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インタビュー

――ずばり、ゴスペルの1番の魅力は?

 ゴスペルは世界にとって“希望”です。文化などは関係なく、ゴスペルの音楽はいつもみんなに喜びと希望を運んでくれます。今、わたしたちのいるこの世界は不安や心配事で溢れていて、たくさんの戦争、争いがあります。けれど、ゴスペル音楽は平和や平穏、喜びや希望をもたらし、こんな世界でどう生きていけばいいのかを教えてくれます。それはとても明確で、あなたにもわたしにも、みなさんにできることです。

――グローリー・ゴスペル・シンガーズの特徴を教えてください。

 わたしたちは様々な方法でゴスペルを歌います。同じ歌であっても、いろいろな歌い方をします。通常の伝統的な歌い方、近代的な歌い方、アカペラ、そしてジャズなど、世界中の歌い方の文化をつかっています。私たちの特徴は聴いてる人たちの心に届く歌を歌うことができることです。

――今回のコンサートのどんなところに注目して貰いたいですか?

 去年から今までのあいだに世界中ではたくさんのことが起こりました。私たちは全ての人に一緒に楽しんでもらい、たくさんのクリスマスの喜びと平和を全ての年代の人にとどけたいです。年配の方には尊敬と愛をもち、クリスマスと子供達や若い人たちの希望や愛をこめた、特別で情熱的な歌をすべてのお客さんにお届けします。

――読者に向けてメッセージをお願いします。

 こんにちは、私はフィリス・マッコイ・ジョベルト、グローリー・ゴスペル・シンガーズのディレクターです。私たちは日本に行ってみなさんのために歌うのをとても楽しみにしています。クリスマスがもうすぐやってくるので、特別な愛と喜びを私たちの歌に込めてみなさんに届ける準備をしています。みなさんにたくさんの愛を届けるのが待ちきれないです!!!みなさんに早く会いたいです!!!

――クリスマスシーズンに届けるこのコンサートに込める思いを聞かせてください。

 今回は少し違うことをしたいと思っていて、いくつか新しいビートや表現を考えています。A Christmas Drum Songや、Black Opera、Great Gospel、ラップ、アカペラなども少し考えています。新しい衣装と素晴らしいメンバーと共に、みなさんにクリスマスの希望と平和をお送りします!!!クリスマスの華やかなコンサートになると思います。クリスマスの喜びの歌で皆さんに幸せをお届けします!!!

公演概要

グローリー・ゴスペル・シンガーズ クリスマス☆ゴスペル2014

<公演日程・会場>
12/6(土) 神戸国際会館 こくさいホール (兵庫県)
12/7(日) オリックス劇場 (大阪府)
12/11(木) 茅ヶ崎市民文化会館 大ホール (神奈川県)
12/14(日) 愛知県芸術劇場大ホール (愛知県)
12/16(火) 四街道市文化センター 大ホール (千葉県)
12/18(木) 相模女子大学グリーンホール 大ホール (神奈川県)
12/19(金) 杉並公会堂 (東京都)
12/20(土) 神奈川県民ホール 大ホール (神奈川県)
12/21(日) 渋谷公会堂 (東京都)
12/22(月) すみだトリフォニーホール 大ホール (東京都)
12/23(火・祝) 川口総合文化センター リリア メインホール (埼玉県)
12/24(水) よこすか芸術劇場 (神奈川県)
12/25(木) 府中の森芸術劇場 どりーむホール (東京都)

<出演>
グローリー・ゴスペル・シンガーズ

2014-11-11 17:34 この記事だけ表示

 秋深まる季節、ヨーロッパのオーケストラや劇場が相次いで新シーズンを迎えている。 イタリア最古のシンフォニー・オーケストラとして名高い「ローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団」の新シーズン開幕は10月25日(本拠:ローマ)。しかし、そこにリリカルで絢爛なイタリア音楽を並べたプログラムを期待すると、やや肩透かしをくらってしまう。前半は、円熟期に入ったエフゲニー・キーシンを迎えてのロシア音楽(ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番)と、ムソルグスキーの「禿山の一夜」。後半には、11月の日本ツアーでも披露されるリヒャルト・シュトラウスの大曲「アルプス交響曲」を奏で、この作曲家の生誕150年を祝おうというプログラムだ。



音楽監督サー・アントニオ・パッパーノに訊く

 数週間後に日本を訪れる「ローマ・サンタ・チェチーリア管」が携えてくる曲目に目を通しても、すぐさま同様の――いわゆる“イタリア色”の薄い――傾向に気づかされる。メインにはR.シュトラウスの「アルプス交響曲」とブラームスの交響曲第2番を配置。これに先立ち、ブルッフとドヴォルザークの協奏曲が演奏されるという、ドイツ色の強いラインナップだ。

 音楽監督サー・アントニオ・パッパーノに、この意外な選曲の意図や楽団の近況、日本ツアーへの意気込みをたずねた。

■イタリアのオーケストラの演奏で聴くR.シュトラウス&ブラームス

「イタリアのオーケストラにとって、たしかにドイツ音楽は、例えば母国イタリアのオペラに比べれば遠い存在です。しかし、サンタ・チェチーリア管は発足当時から現在まで、オペラとは一定の距離を置く“シンフォニー・オーケストラ”であり続けてきた楽団です。彼らがイタリアのリリカルなレパートリーを見事に演奏するのは当然のことですが、一方で、彼らが長年のあいだ、優れた指揮者たちと共にドイツやロシアの交響曲の演奏の伝統を育んできたことも事実です。」

とりわけ今年、生誕記念イヤーを迎えたR.シュトラウスに寄せる楽団とパッパーノの想いは強いという。

「かつて、R.シュトラウスがサンタ・チェチーリア管を指揮するために何度かローマを訪れたというエピソードは、今日の団員たちにとって誇りであり続けています。私自身、オペラ指揮者としてR.シュトラウスの音楽には長年、愛着を抱いてきました。2002年からイギリスのロイヤル・オペラ・ハウスの音楽監督をつとめていますが、初年度に振った第1作目が《ナクソス島のアリアドネ》であったことは、偶然ではありません。」

「R.シュトラウスの傑作のひとつである《アルプス交響曲》を、ローマの新シーズン開幕コンサートで取り上げたのちに、日本にも携えていくというアイデアは、私が声高に主張したものです。絶対にこの曲で勝負したい!、と(笑)。確かに《アルプス交響曲》はドイツ音楽にカテゴライズされる作品ですが、アルプスはフランスやスイスだけではなく、イタリア北部にもまたがっていますから、題材としてはとても身近です。何より、個々の演奏技術が驚異的に高い木管・金管プレーヤーたちが名を連ねるサンタ・チェチーリア管による《アルプス交響曲》の演奏が退屈なものと化すはずはありません。」

