神尾真由子がベルリン・バロック・ゾリステンとバッハの協奏曲を奏でる。神尾といえば、2007年のチャイコフスキー国際コンクールの優勝者であり、チャイコフスキーやシベリウスなどのロマン派の協奏曲でのテンションの高い演奏が思い起こされ、バロック音楽のイメージはあまりない。それでもバッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」や「2つのヴァイオリンのための協奏曲」は幼い頃から弾いてきた。

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2015-12-09 17:21 この記事だけ表示

 2012年、高校在学中に日本音楽コンクールで第1位を獲得し、一躍、注目されるようになった反田恭平。現在、モスクワ音楽院でM.ヴォスクレセンスキーに師事している。今年7月にはデビュー・アルバム「リスト」をリリース。そんな彼が満を持して、2016年1月23日にサントリーホールでデビュー・リサイタルをひらく。楽器は、ホロヴィッツが愛用したヴィンテージ・ニューヨーク・スタインウェイ(1912年製)を使用する。

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2015-11-16 16:52 この記事だけ表示

指揮を務める飯守泰次郎さん他、ドンナ―の黒田博インタビューも収録。
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 新国立劇場2015-2016シーズンの幕開けを華々しく飾るワーグナー作曲『ラインの黄金』。国際的な活躍するベスト・キャストを集め、日本人歌手にも充実した顔ぶれを揃えたこの壮大なプロダクションの稽古初日に、記者を集めてのキックオフ会見が行われた。

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2015-10-01 12:32 この記事だけ表示

 スイス在住のチェリスト、新倉瞳が久々に東京で本格的なリサイタルをひらく。現在は、ソリストとして活躍するほか、カメラータ・チューリヒでソロ首席チェリストも務めている。

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2015-09-29 13:33 この記事だけ表示

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 10月1日に『ラインの黄金』で幕を開ける新国立劇場の『ニーベルングの指環』。チクルスの4部作すべてに出演するステファン・グールド氏は、バイロイトでも活躍する世界屈指のヘルデン・テノールだ。新国立劇場では既に『トリスタンとイゾルデ』のトリスタン、ヴェルディ『オテロ』のタイトルロールを演じている。岩のような存在感と落ち着いた賢者のオーラ、宝石の如く輝く瞳が、いかにもワーグナーの世界の住人といった趣だ。4作連続出演への抱負と、役柄に対する深い考察を聞いた。

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2015-09-28 13:20 この記事だけ表示

 「幻のオペラ」と呼ばれるリヒャルト・シュトラウスの『ダナエの愛』。作曲家が生涯の終わり近くに書いたこの作品は、音楽的な水準の高さにもかかわらず世界で十数個の演出ヴァージョンしか存在せず、我が国でも演奏会形式の上演しか行われてこなかった。今回の東京二期会による初の舞台上演では、映画監督の深作健太さんが演出を手掛けることでも大きな話題となっている。2010年から演劇の演出家としても活躍する深作さんだが、オペラ演出はこの『ダナエの愛』が一作目。都内の稽古場で行われている舞台稽古は白熱し、深作さんは歌手と同じ動きをしながら、歌詞のひとつひとつを吟味して芝居を作り上げていた。少年時代からオペラに魅了され、たびたびドイツに飛んで本場のワーグナーを鑑賞していたとい深作さんに、大きなオペラ愛と演出のヴィジョンについて尋ねた。

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2015-09-25 18:21 この記事だけ表示

 「バンドネオンでやれることはすべてやりたい。そのためだったら、必要に応じて楽器を改造することだってあるかもしれません」

 インタビューをする度に爽やかな笑顔でそう力強く語るのは、バンドネオンの若き俊才・三浦一馬。4月に発表した新譜「ス・ワンダフル」(ビクター)は、その言葉を体現する記念すべき第一歩になった。彼は今回、過去3枚で取り上げ続けてきたタンゴを離れて新境地へ。ガーシュウィンをテーマに、今日のアメリカ音楽の礎を築いた巨匠への深い敬愛を歌っている。収録曲には、表題作や「ラプソディ・イン・ブルー」など、吟味を重ねた全10曲が並ぶ。

