英国ロイヤル・オペラ 記者会見レポート[公演情報]

 5年ぶりに来日した英国ロイヤル・オペラが9月12日からの日本公演を前に、記者会見をひらいた。音楽監督のアントニオ・パッパーノのほか、サイモン・キーンリサイド、リュドミラ・モナスティルスカ、イルデブランド・ダルカンジェロ、ジョイス・ディドナート、ローランド・ヴィラゾンら主要歌手、演出家で同オペラのオペラ・ディレクターを務めるカスパー・ホルテン、そして、総支配人のアレックス・ベアードが出席した。これだけの一流のキャスト、スタッフが一堂に会するところがまさに英国ロイヤル・オペラといえよう。

 今回はヴェルディの「マクベス」とモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」が上演される。それについてパッパーノは、「これまでの定評あるプロダクションと新しいプロダクションとを組み合わせたいと思い、定評のあるものとして『マクベス』(注:フィリダ・ロイド演出、2002年初演)を、新しいものとして『ドン・ジョヴァンニ』(注:カスパー・ホルテン演出、2014年初演)を選びました。2つの作品は、チャレンジングで、劇場的で、超自然を共有しています。ミステリーや死の世界です」という。

 イギリスを代表するバリトンであるキーンリサイドはマクベスを演じる。「マクベスとドン・ジョヴァンニは通じるところがあると思います。どちらも、己の運命を切り拓こうとした人間なのです。10代の頃、黒澤明監督の『マクベス』を原作とする映画(注:『蜘蛛巣城』)を見て強い印象を受けました。黒澤はシェイクスピアを愛していたときいています。日本のみなさまの好みに合った『マクベス』を見ていただけるのはうれしい」
 マクベス夫人役は、ウクライナ出身のモナスティルスカ。「マクベス夫人は一番好きな役です。5年前にキエフ・オペラと来日しましたが、ロイヤル・オペラの客演歌手として日本に帰って来れて幸せです」と述べる。

 パッパーノは「2011年に上演した『マクベス』でキーンリサイドとモナスティルスカの演じる夫婦にとてもエキサイトしたのでした」という。

 イタリア出身のダルカンジェロは当代を代表するドン・ジョヴァンニ歌い。「演出家のホルテン氏のアイデアを具現化することが私の仕事です。しかしそのためには過去に演じてきたドン・ジョヴァンニを消し去る必要があります」と十八番の役柄ゆえの難しさも述べた。

 ドンナ・エルヴィーラ役はアメリカ出身の人気メゾ・ソプラノ、ジョイス・ディドナート。今、オペラに何ができるかを語った。「私はアメリカの歌手ですが、今回、イタリアから、メキシコから、ロシアから、イギリスから歌手が集い、イギリスのオペラハウスが日本に来て、モーツァルトなど何世紀も前の作品を現代的な方法で上演します。この危機的な世界においても、オペラは、文化や性や宗教や地理的な境界を越えて、美を分かち合うことができるのです」

 ネトレプコとの共演などでセンセーションを巻き起こしたヴィラゾンは、今回、ドン・オッターヴィオを演じる。「パッパーノ氏は声楽家を知り尽くしています。彼には本当のドラマがある。そして集うべくして集った素晴らしい仲間たちと日本に来ることができて幸せです」と語る彼は、北斎展を楽しみ、川端康成、三島由紀夫、村上春樹、大江健三郎を読む日本通。そんなヴィラゾンは、最後に「赤とんぼ」の一節を歌い、日本語で「ビール、乾杯! ありがとうございました!」と言って発言を締め括った。
 パッパーノが「『マクベス』では最高の夫婦役の二人が揃いましたが、『ドン・ジョヴァンニ』でもこれだけの歌手たちが集ったのは凄いことです」と語る英国ロイヤル・オペラ日本公演。まさに今が旬というべき最高のオペラ指揮者、最高の歌手たちによるステージは見逃せない。

[取材・文=山田治生]

公演概要

英国ロイヤル・オペラ 「マクベス」全4幕

<公演日程・会場>
2015/9/12(土)〜9/21(月・祝) 東京文化会館大ホール(東京都)

<出演>
出演:作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:フィリダ・ロイド

※予定される主な配役
マクベス:サイモン・キーンリサイド
マクベス夫人:リュドミラ・モナスティルスカ
バンクォー:ライモンド・アチェト
マクダフ:テオドール・イリンカイ

英国ロイヤル・オペラ 「ドン・ジョヴァンニ」全2幕

<公演日程・会場>
2015/9/13(日)〜9/20(日) NHKホール (東京都)

<出演>
出演:作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:カスパー・ホルテン

※予定される主な配役
ドン・ジョヴァンニ:イルデブランド・ダルカンジェロ
レポレロ:アレックス・エスポージト
ドン・オッターヴィオ:ローランド・ヴィラゾン
ドンナ・エルヴィーラ:ジョイス・ディドナート
ドンナ・アンナ:アルビナ・シャギムラトヴァ
ツェルリーナ:ユリア・レージネヴァ
マゼット:マシュー・ローズ
騎士長:ライモンド・アチェト

※表記の出演者は2015年6月19日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても、代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表とさせていただきます。



2015-09-16 19:36 この記事だけ表示
 
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