 パッパーノは、サンタ・チェチーリア管とブラームス作品の関係についてはこう説明する。
「日本ツアーのために選んだ第2番の交響曲は、最近もローマの定期公演で取り上げています。演奏が極めて満足のいくレベルに達し、海外ツアーにもぜひ持っていきたいと考えたのです。ブラームスはここ数年の間に、私がサンタ・チェチーリア管とともに繰り返し演奏している作曲家のひとり。演奏するたびにローマの聴衆からの好意的な反応も多く、励みになっています。ハンブルクで生まれたブラームスが、生涯のあいだ、温暖でまばゆい光に満ちた南イタリアに惹かれていたことは有名ですね。第2番の交響曲には、とりわけその憧れの想いが反映されているように思います。サンタ・チェチーリア管の演奏を通して、この交響曲のそうした魅力が浮き彫りになれば嬉しいですね。」

■イタリア音楽による幕開け

 もちろんパッパーノは、サンタ・チェチーリア管とともに日本の聴衆にイタリア音楽を届ける、という使命から完全に手を引いたわけではない。今回、彼らが日本ツアーのために準備している2種のプログラムはいずれも、イタリア・オペラの序曲で華やかに幕開けする。

ロッシーニのオペラ「セビーリャの理髪師」序曲は、去る10月22日に“来日記念盤”として日本でリリースされたばかりの最新盤『ロッシーニ序曲集』からの一曲。あの得も言われぬ“ロッシーニ・クレッシェンド”に乗って湧き上がるコン・ブリオ、みなぎる情熱など、イタリア最高のオーケストラでしか味わえない感覚を、公演の幕開けで堪能できるのはやはり嬉しい。


■日伊の豪華ソリストとの協演

 日本とイタリアを代表する弦楽器奏者たちとの共演も、今回のツアーの魅力の一つだとパッパーノは力説する。

「ブルッフで共演する諏訪内晶子さんとは、初めての共演になります。私が拠点を置くイギリスでも、常に素晴らしい演奏を披露している方。国際舞台での経験が豊富で、現代音楽にも長けているなど、柔軟で好奇心旺盛なヴァイオリニストであるとの印象をかねてから抱いています。彼女が楽団の長所をどのように刺激してくれるのか、共演が決まった時からずっと楽しみにしているのです。」

 ドヴォルザークのチェロ協奏曲で共演するマリオ・ブルネロとは、すでに同曲の名盤をリリースしている。

「マリオは、音楽好きであれば知らぬ者はいない、イタリア出身の大チェリストですが、意外にも私が彼と初共演を果たしたのは、ドヴォルザークのチェロ協奏曲の録音の折だったのです。ずっと共演したいと思っていたので、これが実現した時にはひたすら嬉しかったですね。聴き慣れ・演奏し慣れたはずの名曲ですが、マリオが作品にもたらした実に深みのある抒情性を、とても新鮮に感じました。日本では、サンタ・チェチーリア管とマリオ、そして私の“イタリアン・トリオ”によるドヴォルザークの演奏を通して、最高に美しいカンタービレをお届けできると確信しています。」

 2005年にスタートしたパッパーノとサンタ・チェチーリア管の二人三脚は、早いもので10シーズン目を迎えた。11月の久々の来日公演は、日に日に信頼感を深めていく彼らの躍進ぶりを目の当たりにする、エキサイティングな機会となるだろう。


公演概要

ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団


【 京都公演 11/5(水) 】

<日程・会場>
2014/11/5(水) 京都コンサートホール大ホール (京都府)

<出演>
指 揮: アントニオ・パッパーノ
チェロ: マリオ・ブルネロ

<曲目>
ヴェルディ:オペラ「ルイザ・ミラー」序曲
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 op.73

【 東京公演 11/7(金) 】

<日程・会場>
2014/11/7(金)  サントリーホール 大ホール (東京都)

<出演>
指 揮: アントニオ・パッパーノ
チェロ: マリオ・ブルネロ

<曲目>
ヴェルディ:オペラ「ルイザ・ミラー」序曲
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 op.73

【 東京公演 11/11(火) 】

<日程・会場>
2014/11/11(火)  サントリーホール 大ホール (東京都)

<出演>
指 揮:アントニオ・パッパーノ
ヴァイオリン:諏訪内晶子

<曲目>
ロッシーニ:オペラ「セビーリャの理髪師」序曲
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 op.26
R.シュトラウス:アルプス交響曲 op.64

【 愛知公演 11/10(月) 】

<日程・会場>
2014/11/10(月)   愛知県芸術劇場コンサートホール (愛知県)

<出演>
指 揮:アントニオ・パッパーノ
ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団
チェロ:マリオ・ブルネロ

<曲目>
ヴェルディ:オペラ「ルイザ・ミラー」序曲
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 op.73
2014-10-27 20:20 この記事だけ表示

 若い頃から日本を代表するヴァイオリニストと活躍し、近年は宮崎国際音楽祭音楽監督も務める徳永二男。そんな彼が2008年に「徳永二男の挑戦 10年間・10回リサイタルシリーズ」を始め、以来毎年10月、紀尾井ホールでリサイタルをひらいている。シリーズは今年で7回目を迎える。徳永は現在、67歳。最終回の10回目には70歳になっている。

インタビュー

 「シリーズは、今のところ、無事すすんでおります(笑)。今年はピアノに野平(一郎)先生に来ていただきます。これまでにもいろいろな形で共演し、気心も知れ、人間的にも音楽的にも尊敬しています」

 第7回のプログラムは、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第7番、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第1番、バッハの無伴奏パルティータ第1番、シュニトケのヴァイオリン・ソナタ第1番。

 「今回は短調のソナタを並べました。暗い静けさから悲劇的な激しさまでの心の動きを聴いていただきたいと思います。まったく違う色の4曲ですから、それぞれの音色の違いを楽しんでほしいですね。

 プロコフィエフのソナタ第1番は、オイストラフとオボーリンによって1946年に初演されましたが、それは僕が生まれた年なのです(笑)。ヴァイオリニストにとってはとても大切な曲。第1楽章と終楽章の終わりの部分で、32分音符がピアニッシモで駆け上がっていく風の音のような音型が特徴的ですが、作曲者自身が『墓場を通る風の音』と言っていました。

