ゲルギエフ指揮「PMFオーケストラ」、才能ある若者たちによる豪華饗宴の見どころ![公演情報]

©Alexander Shapunov

 20世紀を代表する指揮者であり、作曲家、ピアニスト、教育者として活躍したレナード・バーンスタインが1990年に札幌に創設した国際教育音楽祭「パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)」。
 これまでにマイケル・ティルソン・トーマス、クリストフ・エッシェンバッハ、シャルル・デュトワ、ファビオ・ルイジ、ベルナルト・ハイティンク、リッカルド・ムーティらの巨匠たちが芸術監督や首席指揮者を務めてきたが、今年、ロシアを代表する名指揮者、ワレリー・ゲルギエフが芸術監督に就任した。
 サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場の芸術監督とロンドン交響楽団の音楽監督を兼務し、ウィーン・フィルにもしばしば招かれるゲルギエフは、世界一多忙な指揮者の一人といえよう。PMFとの関わりは長く、すでに2004年、2006年に首席指揮者として参加し、今年から3年間、第6代PMF芸術監督を務める。

2015年チャイコフスキー国際コンクールで優勝したドミトリー・マスレエフが早くも来日

PMFの中心は、オーディションで選ばれた18歳から29歳までの若い音楽家(アカデミー生)たちによって構成される「PMFオーケストラ」。
 彼らは、フェスティバル期間中、ウィーン・フィル・コンサートマスターのライナー・キュッヒル、ベルリン・フィル首席オーボエ奏者のアルブレヒト・マイヤー、ベルリン・フィル首席トランペット奏者のタマーシュ・ヴェレンツェイなど、超一流のオーケストラ・プレイヤーたちによる教授陣から指導を受ける。
 これまでに、PMFアカデミーからは、フィラデルフィア管弦楽団首席ファゴット奏者のダニエル・マツカワなど、メジャー・オーケストラの首席奏者も輩出されている。

ピクニックコンサート(札幌芸術の森・野外ステージ)

 PMFオーケストラは、札幌での1か月にわたるフェスティバルの後、今年は、横浜みなとみらいホールと東京・サントリーホールでも公演を行う。ゲルギエフ指揮でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とショスタコーヴィチの交響曲第10番が演奏される。ともにゲルギエフが最も得意とするロシア音楽だ。

1953年に書き上げられたショスタコーヴィチの第10番は、彼の交響曲のなかで、第5番に次いで演奏頻度の高い作品といえよう。標題が付かず、声楽を含まず、4楽章構成をとる交響曲第10番は、純音楽的で、ある意味、古典的ともいえる。
 ショスタコーヴィチの作品をほとんど演奏しなかったカラヤンがこの交響曲を好み、2度、録音を行っていることからもこの曲の性格を知ることができるだろう。しかし、実はこの交響曲には、ドミトリー・ショスタコーヴィチの名前から採った「DSCH(レ、♭シ、ド、シ)」の音型が用いられ、それが暗号のようなはたらきをしているともいわれている。ショスタコーヴィチのエキスパートであるゲルギエフがこの謎を含んだ交響曲をどう読み解くのか、そして若いPMFオーケストラをどう導くのか興味津々である。

演奏会前半のラフマニノフのピアノ協奏曲第2番では、先ごろ開催されたチャイコフスキー国際コンクールで優勝したドミトリー・マスレエフが早くも来日して独奏を披露するのが楽しみである。
 マスレエフは、ロシア東シベリア出身の27歳。チャイコフスキー国際コンクール組織委員会委員長も務めるゲルギエフのまさにイチオシのピアニストといえよう。世界が注目するロシアの新星が同世代のオーケストラと奏でる、ロシアの哀愁に満ちたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、聴き逃せない!

[取材・文=山田治生]

公演概要

PMFオーケストラ

公式HPはこちら(下記画像をクリックして下さい)

<公演日程・会場>
2015/8/3(月)  横浜みなとみらいホール 大ホール (神奈川県)
2015/8/4(火)  サントリーホール 大ホール (東京都)

<出演>
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)/ドミトリー・マスレエフ(ピアノ/2015年チャイコフスキー国際コンクール優勝者)/PMFオーケストラ(世界23ヵ国・地域出身の若手音楽家78名で編成)

<曲目・演目>
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
ショスタコーヴィチ:交響曲 第10番 ホ短調 作品93



2015-07-15 15:41 この記事だけ表示
 
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