 「ガーシュウィンは、クラシック、ジャズ、ミュージカルなどを自在に往来して活躍した作曲家なので、その魅力をお伝えできる選曲を意識しました。発売から1ヶ月経ちますが、ファンの皆さんの反応も上々で、新鮮な驚きを交えながら喜んでくださる方が多いですね」

ガーシュウィンとピアソラを常日頃からとても尊敬しているんです

 6月には、東京、名古屋、大阪で当盤の発売記念ツアーを開催。2部構成のプログラムで、前半が当盤の収録曲の抜粋。休憩を挟んだ後半は、三浦の十八番ピアソラを披露する。

 「ガーシュウィンとピアソラは、ニューヨークとブエノスアイレスという共に移民が築き上げた街に生き、その匂いや人々の声を音楽の中に巧みに織り込んだ人。僕も不遜ながら、いつか自分の街を代弁した音楽を創りたいと思っているので、2人を常日頃からとても尊敬しているんです」

 前半は、ガーシュウィンの「サマータイム」「魅惑のリズム」など7曲を演奏予定。

 「CDと同じ五重奏編成(バンドネオン、ヴァイオリン、ピアノ、パーカッション、コントラバス)で初めて人前で演奏するので、僕自身とても楽しみです。弦楽器が2本あるので、バンドネオンが金管的に活躍するビックバンドのような演奏をイメージしています。中でも最後に弾く『ガール・クレイジー』序曲は、有名な『アイ・ガット・リズム』などの起源になった作品なので、ぜひご注目ください」

 後半のピアソラは、作曲者が考案したキンテート(バンドネオン、ヴァイオリン、ピアノ、ギター、コントラバスの五重奏)による演奏だ。

 「パーカッションの替わりにエレキ・ギターが入る編成で、『デカリシモ』『ブエノスアイレスの冬&夏』という僕がずっと弾き続けてきた名曲から始めます。そして後半は、キンテートでは今回が初挑戦となる『天使の組曲』(全4曲)から、『イントロダクション』『ミロンガ』『死』の3曲を。タンゴの街ブエノスアイレスの場末に住む人々の魂を浄化させるために降臨した天使の戦いと、死と、復活を描いた音楽ですが、今回は『復活』を除いた形で演奏します。でも、これらの3曲もピアソラのご他聞に漏れず、オリジナルの楽譜が存在してなくて…。現在夜な夜な自分で作成中です(笑)。中でも『イントロダクション』は隠れた名曲なので、どうぞお楽しみに」

 そして今回のツアーでは、共演者や会場にも見どころが満載になっている。

 「ヴァイオリンは大阪が荒井英治さんで、東京&名古屋が石田泰尚さん。ピアノは東京&大阪が山田武彦さんで、名古屋が加藤昌則さんになります。皆さん本当に素晴らしい演奏家ですし、個性も際立っているので(笑)、CDとはまた一味違う演奏になると思います。会場に関しては、EX THEATER ROPPONGI(東京)とウインクあいち(名古屋)は、今回が初出演。どちらもクラシック専門ではなく、様々なジャンルに対応した最新式のホールなので、PAや照明などをうまく活用しながら、一期一会の公演をお届けできるように頑張ります」

[取材・文=渡辺謙太郎]
[撮影=平田貴章]

三浦一馬さんからメッセージムービーが到着!

公演概要

三浦一馬

<公演日程・会場>
2015/6/2(火)  愛知県産業労働センター WINC AICHI (愛知県)
2015/6/4(木)  EX THEATER ROPPONGI (東京都)
<ガーシュウィン&ピアソラ>
2015/6/13(土)  あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール (大阪府)

2015-05-14 20:31 この記事だけ表示


©Shion Isaka

 チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門において、日本人2人目の優勝を飾ってから、早いもので8年。ニューヨーク・タイムズ紙上でも「聴く者を魅了する若手演奏家」「輝くばかりの才能」と絶賛される神尾真由子が、この度、本格的なピアノ三重奏に初挑戦する。共演は世界的チェリストのジャン・ワンと、若手実力派ピアニストのキム・ソヌクで、グループ名はその名も「スーパー・トリオ」。結成のきっかけは、長年の恩師、ジャン・ワンの呼びかけによるものだという。