 ベートーヴェンは、伊藤恵さんとCD録音や全曲演奏をしましたが、やはり取り上げる回数が多いですね。第7番は、モーツァルトの色からベートーヴェンの音楽になった後期の最初の曲ではないかと思っています。かなり骨格が大きくなり、音の質も変わっています。意志の強い音が求められるのです。

 バッハで僕が目指しているところは、バッハが『天使に捧げる』という言葉を残しているのですが、そのような無理のない自然な響き、透明感です。バッハの無伴奏ソナタとパルティータは弦楽器では一番難しい曲かもしれません。コード(和 音)と格闘しがちで、さりげなく自然に弾くのにはとても苦労します。今年も“挑戦”で、より自分の理想とするバッハの音色が表現できればと思います。僕も 随分前ですが2年間くらいバロック・ヴァイオリンを勉強したことがありまして、あれは、楽器のことが理解できた良い時間でした。

 シュニトケのソナタ第1番は、野平先生と既に2度共演しています。野平先生は、ピアニストとして素晴らしいのですが、作曲家としての視点もあり、最初の共演のとき、曲の形を明確に描かれ、僕も勉強させていただきました。曲は、バッハに対する尊敬もありBACHの 音型が入っていたり、ジャズっぽいリズムが入っていたり、皮肉っぽいところもあったり、彼のいろいろな心の動きが入っていて、弾けば弾くほどシュニトケの 心の内側が見えてきます。そしてこの曲はアンサンブルがものすごく難しいのです。相手の音が相当はっきりと聴こえてないとかみ合わないところがかなりあります」


 徳永はこの10回シリーズのこれまで6回を振り返って、そして今後に向けてこう語った。

 「タイトルに“挑戦”と書いてありますが、それはこのシリーズを始める際の僕の気持ちでした。ある年齢になって、表現の技術をもう一度見直したいと思ったのです。自然な表現、音楽的会話に必要な音を追求するということですね。若い頃にできなかったことで、今、楽々とできることはかなり多いです。

 これまで目先のコンサートばかりでしたが、このシリーズでは1年先が見えていて、じっくりと作っていける。1年ずつ、いい勉強ができています。人間ですから、肉体的な反射能力や運動能力は落ちてきますが、そこをどうするかにも“挑戦”していきたいですね。理想を言えば、10年シリーズの10回目でヴァイオリニストとしてのピークを迎えられればと思っています」

[取材・文/山田治生]
[撮影/渡辺 マコト]

公演概要


(C)K.Miura


徳永二男 10年間・10回リサイタルシリーズ 第7回

<公演日程・会場>
2014/10/31(金) 紀尾井ホール (東京都)

<キャスト&曲目>
出演:徳永二男、野平一郎

曲目・演目:ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調 op.30-2
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ヘ短調 op.80
J.S.バッハ:無伴奏パルティータ第1番 ロ短調 BWV1002
シュニトケ:ヴァイオリン・ソナタ第1番

2014-09-30 19:41 この記事だけ表示

 巨匠カール・リヒターの残した、バッハの精神を受け継ぐ名手揃いの歴史あるアンサンブル。モダン楽器による演奏でバッハの世界観を追求し、その演奏スタイルや解釈で多くの音楽ファンを魅了してきたミュンヘン・バッハ管弦楽団が約30年ぶりに待望の再来日を果たす。芸術監督を務めるハンスイェルク・アルブレヒトにインタビュー。


芸術監督アルブレヒトの語るミュンヘン・バッハ管弦楽団

Q1.ミュンヘン・バッハ管弦楽団の演奏スタイルと伝統について教えて下さい
回答:ハンスイェルク・アルブレヒト(芸術監督/オルガン/パイプオルガン)
 ミュンヘン・バッハ管弦楽団の今日のスタイルや演奏のテクニックは、器楽演奏のための歴史的な演奏規範に大いに影響を受けています。19世紀や20世紀の作品もレパートリーの一部であるため、楽器は「モダン」のものを用います。しかし、バロック時代の作品を演奏する場合、我々は、少数の楽器編成を採用し、面白く多彩で音色が魅力的な、通奏低音群を際立たせます。ニコラウス・アーノンクール、フランス・ブリュッヘン、グスタフ・レオンハルト、ジョン・エリオット・ガーディナーらによる「古楽運動」が登場する以前は、バッハやヘンデルの作品であっても、伝説的な音楽家カール・リヒターの指針のもと、ふんだんにヴィブラートをかけて、大編成で演奏されていました。当時の最も優れた演奏家に数えられる、オーレル・ニコレ(フルート)やモーリス・アンドレ(トランペット)のような「スーパースター」と接点があったにもかかわらず、リヒターの追求は一貫して、後期ロマン派に由来する完璧な音の基準に依拠していたのでした。リヒターは常に、ひとつひとつの音のニュアンスを正確に伝えることを目指していると言っていました。しかしそれは、バロック時代の音楽に対する、我々の現在の知識や現在の聴体験を実際に反映したものではなかったのです。今、我々はここ数十年の経験に基づいて演奏を行っています。新しく、若く、活力ある世代が育ってきているのです。この世代はとても好奇心旺盛で、器楽演奏のための歴史的な演奏規範を追求するのに、多くの時間を費やし、尽力しています。近年のミュンヘン・バッハ管弦楽団には、この素晴らしいミュンヘンのオーケストラに所属する一流の演奏家たちのみならず、いわゆる「古楽界」で活躍するメンバーも加わっています。バロック音楽を演奏するときはいつも、オリジナルの金管楽器や打楽器に加え、バロックの弓やピリオド奏法も採用します。その主な狙いは、明確なフレージングや息づかいをすることはもちろん、音楽の気質や情感を表現することでもあります。


Q2.「ミュンヘン・バッハ管弦楽団」は、これまでにも日本で何度かコンサート・ツアーを行っていると思うのですが、来日は何度目でしょうか。日本で開催されたコンサートによって、カール・リヒターは日本のクラシック音楽ファンの間で有名になりました。日本で行う予定が計画されているコンサートは他に何かありますか。

