「ホール・オペラ」で初めて明らかになるモーツァルト&イタリアの真実[公演情報]
こんなに活き活きとした《フィガロの結婚》があっただろうか。
公演迫る「ホール・オペラ」で初めて明らかになるモーツァルト&イタリアの真実

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 「ホール・オペラ」モーツァルト&ダ・ポンテ三部作2008‐2010の第一弾、《フィガロの結婚》の公演がいよいよ迫ってきた。リハーサルを覗いたのだが、期待以上のものになること請け合いである。

 元々、私がこの《フィガロの結婚》にことのほか期待しているのは、指揮のニコラ・ルイゾッティ、および演出のガブリエーレ・ラヴィアの下に、イタリア人を中心とした歌手を集めた、イタリアを強く意識した上演だからである。オーストリア人のモーツァルトなのに、後援しているのもイタリア大使館なのだ。では、なぜイタリアなのか。リハーサルの前にインタビューしたルイゾッティはこんなふうに語っていた。

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 「結局、イタリア・オペラだからです。台本はイタリア語で、作曲家(モーツァルト)はオーストリア人ではあるけれど、ボローニャのマルティーニ神父のもとで勉強し、そこでイタリア語も習得している。モーツァルトは、台本作家がドイツ語で書けば、ドイツの作曲家になり、ダ・ポンテのようにイタリア語で書けば、イタリアの作曲家になるのです」
 
 しかも、ルイゾッティいわく、モーツァルトは同時代の作曲家と違って、言葉が先にありき、だった。イタリア語の台本があって、それを深く理解した上で、イタリア語の響きやアクセントが魅力的に聴こえるように作曲したのだ、と。そうであるならば、イタリア語に
精通した人たちによる上演でなければ、このオペラの真の魅力は伝わらないということだ。

 私たちは、という以前に、世界の劇場が歴史的に、ダ・ポンテのイタリア語台本に作曲されたモーツァルトのオペラを、ドイツ・オペラだと思ってきたところがある。でも、作曲したモーツァルト自身が、これらの作品をイタリア・オペラと認識していたのであれば、そのように演奏されないかぎり、モーツァルトに近づかないのは道理だろう。

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 さて、歌手陣だが、まずイタリア人から挙げると、伯爵夫人のセレーナ・ファルノッキア(ソプラノ)は、気品のある美声できれいなレガートを作り出せる。フィガロのガブリエーレ・ヴィヴィアーニ(バリトン)は若々しくも深い声と、力強いアクセントが魅力的だ。ケルビーノのダニエラ・ピーニ(メッゾ・ソプラノ)は、ボーイッシュな声がまさにケルビーノ。そして、彼らのイタリア語が美しいことは言うまでもない。
 
 一方、アルマヴィーヴァ伯爵のマルクス・ヴェルバ(バリトン)はオーストリア人だが、驚いた。もしかしたら、上記3人より美しいのではないか、というほどイタリア語が美しい。その上、声に品格があり、歌唱フォームも格調高いのだ。おまけに品のあるイケメンでスタイルもいい。聞けば、彼はオーストリアでもイタリアに近い南部の出身で、イタリア語は“第2母国語”なのだという。それが品位あるスタイルで響けば、美しいのは当然である。

 そして、スザンナのダニエレ・デ・ニース(ソプラノ)。ヘンデルなどのバロック・オペラでも活躍する超絶技巧の持ち主で、歌唱力には定評があるうえに、根の活発さが役に反映されて、魅力的なスザンナだ。しかも、彼女もまたイタリア語が美しいのだが、それというのも、最近まで某イタリア人歌手と交際していたのだとか。

 これら歌手陣を前に、イタリア語の響きの美しさも、そのリズムの特徴も熟知したルイゾッティが、きびきびと棒を振れば、演出のラヴィアが、言葉の微妙なニュアンスと動作を結びつけて、歌手を細かく 指導する。そこはさすが舞台俳優兼演出家。ラヴィアが自ら動いてみせるから、歌手たちはたちどころ理解して、動作の切れ味が完成されていく。舞台装置もわざわざイタリアから運んできた、実に美しいもの。終演後、知と情の双方を満足させてくれる最高の“イタリア・オペラ”を観た満足感を胸に家路に着ける。そんな確信を持ったのである。

香原斗志(かはら・とし)◎音楽ジャーナリスト

【公演情報】
3/6(木)〜3/12(水)サントリーホール(大)(東京都)

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2008-03-03 18:33 この記事だけ表示
 
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