メナヘム・プレスラー 公演の見どころをご紹介!![公演情報]

現役最年長ピアニストの一人であるメナヘム・プレスラーは、昨年12月のベルリン・フィルのジルヴェスターコンサートに招かれ、サイモン・ラトルの指揮でモーツァルトのピアノ協奏曲第23番を弾くなど、90歳を過ぎた今も、ますます精力的に演奏活動を行っている。

プレスラーを演奏活動へと向かわせるのは、「音楽への愛」

 1923年、ドイツのマクデブルク生まれ。1939年、ナチスを逃れ、家族とともにイスラエルに移住。1946年にサンフランシスコのドビュッシー国際音楽コンクールで優勝し、ピアニストとしてのキャリアをスタートさせる。1955年、ヴァイオリンのダニエル・ギレ、チェロのバーナード・グリーンハウスとともにボ・ザール・トリオを結成。ソリストとしてデビューしたプレスラーであったが、トリオで演奏することによって、「音楽そのものに奉仕することを学んだ」という。彼はボ・ザール・トリオを20世紀後半を代表するピアノ三重奏団に育て上げ、半世紀以上にわたって率いた(ヴァイオリン奏者やチェロ奏者のメンバー交代は何度かあったが、ピアノ奏者はプレスラーで不変だった)。そして、ハイドンから現代に至る作曲家たちのピアノ三重奏曲の膨大な録音を残した。

 室内楽を知り尽くしたアンサンブルの達人であり、世界最高の室内楽ピアニストといわれたが、2008年にボ・ザール・トリオを解散してからは、ソロ活動にも力を入れるようになった。2012年からパーヴォ・ヤルヴィ&パリ管弦楽団と共演(モーツァルトのピアノ協奏曲第23番、第27番など)、2014年1月にはベルリン・フィルにデビュー(セミョン・ビシュコフ指揮でモーツァルトのピアノ協奏曲第17番を演奏)。2014年4月には日本で庄司紗矢香とのデュオ・リサイタルを披露した。

 今秋、そんなプレスラーのリサイタルがサントリーホールでひらかれる。モーツァルトの「ロンド イ短調 K.511」、シューベルトのピアノ・ソナタ第18番「幻想」、シューマンの「主題と変奏 変ホ長調(最後の楽想による幻覚の変奏曲)」、ショパンのマズルカ第5番(Op.7-1)、第7番(Op.7-3)、第13番(Op.17-4)とバラード第3番という、巨匠の地味溢れる芸術を味わうには最適のプログラムが組まれる。なかでも、モーツァルト、シューベルト、ショパンは、ソリストとしての彼のレパートリーの中核といえよう。

 近年はしばしばモーツァルトのピアノ協奏曲で澄みきった演奏を繰り広げているプレスラー。シューベルトやショパンを予告するかのようなロマンティックで哀愁を帯びた「ロンド イ短調 K.511」でも味わい深い演奏を聴かせてくれるだろう。シューベルトのピアノ・ソナタ第18番「幻想」は、作曲者晩年の大作。プレスラーは2年前にCD録音するなど、このソナタを大切にしている。シューベルトの歌に満ちた幻想的な世界に浸ることができるに違いない。シューマンの「主題と変奏 変ホ長調(最後の楽想による幻覚の変奏曲)」は、その副題にもあるように、最晩年のシューマンが最後の幻覚のなかで天使から与えられえたとされる主題で書いた変奏曲。ショパンの3曲のマズルカは、2011年3月のパリのリサイタル(DVDで見ることができる)でも演奏されたプレスラーの十八番というべき作品。優美なバラード第3番は、この幻想的なプログラムを締め括るにまさにふさわしい音楽である。

 90歳を超えて、なお、プレスラーを演奏活動へと向かわせるのは、「音楽への愛」にほかならない。音楽を愛し、音楽に奉仕するメナヘム・プレスラーの演奏を聴くことは、まさに至高の体験となるであろう。

[文=山田治生]

公演概要

メナヘム・プレスラー

<公演日程・会場>
2015/11/28(土) サントリーホール 大ホール (東京都)

<出演・曲目>
モーツァルト:ロンド イ短調 K.511
シューベルト:ピアノ・ソナタ第18番 ト長調「幻想」 op.78,D.894
シューマン:主題と変奏 変ホ長調 (最後の楽想による幻覚の変奏曲)
ショパン:3つのマズルカ(第5番 変ロ長調 op.7,No.1/第7番 ヘ短調 op.7,No.3/第13番 イ短調 op.17,No.4)
ショパン:バラード第3番 変イ長調 op.47



2015-06-24 10:11 この記事だけ表示
 
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