東芝グランドコンサート2015が開催、ピアノ・ソリストとして来日するロシアのユリアンナ・アヴデーエワに話をきいた![インタビュー]

 2010年のショパン国際ピアノ・コンクールに優勝してから4年、ユリアンナ・アヴデーエワは、より一層ピアニストとしての進化を続けている。そんな彼女が、来年2〜3月のトゥガン・ソヒエフ&トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の来日公演にソリストとして招かれ、ショパン・コンクールでも弾いたショパンのピアノ協奏曲第1番を演奏する。



インタビュー

「ソヒエフとは初めての共演になりますが、彼の演奏はトゥールーズだけでなく他のオーケストラでも聴いています。彼の音楽への情熱的なアプローチ、音楽的な知識など、とても興味があります。トゥールーズ・キャピトル国立管は特別な伝統のあるオーケストラなので共演が非常に楽しみです。

ショパンのピアノ協奏曲第1番は、彼がポーランドを離れる直前のまだ若い頃の作品です。彼はワルシャワのオペラ・ハウスに通い、イタリア・オペラ、特にベッリーニを好んでいました。当時、彼は音楽院の若い歌手に恋をしていたのです。まだ若い青年の感情の世界が万華鏡のようなに表現されています。第1楽章の第2主題や第2楽章の旋律はイタリア・オペラのようですし、第3楽章はポーランドの踊りです。そういういろいろな要素が詰まった曲をみなさんの前で演奏するのが楽しみです。

また、この曲ではオーケストラの役割がピアノと同じくらいに大きいと思います。ショパンは個々の楽器に素晴らしいソロを書いています。第2楽章のピアノとファゴットの対話はオペラの二重唱のようです。オーケストラとのコラボレーションは重要であり、オーケストラがどう演奏するかで私の演奏も変わってきます」


 アヴデーエワは、2012年に、ショパンのピアノ協奏曲第1番と第2番を先日亡くなった古楽界の巨匠フランス・ブリュッヘンが率いる十八世紀オーケストラと録音した。そのとき彼女はショパンと同時代の1849年製のエラールを弾いた。

「古楽器で演奏するのは、タイムマシンに乗るような経験です。作曲家の音の世界に飛び込むわけです。ショパンは、モダン・ピアノの音は聴いたことがなく、彼が知っていた音の世界は当時のエラールやプレイエルでした。エラールではモダン・ピアノと違うアーティキュレーション、ペダリング、ダイナミックスが求められます。ブリュッヘンとの共演からは多くを学び、それらのことは生涯、私に影響を与え続けるでしょう。このときのエラールで演奏した経験によって、モダン・ピアノを弾く時にも、テクニックやメソッドの幅が広がったと思います。新しい表現への可能性を発見し、音のパレットが増えたのです」

 レパートリーの広がりがショパン演奏にも良い影響を与えるという。

「学びたい曲は一杯あります。最近はバッハをよく弾いています。20世紀でしたら、ショスタコーヴィチやメシアン。もちろん、ショパンは私にとって特別なレパートリーです。20世紀の音楽を弾くとショパンに新しい見方ができ、バッハを学ぶとショパンがよりよく理解できます」

 様々な影響を受け入れながら成長を続けるアヴデーエワと鬼才ソヒエフ率いるトゥールーズ・キャピトル管とのショパンのピアノ協奏曲第1番は、まさに興味津々である。

[取材・文=山田治生]
[撮影=坂野 則幸]

取材協力=スタインウェイ・ジャパン
(東京・天王洲/新セレクションセンター)

公演概要

東芝グランドコンサート2015


<会場・日程>
2015/2/23(月) アクロス福岡シンフォニーホール (福岡県)

<キャスト&スタッフ>
管弦楽:トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
指揮:トゥガン・ソヒエフ
ソリスト:ルノー・カプソン(ヴァイオリン)

曲目・演目: ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 Op.61
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲『展覧会の絵』


2014-12-02 16:08 この記事だけ表示