 ミュンヘン・バッハ管弦楽団のバッハの伝統が日本に初めて紹介されたのは、1969年に行われた、カール・リヒターと彼の2つのアンサンブルによる生演奏でのことでした。このコンサート・ツアーの期間は、バッハの作品だけが演奏されました。「マタイ受難曲」、「ヨハネ受難曲」、「ロ短調ミサ」、さまざまなカンタータ、「マニフィカト」です。リヒターが早くに亡くなってしまったため、第2回として計画された1981年の日本ツアーは、リヒター自身による指揮で行われることは叶いませんでした。代役は彼の弟子であったギュンター・イェーナが務めました。その後、ハンス=マルティン・シュナイトがリヒターの後継者となり、1991年以降はソリストおよび指揮として日本でも活躍するようになりました。90年代半ばの「ロ短調ミサ」の演奏の後には、シュナイト・バッハ合唱団が設立されました。私自身は、ドレスデン聖十字架合唱団の一員として、あるいは2003年に軽井沢のコンサート・ホールで、テノール歌手・指揮者のペーター・シュライアーと、ハープシコード奏者・オルガン奏者として共演した際などに、日本を何度か訪れています。今回、ミュンヘン・バッハ管弦楽団が日本で一連のコンサート・シリーズを行うために招かれたことは、1969年の日本への最初の旅から培われてきた遺産を引き継ぐことのできる素晴らしい機会です。数年前、日本の卓越したバッハ演奏家である鈴木雅明氏から、自分がバッハを初めて発見したのはカール・リヒターのコンサートと録音を通してであると語られたことがありました。これはまさに日本とドイツを結ぶ「バッハの輪」が一巡したことを示しており、今後もこの結びつきがさらに強くなり、輪がさらに発展していくことを願っています。


Q3.今回の日本ツアーを控えての意気込みを教えて下さい。

 このコンサート・ツアーは長年の希望であり、「家に帰る」ようなものにしたいと思っています。ドレスデン聖十字架合唱団と行ったコンサート・ツアー(ベルリンの壁が崩壊する以前)は、今でも鮮明かつリアルに、私の記憶に残っています。日本の聴衆と、クラシック音楽に対する彼らの並々ならぬ強い関心は、特筆すべきものがあります。とりわけ私がとてもはっきりと覚えているのは、ある1つの出来事です。それは、東京のサントリー・ホールで行われた、ハイドンのオラトリオ「天地創造」のコンサートでした。聴衆がひたすら席から去ろうとせず、ホールに残ってスタンディング・オベーションを続けるのです。バイエルン放送交響楽団のメンバーとしてマリス・ヤンソンスと共に定期的に日本を訪れている、当団の数名の若い音楽家にとってさえ、このツアーは、彼らが心の底から楽しみにしているツアーの1つなのです。


公演概要

<公演日程・会場>
2014/10/4(土) 東京オペラシティ コンサートホール (東京都)

<キャスト&スタッフ>

ハンスイェルク・アルブレヒト
(芸術監督/オルガン/パイプオルガン)



エンリク・ヴィーゼ(フルート)



シュテファン・テミング(リコーダー)



イーガル・カミンカ(オーボエ/リコーダー)



ニック・ドイチュ(オーボエ)



ヨアヒム・シェーファー(トランペット)



ミヒャエル・フリードリヒ(ヴァイオリン)



アルブレヒト・キューネル(ヴァイオリン)



出演:
芸術監督/オルガン/パイプオルガン  ハンスイェルク・アルブレヒト
ミュンヘン・バッハ管弦楽団
   
曲目・演目:
【プログラムA】10月4日(土)13:00公演:「ブランデンブルク協奏曲」全曲演奏会
【プログラムB】10月4日(土)17:00公演:オール・バッハ・プログラム
「トッカータとフーガ」「2つのヴァイオリンのための協奏曲」「主よ、人の望みの喜びよ」「G線上のアリア」「目をさませと呼ぶ声が聞こえ」
「管弦楽組曲 第2番」ほか

2014-09-19 20:46 この記事だけ表示

――今年で5年目を迎える「夢の第九コンサート2014」ですが、初回から振り返ってどのような変化がありましたか?
「初回は何もかもが手さぐりでしたが、二年目からはだいぶ様子もわかってきて、一歩進んだところから年々積みあがってきているという感触です。コンサートのコンセプト自体は変わっていませんが、下地の部分ではとても大きな蓄積があると思いますね。一年目からの参加者が、新しい参加者をリードしてくれている心強い面もあります」

――今年は国立代々木競技場・第二体育館が会場に選ばれました。
「音響的には、第一回目の武道館でのコンサートに回帰していくイメージです。武道館はドーム型でしたから、7000人が同時に歌って音がセンター上空に集まってくるという長所がありました。その一体感が、今年の体育館での合唱では戻ってくると予想しています。2回目以降、東京国際フォーラムで開催してきましたが、ボックス型のため後方との距離感が大変大きく、音響学的に「歌が交わらない」という問題点があったんです。体育館では円陣になって歌いますので、自分の声と大きな合唱の声を両方聴きながら歌うことが出来ます」

――ボックス型からドーム型になることで、より大きな一体感が得られるのですね。
「去年は客席の合唱とステージとの距離感を縮めるために、オーケストラを反転しました。難しい試みでしたが、これにはよいこともありました。全員が指揮者の指示を見て歌うことが出来た。音の鳴り方に時差は生じますが、ホールの構造上そうなるのが自然なのです。誰かが歌った後で後ろについていくやり方ではズレは生じませんが、音楽とは何もないところから発していくものなので、誰かの後追いでは意味がないのです。」

――状況に応じて工夫に工夫を重ねていったわけですね。オペラやバレエなど国内外の劇場で経験を積まれた西本さんの現場感覚が生かされていたのではないでしょうか。
「練習と本番では環境も違いますから、最終的なことは現場で決めなければならないのです。いくら練習で響きのいいところで歌っていても、野原で歌ったら全く違うことが起こるわけですから。本番を予想しながらリハーサルを積み重ねることが大事ですね。」

――なるほど。オーケストラに関してはいかがでしょう?
第一回目が東京交響楽団、第二回目が東京フィルハーモニー交響楽団、第三回目が日本フィルハーモニー交響楽団でした。第四回目から西本さんご自身が率いるイルミナートフィルハーモニーオーケストラで、今年も続いてイルミナートフィルが出演しますね。 「つねに新しい気持ちで取り組みますし、イルミナートフィルとも365日一緒にいるわけではないので、一から始めるつもりで準備します。ゼロに戻ることはないでしょうが、ある程度、過去の蓄積を忘れたほうがいいこともあるんです。イルミナートフィルとは既にオペラの上演も成功させ、イルミナートバレエも発足して着々と「劇場の中身を作る」という目標を達成しています。オーケストラとして、とても意欲的な時期にあると言えます。」