「スーパー・トリオ」でそれぞれの母国、日本・韓国・中国へ


©Shion Isaka

「ワンさんとは私がまだ日本にいた中学時代からの知り合いで、演奏も人柄もいい意味でオープン。誰にも分け隔てなく接することができる人格者なので、小さい頃からずっと慕っていました。そんな敬愛する彼から嬉しいオファーをいただき、お勧めの若い韓国人ピアニストがいるから、ピアノ三重奏にしようということになったんです。今回は日本、韓国、そしてワンさんの母国である中国の3ヵ所でツアーを行います」

キム・ソヌクは、2006年のリーズ国際ピアノ・コンクールで史上最年少かつアジア人として初優勝を飾った俊才だ。

「13年にチョン・ミョンフン指揮ソウル・フィルとの共演で、メンデルスゾーン:Vn協奏曲のCDを発表する(ユニバーサル)など、若くして注目を集める素晴らしいピアニストだと伺っています。彼とは今回が初共演なので詳しいことは存じ上げませんが、ワンさんの一押しだから何の心配もありませんし、お会いするのがとても楽しみです」

日本ツアーは、全国5ヵ所で開催。東京公演(紀尾井ホール)では、ベートーヴェン「幽霊」とチャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出に」という2つの大曲を披露する。

「ベートーヴェンはワンさんからの提案で、チャイコフスキーは私からのリクエストによるもの。『幽霊』は、第2楽章の開始部分で幽霊が出てきそうな不気味な雰囲気から命名されたと言われています。そこをいかにも幽霊らしく弾くか、あるいは逆に軽くするか。解釈が大きく分かれるのが面白いですね。私の解釈はどちらかというと後者ですが、ワンさんはロマンティックな音楽性の持ち主。リハーサルの結果、それが実際にどういう形にまとまるかにご注目いただければ幸いです。そしてチャイコフスキーの三重奏曲は、私がずっと演奏したかった大好きな作品。調性や音色が大きく変化する第2楽章は、楽しくもあり難しくもありますね。チャイコフスキー国際コンクールの直後に演奏予定だったのですがキャンセルになってしまい、今回8年越しでその夢が叶うので本当に嬉しいです」

このトリオの継続とさらなる成熟を願ってやまないと伝えたところ、「その時はぜひショスタコーヴィチに挑戦したいです」と笑顔で語ってくれた神尾。今後もフランソワ=グザヴィエ・ロトが指揮する読売日本交響楽団と共演するサン=サーンスの協奏曲第3番や、沼尻竜典が指揮する東京交響楽団と共演するメンデルスゾーンの協奏曲など、楽しみな公演が目白押しだ。そうした多忙な中、プライベートでは、13年にロシア人ピアニストのミロスラフ・クルティシェフ(神尾と同年のチャイコフスキー国際コンクールで最高位入賞)と結婚した神尾。取材当時(15年1月)の彼女は出産前で、その最新の状況や心境について貴重なコメントを寄せてくれた。


©Shion Isaka

「お医者様の診断によると、多分男の子だそうです。当初は主人も私も子供を演奏家にするつもりはなかったのですが、胎教で主人がピアノを弾いてくれたり、往年の巨匠たちの名盤を聴いたりする中で、2人とも少しずつ親バカになってきて…。主人は、“絶対ピアニストに向いている”と言っています。最も反応するのは、ピアニストのヴラディーミル・ホロヴィッツとミハイル・プレトニョフの演奏。ただこれは、私が彼らのことを大好きで、心拍数が上がっているせいかもしれませんね(笑)」

[取材・文=渡辺謙太郎(音楽ジャーナリスト)]



公演概要

神尾真由子&ジャン・ワン&キム・ソヌク 「スーパー・トリオ」

<公演日程・会場>
2015/5/31(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール (兵庫県)
2015/6/1(月) アルカスSASEBO 中ホール (長崎県)
2015/6/3(水) 紀尾井ホール (東京都)


<出演・曲目>
神尾真由子(Vn)/ジャン・ワン(Vc)/キム・ソヌク(Pf)
曲目・演目: ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番 ニ長調 「幽霊」
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 「偉大な芸術家の思い出に」




2015-02-27 17:55 この記事だけ表示

 青島広志が指揮する「世界まるごとクラシック」が“HAPPY NEW YEAR 2015"のサブタイトルで来年1月から2月にかけて、東京、名古屋、大阪で開催される。2008年に始まったこのコンサートは今回が第8弾となる。青島は「何よりもお子さんに聴いてほしい」という。


是非お子さんと一緒に。2015年にアニバーサリーを迎える作曲家の作品も続々登場!

