれた年なのです(笑)。ヴァイオリニストにとってはとても大切な曲。第1楽章と終楽章の終わりの部分で、32分音符がピアニッシモで駆け上がっていく風の音のような音型が特徴的ですが、作曲者自身が『墓場を通る風の音』と言っていました。

 ベートーヴェンは、伊藤恵さんとCD録音や全曲演奏をしましたが、やはり取り上げる回数が多いですね。第7番は、モーツァルトの色からベートーヴェンの音楽になった後期の最初の曲ではないかと思っています。かなり骨格が大きくなり、音の質も変わっています。意志の強い音が求められるのです。

 バッハで僕が目指しているところは、バッハが『天使に捧げる』という言葉を残しているのですが、そのような無理のない自然な響き、透明感です。バッハの無伴奏ソナタとパルティータは弦楽器では一番難しい曲かもしれません。コード(和 音)と格闘しがちで、さりげなく自然に弾くのにはとても苦労します。今年も“挑戦”で、より自分の理想とするバッハの音色が表現できればと思います。僕も 随分前ですが2年間くらいバロック・ヴァイオリンを勉強したことがありまして、あれは、楽器のことが理解できた良い時間でした。

 シュニトケのソナタ第1番は、野平先生と既に2度共演しています。野平先生は、ピアニストとして素晴らしいのですが、作曲家としての視点もあり、最初の共演のとき、曲の形を明確に描かれ、僕も勉強させていただきました。曲は、バッハに対する尊敬もありBACHの 音型が入っていたり、ジャズっぽいリズムが入っていたり、皮肉っぽいところもあったり、彼のいろいろな心の動きが入っていて、弾けば弾くほどシュニトケの 心の内側が見えてきます。そしてこの曲はアンサンブルがものすごく難しいのです。相手の音が相当はっきりと聴こえてないとかみ合わないところがかなりあります」


 徳永はこの10回シリーズのこれまで6回を振り返って、そして今後に向けてこう語った。

 「タイトルに“挑戦”と書いてありますが、それはこのシリーズを始める際の僕の気持ちでした。ある年齢になって、表現の技術をもう一度見直したいと思ったのです。自然な表現、音楽的会話に必要な音を追求するということですね。若い頃にできなかったことで、今、楽々とできることはかなり多いです。

 これまで目先のコンサートばかりでしたが、このシリーズでは1年先が見えていて、じっくりと作っていける。1年ずつ、いい勉強ができています。人間ですから、肉体的な反射能力や運動能力は落ちてきますが、そこをどうするかにも“挑戦”していきたいですね。理想を言えば、10年シリーズの10回目でヴァイオリニストとしてのピークを迎えられればと思っています」

[取材・文/山田治生]
[撮影/渡辺 マコト]

公演概要


(C)K.Miura


徳永二男 10年間・10回リサイタルシリーズ 第7回

<公演日程・会場>
2014/10/31(金) 紀尾井ホール (東京都)

<キャスト&曲目>
出演:徳永二男、野平一郎

曲目・演目:ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調 op.30-2
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ヘ短調 op.80
J.S.バッハ:無伴奏パルティータ第1番 ロ短調 BWV1002
シュニトケ:ヴァイオリン・ソナタ第1番



2014-09-30 19:41 この記事だけ表示
 
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