――今年の「第九」のソリストについては、どのような期待を抱かれていますか?
「ソプラノの文屋小百合さんは、オペラ『蝶々夫人』にも出演していただきましたし、アルトの山下牧子さんも毎年この『夢の第九コンサート』には参加していただいているので、大きな信頼があります。テノールの小餅屋哲男さんはリリックな部分の表現も大いに期待していますし、田中勉さんは私が知る日本人バリトンの中ではナンバーワンの歌手で、イルミナートアーティストにも入って頂きました。」

――期待が高まります。ところで、この「夢の第九コンサート」は、一般の方が合唱に参加して西本さんと共演できる貴重な機会なのですが、何か資格は要りますか?
「まったく要りません。初めてだからと物怖じしないで、まず来ていただきたい。楽譜を読めなくても、ドイツ語で歌えなくても、あの壮大な声の塊の一部を歌う経験をしたら、人生が変わると思います。高い声が出なければ、一オクターブ下げて歌ってもいいのです。声の核となる第一回目から参加している人たちもいるので、心配はいりません。一回目からの人たちが新しい人たちに門を開けて「ウェルカム」と言う -----まさに第九の内容とぴったりですよね」 ――第九の兄弟愛というテーマと一致しますね。楽譜を大変緻密に読まれる西本さんですが、最近この曲について新しい発見はありましたか?
「ヴァチカン国際音楽祭に出演するにあたり、現地リハーサルは、オペラ『トスカ』第1幕の舞台となった サンタンドレア・デッラ・ヴァッレという美しい教会が贅沢にもリハーサル会場となりました。 ミサ曲とは異なり、第九を演奏したときに、空間全体とぶつかり合うような激しいパワーがはね返ってきたのです。ベートーヴェンはアヴァンギャルドだった、と実感した瞬間が何度もありました。その経験は確実に私を変えました。」



公演概要

5th anniversary TOKYO FM 夢の第九コンサート2014

<公演日程・会場>
2014/12/15(月) 国立代々木競技場 第二体育館 (東京都)

<キャスト&スタッフ>
芸術監督・指揮者:西本智実
ソリスト:文屋小百合(ソプラノ)/山下牧子(アルト)/小餅谷哲男(テノール)/田中勉(バリトン)
オーケストラ:IlluminArt Philharmonic Orchestra
「THE発声」指揮・声楽指導 辻 博之

<演目>
プログラム:ベートーヴェン交響曲第九番 ニ短調 作品125(合唱付)、他

※合唱参加のチケット購入のご注意と合唱参加者公演当日についてはチケット申込ページをご確認ください。

2014-07-15 13:59 この記事だけ表示


インタビュー

 フランス国立リヨン歌劇場の首席指揮者を務める大野和士にフランスの三大オペラをたずねると、彼は、ビゼーの《カルメン》、ドビュッシーの《ペレアスとメリザンド》、そして、オッフェンバックの《ホフマン物語》をあげる。
「《ホフマン物語》は、オペラとしての統合性、劇の展開の必然性、女性の声を3つ(オランピア、アントニア、ジュリエッタ)にわけた先見性、など本当に素晴らしいです」

 《ホフマン物語》は、実在した、ドイツの鬼才E.T.A.ホフマンをモデルとしている。彼は、詩人であり、作家であり、作曲家であり、指揮者であり、画家であり、裁判官であった。そんな彼が20歳以上年下の女性に失恋し、その恋の痛手を文学に向けたのであった。
「ホフマンはロマン派の代名詞。現実から逃避し、夢の中でさまよっていた彼は、衝動に押されるように作品を生み続け、市民社会の生活には帰れなくなってしまう。そして、現実に戻ったときには、恋でも、金銭でも、過酷な絶望感を味わうのでした。
 一方、オッフェンバックは、ブッフ・パリジャン座(小劇場)を経営し、超人的なエネルギーで数々の大ヒット作を生み出しました。そんな彼も、喜劇的なものではなく、5幕もののオペラを書いて、パリのコミック座やオペラ座などの大劇場で上演することにずっと憧れていました。しかし、1880年に《ホフマン物語》のピアノ・スコアを完成させた直後、彼は亡くなってしまいます。
 そんなホフマンの夢やオッフェンバックの憧れがこの《ホフマン物語》の核心です。ホフマンの恋に焦がれる夢の世界と、劇場人としての最高峰での上演が成就する目の前で亡くなったオッフェンバックのじりじりとした思いが、このオペラで奇跡的に一緒になったのです。私は、今回の公演を通じて、みなさんと果てしない夢を見たいと思います。
 《ホフマン物語》は、オッフェンバックが完成させる直前に亡くなったために、後世の人々がばらばらなポプリ(ごった煮)を作って、改変を重ね、何が本当の《ホフマン物語》かわからなくなってしまいました。20世紀後半になって漸くオーセンティックなバージョンがつくられ、真の姿が明らかになりました。今回は、真正《ホフマン物語》を紹介したいと思います」


 今回は、プロローグとエピローグがあり、ホフマンの三人の恋人は、オランピア、アントニア、ジュリエッタの順に現れる。
「音楽的な理由からも、バロックのような軽いソプラノのオランピア、ロマンティックでリリコ(叙情的)のアントニア、そしてヴェリズモかと思うような激しいドラマティコ(劇的)のジュリエッタの順番でなければなりません」

 そんな三人の恋人を、今回はパトリツィア・チョーフィが一人で演じる。
「機械仕掛けの人形であるオランピアではアクロバティックな超絶技巧、アントニアでは運命的な歌手、そしてジュリエッタでは影を盗むアグレッシヴで壮絶な女性を歌います。見た目は可憐な方ですが、舞台に出たとたん、ハッとするような役柄になりきります」

 主役のホフマンは、ジョン・オズボーンとレオナルド・カパルボが交替で歌う。
「オズボーンは、ホフマンに必要な“憧れ”に魅入られた男。彼は、今まで私が最高のホフマンだと思っていたニール・シコフを超えています。イタリア人のカパルボは、声が強く直情的なホフマンです」

 大野が率いるリヨン歌劇場のオーケストラは、大野が就任してからますます進化を遂げている。
「リヨン歌劇場のオーケストラは、もともと一人ひとりがきれいな音を出す、清澄な響きが魅力的でした。私が来てからは、それに付け加えて、ドラマティックな表現の波が大きくなりました。歌劇場のオーケストラでは、その2つが必要なのです」

