神尾真由子が本格的なピアノ三重奏に挑戦「スーパー・トリオ」 共演は世界的チェリストのジャン・ワン、若手実力派ピアニストのキム・ソヌク[インタビュー]


©Shion Isaka

 チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門において、日本人2人目の優勝を飾ってから、早いもので8年。ニューヨーク・タイムズ紙上でも「聴く者を魅了する若手演奏家」「輝くばかりの才能」と絶賛される神尾真由子が、この度、本格的なピアノ三重奏に初挑戦する。共演は世界的チェリストのジャン・ワンと、若手実力派ピアニストのキム・ソヌクで、グループ名はその名も「スーパー・トリオ」。結成のきっかけは、長年の恩師、ジャン・ワンの呼びかけによるものだという。



「スーパー・トリオ」でそれぞれの母国、日本・韓国・中国へ


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「ワンさんとは私がまだ日本にいた中学時代からの知り合いで、演奏も人柄もいい意味でオープン。誰にも分け隔てなく接することができる人格者なので、小さい頃からずっと慕っていました。そんな敬愛する彼から嬉しいオファーをいただき、お勧めの若い韓国人ピアニストがいるから、ピアノ三重奏にしようということになったんです。今回は日本、韓国、そしてワンさんの母国である中国の3ヵ所でツアーを行います」

キム・ソヌクは、2006年のリーズ国際ピアノ・コンクールで史上最年少かつアジア人として初優勝を飾った俊才だ。

「13年にチョン・ミョンフン指揮ソウル・フィルとの共演で、メンデルスゾーン:Vn協奏曲のCDを発表する(ユニバーサル)など、若くして注目を集める素晴らしいピアニストだと伺っています。彼とは今回が初共演なので詳しいことは存じ上げませんが、ワンさんの一押しだから何の心配もありませんし、お会いするのがとても楽しみです」

日本ツアーは、全国5ヵ所で開催。東京公演(紀尾井ホール)では、ベートーヴェン「幽霊」とチャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出に」という2つの大曲を披露する。

「ベートーヴェンはワンさんからの提案で、チャイコフスキーは私からのリクエストによるもの。『幽霊』は、第2楽章の開始部分で幽霊が出てきそうな不気味な雰囲気から命名されたと言われています。そこをいかにも幽霊らしく弾くか、あるいは逆に軽くするか。解釈が大きく分かれるのが面白いですね。私の解釈はどちらかというと後者ですが、ワンさんはロマンティックな音楽性の持ち主。リハーサルの結果、それが実際にどういう形にまとまるかにご注目いただければ幸いです。そしてチャイコフスキーの三重奏曲は、私がずっと演奏したかった大好きな作品。調性や音色が大きく変化する第2楽章は、楽しくもあり難しくもありますね。チャイコフスキー国際コンクールの直後に演奏予定だったのですがキャンセルになってしまい、今回8年越しでその夢が叶うので本当に嬉しいです」

このトリオの継続とさらなる成熟を願ってやまないと伝えたところ、「その時はぜひショスタコーヴィチに挑戦したいです」と笑顔で語ってくれた神尾。今後もフランソワ=グザヴィエ・ロトが指揮する読売日本交響楽団と共演するサン=サーンスの協奏曲第3番や、沼尻竜典が指揮する東京交響楽団と共演するメンデルスゾーンの協奏曲など、楽しみな公演が目白押しだ。そうした多忙な中、プライベートでは、13年にロシア人ピアニストのミロスラフ・クルティシェフ(神尾と同年のチャイコフスキー国際コンクールで最高位入賞)と結婚した神尾。取材当時(15年1月)の彼女は出産前で、その最新の状況や心境について貴重なコメントを寄せてくれた。


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「お医者様の診断によると、多分男の子だそうです。当初は主人も私も子供を演奏家にするつもりはなかったのですが、胎教で主人がピアノを弾いてくれたり、往年の巨匠たちの名盤を聴いたりする中で、2人とも少しずつ親バカになってきて…。主人は、“絶対ピアニストに向いている”と言っています。最も反応するのは、ピアニストのヴラディーミル・ホロヴィッツとミハイル・プレトニョフの演奏。ただこれは、私が彼らのことを大好きで、心拍数が上がっているせいかもしれませんね(笑)」

[取材・文=渡辺謙太郎(音楽ジャーナリスト)]



公演概要

神尾真由子&ジャン・ワン&キム・ソヌク 「スーパー・トリオ」

<公演日程・会場>
2015/5/31(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール (兵庫県)
2015/6/1(月) アルカスSASEBO 中ホール (長崎県)
2015/6/3(水) 紀尾井ホール (東京都)


<出演・曲目>
神尾真由子(Vn)/ジャン・ワン(Vc)/キム・ソヌク(Pf)
曲目・演目: ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番 ニ長調 「幽霊」
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 「偉大な芸術家の思い出に」




2015-02-27 17:55 この記事だけ表示