 「ダイナミックで、リズミックな曲を選んでいます。《アナと雪の女王》の『レット・イット・ゴー』のように今年流行った曲も入れています。曲の長さはなるべく短く、4分を超えないようにします。話をしながら聴いてもかまいません。歌って踊れる曲として、《となりのトトロ》から『さんぽ』を私のオリジナルの振り付けでみんなに踊っていただこうと思っています。また、演奏するオーケストラがバレエを得意とするシアターオーケストラトーキョーなので、バレエ音楽《白鳥の湖》も取り上げます。

 私は子供の頃、親に音楽会に連れて行ってもらったことがほとんどありませんでした。行ってみたいとは思っていたのですが…。ですから、お子さんが是非とも行ってみたいと思うような音楽会にしたいと思っています。それには、視覚的な要素も採り入れて、画面で演奏者の顔をアップで見せたり、作曲家の顔のイラストを出したりもします。また、私は、指揮をしながら、曲がどういう場面なのかの説明もします。手と違った動きを口がしなければならないので指揮者にとってはたいへんですが(笑)、《フィンランディア》か《だったん人の踊り》でやるつもりです」


今回は新年早々のコンサートということで、2015年にアニバーサリーを迎える作曲家の作品も紹介される。

  「まず生誕330年のバッハとヘンデルですね。バッハやヘンデルというと難しそうですが、バッハはお子さんが23人いたこと、ヘンデルは自分を売り込むことがすごく上手くてイギリスで有名になったことなどのお話をしようと思っています。生誕190年のヨハン・シュトラウス2世は新春ということで《春の声》を演奏します。《カルメン》を作曲したビゼーは没後140年です。さらに、シベリウスは生誕150周年を記念して《フィンランディア》を取り上げます」

 「世界まるごとクラシック」を聴き来る人には高齢の女性も多いという。

 「私のお客さまはほとんどがおばあさまです(笑)。今は音楽会自体が高齢の女の方を除いては成り立たないのです。私のコンサートは、70歳以上と10歳以下という感じがします(笑)。中間層がいらっしゃらないのです。楽しいことは、一人で楽しむよりもみんなで楽しむ方が倍増するので、是非誰かを誘って来ていただきたい。一人でいらっしゃった方は、席の両隣の人に話しかけてみてほしい。音楽会に行くことでお友だちが増えるというのは素晴らしいことですから。小さいお子さんに伝えたいのは、ここではみなさんが王子様、王女様です、私はその方たちに雇われた家来なのです、ということです。気負わないで来てほしいですね。難しいものではありません。シアターオーケストラトーキョーは、若い人が多く、生き生きとしていて多士多彩です。そして今回はなんと、初めて名古屋、大阪へ私たち伺うことになったんですよ。どうぞお知り合いの方にお勧めになって、必ず聴きにきてくださいね。」

[取材・文/山田 治生]
[カメラ/渡辺 マコト]

指揮者の青島広志さんからメッセージ動画到着!



公演概要

世界まるごとクラシックHAPPY NEW YEAR 2015

<日程・会場>
2015/1/12(月・祝) 東京国際フォーラム ホールA (東京都)
2015/1/31(土)愛知県芸術劇場大ホール (愛知県)
2015/2/1(日)フェスティバルホール(大阪府)

<キャスト・スタッフ>
青島広志(指揮・お話)
シアターオーケストラトーキョー(管弦楽)

<曲目>
行進曲「威風堂々」第1番(エルガー)
「水上の音楽」より“アラ・ホーンパイプ"(ヘンデル)
G線上のアリア(J.S.バッハ)
ハンガリー舞曲 第5番(ブラームス)
バレエ「白鳥の湖」より“ワルツ"(チャイコフスキー)
交響詩「フィンランディア」(シベリウス)
春の声(J.シュトラウスII世)
歌劇「カルメン」より“前奏曲"(ビゼー)
歌劇「イーゴリ公」より“だったん人の踊り"(ボロディン)
ラデツキー行進曲(J.シュトラウスI世)
(※皆様のリクエストにお応えする今回のスペシャル曲
映画「アナと雪の女王」より“レット・イット・ゴー"
アニメ「となりのトトロ」より“さんぽ”)