 リヨンは、ポール・ボキューズらが活躍する美食の町。そんなリヨンで最も予約が取りにくいのがいくつかの日本人シェフのレストランだという。フレンチの本場での日本人の活躍は、リヨン歌劇場に新たな風を巻き起こす大野和士の奮闘とまさにシンクロしているのである。

[取材・文/山田治生]
[撮影/平田貴章]

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公演概要

フランス国立リヨン歌劇場 日本公演2014 歌劇「ホフマン物語」 Bunkamura25周年記念

<公演日程・会場>
2014/
7/5(土)15:00開演
7/7(月)18:30開演
7/9(水)15:00開演
Bunkamura オーチャードホール

<スタッフ>
演出・衣裳:ロラン・ペリー

<出演者>
指揮:大野和士(フランス国立リヨン歌劇場首席指揮者)
ホフマン:ジョン・オズボーン[7/5、7/9]、レオナルド・カパルボ[7/7]
オランピア/アントニア/ジュリエッタ/ステッラ:パトリツィア・チョーフィ
リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット:ロラン・アルバロ
ミューズ/ニクラウス:ミシェル・ロジエ
アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ:シリル・デュボア
ヘルマン/シュレーミル:クリストフ・ガイ
ナタナエル/スパランツァーニ:カール・ガザロシアン
アントニアの母の声:マリー・ゴートロ

管弦楽:フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団
合唱:フランス国立リヨン歌劇場合唱団

<チケット料金(全席指定・税込)>
S席39,000円 A席34,000円 B席29,000円
C席24,000円 D席18,000円 E席13,000円

2014-06-10 17:53 この記事だけ表示

 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2014「コジ・ファン・トゥッテ −女はみんなこうしたもの−」にてフィオルディリージ役を演じる小川里美さん。話題の公演に相次いで主演する注目のソプラノです。 “日本一美しいソプラノ”小川さんに、歌手への道、モーツァルトへの想い、公演への抱負を伺いました!


「女性的でシンプルな服装が好き」という小川さん。この日は春らしいピンクのブラウスをお召しになっていました。
小川里美出演日:7/19、21、25、27

チケット申込


スペシャル・インタビュー!

オペラ歌手を志したきっかけは?
 10歳から地元の少年少女合唱団に所属していました。12歳の時、児童合唱で「カルメン」に出演したのですが、こんな世界があるのか!と衝撃を受けて、その時に「私はオペラ歌手になる!」と。その夢はいったん覚めるのですが、高校で進路を考えた時、自分しかできないことをしたい―それはやはり歌ではないかと思い、音大を受けることに決めました。

ミス・ユニバース・ジャパンという異色の経歴をお持ちです。
 音大在学中、友達と表参道を散歩していたら、向うからその時のナショナル・ディレクターが歩いてきて、すれ違いざまに「あなたにミス・ユニバース・ジャパンに出てほしい」と言われたんです。驚いて、その時は断りました。私は音楽を勉強していて、モデルの経験もないし、無理だと。でもその時一緒にいた友達に背中を押されて、チャレンジしたところ、まさかの優勝。 でも優勝すると1年間様々な仕事がある。悩んで先生に相談したところ、「1年仕事に集中して、その後でやはり音楽を求める気持ちがあるなら、待っていますよ」とおっしゃった。そこで大学を休学し、ミス・ユニバースの仕事を務めました。振りかえると、その1年間で得た経験、出会いやご縁は、かけがえのないものだったと思います。 その間、音楽を求める気持ちがいつもありました。1年後に復学して、すんなり元の音楽漬けの毎日に戻りました。

大学卒業後、新国立劇場の研修所を経てミラノに留学されます。
 やはりオペラ発祥の地で学びたい、と思い留学を決めました。実は「コジ・ファン・トゥッテ」は留学中に学んだ思い出深いオペラなんです。ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院の特別なクラスに参加することができ、半年間勉強しました。私はメゾからソプラノに転向したのですが、ソプラノになって2年目、という早い時期に学んだオペラということもあり、今回そこに立ち戻れるのはとても嬉しく思います。

「経験して分かったのですが、ミス・ユニバースと健やかな歌い手の暮らしはあまり差がない。たくさん寝て、栄養を考えて食べて、水をたくさん飲んで、ストレスなく暮らす。ストレスを減らす秘訣は―自分がいつも笑顔で朗らかでいることでしょうか。」


「コジ」は思い入れのある作品とのことですが、その音楽の魅力とは?
 モーツァルトの音楽は、とにかく旋律が美しい。とても気品があって、真珠のような、上品で控えめな光がいつも宿っている音楽だと思うんですね。
今、突然思い出したんですが、大学でモーツァルトの歌曲を勉強していて、“ラウラに寄せる夕べの思い”を歌った時に、先生が「あなたの声は真珠のような声ね。粒が揃っていて上品で。モーツァルトはそういう風に歌うの」とおっしゃったことがあるんです。そのイメージが今もあります。今回もモーツァルトならではの調和のとれた気品のある声、柔らかい暖かい声で歌いたいですね。

「コジ」には対照的な性格の姉妹が登場します。
フィオルディリージとドラベッラ、小川さんはどちらに近い?

 フィオルディリージにはすごく共感します。物事というのはこうあるべき、という理性の部分が強い人だと思うんですね。私も基本的には理知的に生きたいな(笑)と思っているので。

変装した妹の恋人に迫られて、真面目なフィオルディリージも最後は“陥ちて”しまう訳ですが、小川さんなら?
 うーん。わからないですね。でもフェルランドぐらい情熱的な恋人だったら…。素敵ですよね。フィオルディリージには自分を変えたい願望というか、危険なものに憧れる気持ちもあったと思うんです。理性の強い人って傾いたら早い。
ところで!自分の婚約者が実は自分達を騙していたと知ったら、私本気で怒ると思うんです。自分が何をしていたかはともかく(笑)。そうなったときに、元の恋人を元の気持ちでは愛せないのかなと。演出のニースさんにも、「どう終わるつもりですか?」と聞いたのですが、それは稽古の中でみつけていくものじゃない?と。ですから本当に私たちの物語がどう終わるのか、現時点ではわからないんですよ。

飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍中の小川さん。意気込みをお聞かせください!
 いつも自分の身の丈より少し大きいのでは、と思う役をいただくことが多いんです。今回も、今日本で「コジ」をやるとしたら望みうる最高の条件が揃った舞台だと思います。そういう意味で責任感も感じますし、マエストロ、ニース氏、キャストの方達から謙虚にたくさん学んで、でも舞台の上では大胆に演じたいと思います。


