三浦一馬(バンドネオン奏者)インタビュー!![インタビュー]

 「バンドネオンでやれることはすべてやりたい。そのためだったら、必要に応じて楽器を改造することだってあるかもしれません」

 インタビューをする度に爽やかな笑顔でそう力強く語るのは、バンドネオンの若き俊才・三浦一馬。4月に発表した新譜「ス・ワンダフル」(ビクター)は、その言葉を体現する記念すべき第一歩になった。彼は今回、過去3枚で取り上げ続けてきたタンゴを離れて新境地へ。ガーシュウィンをテーマに、今日のアメリカ音楽の礎を築いた巨匠への深い敬愛を歌っている。収録曲には、表題作や「ラプソディ・イン・ブルー」など、吟味を重ねた全10曲が並ぶ。

 「ガーシュウィンは、クラシック、ジャズ、ミュージカルなどを自在に往来して活躍した作曲家なので、その魅力をお伝えできる選曲を意識しました。発売から1ヶ月経ちますが、ファンの皆さんの反応も上々で、新鮮な驚きを交えながら喜んでくださる方が多いですね」

ガーシュウィンとピアソラを常日頃からとても尊敬しているんです

 6月には、東京、名古屋、大阪で当盤の発売記念ツアーを開催。2部構成のプログラムで、前半が当盤の収録曲の抜粋。休憩を挟んだ後半は、三浦の十八番ピアソラを披露する。

 「ガーシュウィンとピアソラは、ニューヨークとブエノスアイレスという共に移民が築き上げた街に生き、その匂いや人々の声を音楽の中に巧みに織り込んだ人。僕も不遜ながら、いつか自分の街を代弁した音楽を創りたいと思っているので、2人を常日頃からとても尊敬しているんです」

 前半は、ガーシュウィンの「サマータイム」「魅惑のリズム」など7曲を演奏予定。

 「CDと同じ五重奏編成(バンドネオン、ヴァイオリン、ピアノ、パーカッション、コントラバス)で初めて人前で演奏するので、僕自身とても楽しみです。弦楽器が2本あるので、バンドネオンが金管的に活躍するビックバンドのような演奏をイメージしています。中でも最後に弾く『ガール・クレイジー』序曲は、有名な『アイ・ガット・リズム』などの起源になった作品なので、ぜひご注目ください」

 後半のピアソラは、作曲者が考案したキンテート(バンドネオン、ヴァイオリン、ピアノ、ギター、コントラバスの五重奏)による演奏だ。

 「パーカッションの替わりにエレキ・ギターが入る編成で、『デカリシモ』『ブエノスアイレスの冬&夏』という僕がずっと弾き続けてきた名曲から始めます。そして後半は、キンテートでは今回が初挑戦となる『天使の組曲』(全4曲)から、『イントロダクション』『ミロンガ』『死』の3曲を。タンゴの街ブエノスアイレスの場末に住む人々の魂を浄化させるために降臨した天使の戦いと、死と、復活を描いた音楽ですが、今回は『復活』を除いた形で演奏します。でも、これらの3曲もピアソラのご他聞に漏れず、オリジナルの楽譜が存在してなくて…。現在夜な夜な自分で作成中です(笑)。中でも『イントロダクション』は隠れた名曲なので、どうぞお楽しみに」

 そして今回のツアーでは、共演者や会場にも見どころが満載になっている。

 「ヴァイオリンは大阪が荒井英治さんで、東京&名古屋が石田泰尚さん。ピアノは東京&大阪が山田武彦さんで、名古屋が加藤昌則さんになります。皆さん本当に素晴らしい演奏家ですし、個性も際立っているので(笑)、CDとはまた一味違う演奏になると思います。会場に関しては、EX THEATER ROPPONGI(東京)とウインクあいち(名古屋)は、今回が初出演。どちらもクラシック専門ではなく、様々なジャンルに対応した最新式のホールなので、PAや照明などをうまく活用しながら、一期一会の公演をお届けできるように頑張ります」

[取材・文=渡辺謙太郎]
[撮影=平田貴章]

三浦一馬さんからメッセージムービーが到着!

公演概要

三浦一馬

<公演日程・会場>
2015/6/2(火)  愛知県産業労働センター WINC AICHI (愛知県)
2015/6/4(木)  EX THEATER ROPPONGI (東京都)
<ガーシュウィン&ピアソラ>
2015/6/13(土)  あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール (大阪府)

2015-05-14 20:31 この記事だけ表示