2014-12-16 13:34 この記事だけ表示

 2010年のショパン国際ピアノ・コンクールに優勝してから4年、ユリアンナ・アヴデーエワは、より一層ピアニストとしての進化を続けている。そんな彼女が、来年2〜3月のトゥガン・ソヒエフ&トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の来日公演にソリストとして招かれ、ショパン・コンクールでも弾いたショパンのピアノ協奏曲第1番を演奏する。



インタビュー

「ソヒエフとは初めての共演になりますが、彼の演奏はトゥールーズだけでなく他のオーケストラでも聴いています。彼の音楽への情熱的なアプローチ、音楽的な知識など、とても興味があります。トゥールーズ・キャピトル国立管は特別な伝統のあるオーケストラなので共演が非常に楽しみです。

ショパンのピアノ協奏曲第1番は、彼がポーランドを離れる直前のまだ若い頃の作品です。彼はワルシャワのオペラ・ハウスに通い、イタリア・オペラ、特にベッリーニを好んでいました。当時、彼は音楽院の若い歌手に恋をしていたのです。まだ若い青年の感情の世界が万華鏡のようなに表現されています。第1楽章の第2主題や第2楽章の旋律はイタリア・オペラのようですし、第3楽章はポーランドの踊りです。そういういろいろな要素が詰まった曲をみなさんの前で演奏するのが楽しみです。

また、この曲ではオーケストラの役割がピアノと同じくらいに大きいと思います。ショパンは個々の楽器に素晴らしいソロを書いています。第2楽章のピアノとファゴットの対話はオペラの二重唱のようです。オーケストラとのコラボレーションは重要であり、オーケストラがどう演奏するかで私の演奏も変わってきます」


 アヴデーエワは、2012年に、ショパンのピアノ協奏曲第1番と第2番を先日亡くなった古楽界の巨匠フランス・ブリュッヘンが率いる十八世紀オーケストラと録音した。そのとき彼女はショパンと同時代の1849年製のエラールを弾いた。

「古楽器で演奏するのは、タイムマシンに乗るような経験です。作曲家の音の世界に飛び込むわけです。ショパンは、モダン・ピアノの音は聴いたことがなく、彼が知っていた音の世界は当時のエラールやプレイエルでした。エラールではモダン・ピアノと違うアーティキュレーション、ペダリング、ダイナミックスが求められます。ブリュッヘンとの共演からは多くを学び、それらのことは生涯、私に影響を与え続けるでしょう。このときのエラールで演奏した経験によって、モダン・ピアノを弾く時にも、テクニックやメソッドの幅が広がったと思います。新しい表現への可能性を発見し、音のパレットが増えたのです」

 レパートリーの広がりがショパン演奏にも良い影響を与えるという。

「学びたい曲は一杯あります。最近はバッハをよく弾いています。20世紀でしたら、ショスタコーヴィチやメシアン。もちろん、ショパンは私にとって特別なレパートリーです。20世紀の音楽を弾くとショパンに新しい見方ができ、バッハを学ぶとショパンがよりよく理解できます」

 様々な影響を受け入れながら成長を続けるアヴデーエワと鬼才ソヒエフ率いるトゥールーズ・キャピトル管とのショパンのピアノ協奏曲第1番は、まさに興味津々である。

[取材・文=山田治生]
[撮影=坂野 則幸]

取材協力=スタインウェイ・ジャパン
(東京・天王洲/新セレクションセンター)

公演概要

東芝グランドコンサート2015


<会場・日程>
2015/2/23(月) アクロス福岡シンフォニーホール (福岡県)

<キャスト&スタッフ>
管弦楽:トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
指揮:トゥガン・ソヒエフ
ソリスト:ルノー・カプソン(ヴァイオリン)

曲目・演目: ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 Op.61
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲『展覧会の絵』


2014-12-02 16:08 この記事だけ表示