公演概要

佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2014
コジ・ファン・トゥッテ −女はみんなこうしたもの−

<公演日程・会場>
2014/7/18(金)〜7/27(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール (兵庫県)
14:00開演

<演目>
「コジ・ファン・トゥッテ」 (全2幕/イタリア語上演・字幕付き/新制作)

<出演>
指揮/佐渡 裕
演出/デヴィッド・ニース
装置・衣裳/ロバート・F・パージオラ
照明/高沢立生
原語指導・声楽コーチ/ケヴィン・マーフィー
合唱指揮/矢澤定明
演出助手/飯塚励生
舞台監督/深町 達
プロデューサー/小栗哲家

<出演(ダブルキャスト)>
【7/18、20、23、26】
フィオルディリージ:スザンナ・フィリップス
ドラベッラ:サンドラ・ピケス・エディ
グリエルモ:ジョン・ムーア
フェルランド:チャド・シェルトン
デスピーナ:リュボフ・ペトロヴァ
ドン・アルフォンソ:ロッド・ギルフリー
合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団

【7/19、21、25、27】
フィオルディリージ:小川里美
ドラベッラ:フイリン・チュウ
グリエルモ:キュウ・ウォン・ハン
フェルランド:ジョン・健・ヌッツォ
デスピーナ:田村麻子
ドン・アルフォンソ:町 英和
合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団

※出演者はWキャストとなり、公演日時により異なります。ご注意ご確認のうえ、お申込ください。

小川里美出演日:7/19、21、25、27

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2014-05-01 15:44 この記事だけ表示

 現役最年長ピアニストの一人であるパウル・バドゥラ=スコダがこの6月に最後の日本公演を行う。1927年ウィーン生まれの巨匠が、メール・インタビューに応えてくれた。

2014/5/28(水)福岡公演

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2014/6/5(木)東京公演、6/7(土)広島公演

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2014/6/10(火)神奈川公演

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メールインタビュー

――今回のコンサートは前半がソロ・リサイタル、後半がオーケストラとの協奏曲という形式で行われますね。
「一つのコンサートでソロと協奏曲を演奏したことはありませんので、今回の試みにとてもわくわくしています」

――今回のコンサートには、ウィーンと関わりの深い3人の作曲家の作品、つまり、モーツァルトの幻想曲 ニ短調 K.397とピアノ協奏曲第27番、ハイドンのピアノ・ソナタ 第20番ハ短調、シューベルトの即興曲 作品90 D.899を選ばれましたね。
「モーツァルト、シューベルト、ハイドンは、私にとって親友のような存在です。もちろん、ベートーヴェンもそうです!私は楽譜を通じて、彼らの喜びや苦しみといった“言葉”を理解することができます。音と音の間、そしてその奥にあるメッセージを読み解き、表現するようにしています。今回のプログラムは、前半は暗めで、後半は明るく喜びに溢れる曲を組み合わせるなど、曲間のバランスとハーモニーを大切にしました」

――最近、プラハ室内管弦楽団と録音したモーツァルトのピアノ協奏曲第15番、第20番、第24番、第25番(キングインターナショナル)などでも弾き振りをされていますが、今回も東京交響楽団を相手に弾き振りをされます。どうして弾き振りをされるのですか?
「弾き振りだと、私の解釈で音楽を創ることができます。私は昔に比べると“正しい演奏方法”で演奏できるようになってきました。特に、正しいテンポで演奏できるというのは大事なことです。近年は、緩徐楽章でもゆったりしすぎないようにし、作曲家が記したテンポに近づけることを心がけています。モーツァルトのピアノ協奏曲第27番は、彼が残した最後の協奏曲ですので、このコンサートにぴったりだと思います」

――非常に長くピアニストとして活躍されていますが、長く続ける秘訣や健康のためにされていることなどはありますか?
「音楽は私たちの人生を豊かにします。私は演奏だけでなく、音楽を教えたり、執筆や録音などもします。年齢には関係なく、いつも聴いて下さる皆様にハーモニーと喜びを与えることができたら、と思いながら演奏しています。健康のためには、練習のほかに、体操、公園や森の散歩、詩を読むこと、健康的な食事を心がけ、穏やかな心を保つようにしています」

――とても残念なことに今回が日本での最後のツアーになると聞きました。日本での思い出や好きな場所についてお話しいただけますか?
「私は日本の温泉が大好きで、日本を訪れる時はいつも温泉で英気を養ってから演奏にのぞみます。そして、日本の自然も、美術も、もちろん食べ物も好きで、陶器や書道などの芸術は特別に美しいと思います。昔、京都の骨董市へデームスと共に行ったとき、日本の美意識の素晴らしさを彼に教えてもらいました」

――最後に日本のファンにメッセージをいただけるでしょうか?
「日本のクラシック音楽ファンの皆様は、いつも誠実で、私の演奏を熱心に聴いてくれます。そんな皆様に、音楽の喜びと感動をお届けできることを願っています。そして、皆様の情熱と愛情に、私が今一度“日出づる国”を訪れるための元気をもらえるのです!」

 かつてイェルク・デームス、フリードリヒ・グルダとともに「ウィーン三羽烏」の一人に数えられた、ウィーンの伝統を受け継ぐ伝説的な巨匠、パウル・バドゥラ=スコダ。86歳を超えてなお新たな試みに挑む日本での最後の公演には、ハイドン、モーツァルトらのウィーン古典派音楽、そして、ウィーン生まれのシューベルトの作品といった彼の十八番のレパートリーが並べられている。なかでもモーツァルトの最晩年の澄んだ境地を表すピアノ協奏曲第27番は、巨匠とのお別れに最もふさわしい曲といえるだろう。

[インタビュー/山田治生]


【関連記事】パウル・バドゥラ=スコダ、ラスト・コンサートの見どころ

公演概要

パウル・バドゥラ=スコダピアノ・リサイタル


<公演日程・会場>
2014/5/28(水) アクロス福岡シンフォニーホール (福岡県)

<出演>
パウル・バドゥラ=スコダ

<曲目>
ハイドン:アンダンテと変奏曲 ヘ短調 Hob. XVII-6
ハイドン:ピアノ・ソナタ ハ短調 Hob. XVI-20
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調 K457
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 「悲愴」 作品13
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第15番 ニ長調 「田園」 作品28

パウル・バドゥラ=スコダ(p) ラスト・コンサート


<公演日程・会場>
2014/6/5(木) すみだトリフォニーホール 大ホール (東京都)

<出演>
指揮・ピアノ:パウル・バドゥラ=スコダ
管弦楽:東京交響楽団

<曲目>
■第一部 リサイタル
モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K397
ハイドン:ピアノ・ソナタ ハ短調 Hob. XVI−20
シューベルト:4つの即興曲 作品90, D899
■第二部 協奏曲の夕べ
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K595

ピアノリサイタル さよならコンサート


<公演日程・会場>
2014/6/7(土) 上野学園ホール (広島県)

<出演>
パウル・バドゥラ=スコダ

<曲目>
ハイドン:アンダンテと変奏曲 ヘ短調 Hob. XVII-6
ハイドン:ピアノ・ソナタ ハ短調 Hob. XVI-20
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調 K457
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 「悲愴」 作品13
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第15番 ニ長調 「田園」 作品28

みなとみらいアフタヌーンコンサート2014前期
「生ける伝説―ファイナル・コンサート」 パウル・バドゥラ=スコダ ピアノ・リサイタル


<公演日程・会場>
2014/6/10(火) 横浜みなとみらいホール 大ホール (神奈川県)

<出演>
パウル・バドゥラ=スコダ

<曲目>
ショパン:ワルツ第3番、第7番、第6番「小犬のワルツ」/ノクターン第7番、第8番/マズルカ第18番、第19番、第20番、第21番/舟歌/シューベルト:ソナタ第21番
2014-04-28 13:43 この記事だけ表示

 近年、イル・ディーヴォをはじめとする、クラシックやポップスのジャンルを越えた「クラシカル・クロスオーバー」が欧米で人気を博し、その波は日本にも押し寄せた。日本でもいくつかのヴォーカル・グループがデビューしたが、そのなかでも「LE VELVETS(ル ヴェルヴェッツ)」は際立った存在だ。5人全員が、音楽大学で声楽を専攻した、身長180cm以上のイケメンたち。美声の持ち主であることはいうまでもない。

インタビュー!

 佐賀龍彦(テノール)、宮原浩暢(バリトン)、黒川拓哉(バリトン)、日野真一郎(テノール)、佐藤隆起(テノール)の5人組。2012年にCDデビューし、今やオーチャードホールで3日連続のリサイタルをひらく彼らであるが、2008年の結成当時は、路上ライヴで歌っていた“苦労人”でもある。

佐賀「一つひとつ階段を昇りながらきた感じ。最初のライヴハウス(ジェイジーブラット・サウンドオブトウキョウ)でのコンサートで、70人の客席が一杯になったのはうれしかった」
 LE VELVETSの魅力をひとことでいうと?
佐藤「声の厚みでしょう。基本はクラシックの発声なので、ダイナミックなコーラスから繊細な音楽まで、表現の幅が広いのです。また、クラシックだけでなく、曲に合った発声もしています」
宮原「クラシック出身ということで、きれいに歌うけど動きがないと思われそうですが、そうじゃなくて、フォーメーションあり、振りあり、弾けたり、ノリノリになったり、どこもやっていない幅広いエンターテインメントをお見せします」
佐賀「クラシックをベースとしながら、ジャンルも時代も飛び越えて、歌を中心にダンスやトークも織り交ぜながらショーとして、お客さんに楽しんでいただきます」

 そんな彼らが、5月18日に東京オペラシティコンサートホールで東京フィルハーモニー交響楽団と共演する。東京フィルはこの3月に創立100周年を記念するワールド・ツアーを大成功させたばかりの日本を代表するオーケストラ。LE VELVETSとフル・オーケストラとのコラボレーションは初めてだという。 宮原「LE VELVETSのファン、東京フィルのファン、その他いろんなファンの方に聴いていただきたいですね」
佐賀「贅沢なコンサートになりそう」
佐藤「僕らの音楽もいろんなジャンルなので、高級バイキングを食べに行くような感覚で楽しんでいただきたい」
日野「東京オペラシティコンサートホールは残響が気持ちいいんです。オーケストラも初めて、僕たちも初めて、東京オペラシティも初めての方でも、笑顔で帰れるコンサートにします」
佐藤「贅沢なサウンドで日常を忘れてください!」
佐賀「新しい趣味の引き出しが増えると思うので、是非ホールに来てほしいですね」
黒川「東京フィルとLE VELVETSの奏でる音楽の無限の可能性を体感しに来てください!」
宮原「飽きさせないし、次も来たくなるようなコンサートにします。是非、足をお運びください!」

[取材・文/山田治生]




公演概要

東京フィルハーモニー交響楽団 × LE VELVETS ドリームコンサート

<公演日程・会場>
2014/5/18(日) 東京オペラシティ コンサートホール (東京都)
14:00開演/19:00開演

★「LE VELVETS」イベント情報

ミュージカル「ファントム」 シャンドン役で出演するメンバーの日野真一郎さんの応援にLE VELVETS(ルベルベッツ)オールメンバー集結!
東京9/19(金)18:30公演、大阪10/12(日・祝)17:30公演アフターイベントは、「LE VELVETS」ミニライブ&トークショー に決定!
東京、大阪それぞれ一夜限りのイベント、是非ご堪能ください。
チケット申込

2014-04-18 17:31 この記事だけ表示

  去る2月7日、東京芸術劇場で開催されていた「なんでも!クラシック2014」のなかの、「80歳のソプラノ!奇跡の来日」と題されたコンサートに登場したリナ・ヴァスタは、ヴェルディの《椿姫》から「さよなら、過ぎ去った日々よ」を歌い、その衰えを知らない美しい声と澄んだ高音でいっぺんに聴衆の心をつかんだ。



リナ・ヴァスタへインタビュー!

 彼女は、現在、晩年のヴェルディが私財を投じて年老いた音楽家たちのためにミラノに建てた「音楽家のための憩いの家」に暮らしている。この「憩いの家」はリタイアした音楽家たちが楽しく余生を過ごすために造られた施設だが、そこで唯一人、現役の歌手として活躍しているのがリナ・ヴァスタである。そんな彼女が6月に再来日してコンサートをひらくので、さっそく話をきいた。

リナ「憩いの家では、規則正しい生活をしていますよ。朝目覚め、朝食をとり、午前か午後にレッスンをして、夜は時折、コンサートがあります。また、リクエストがあれば、憩いの家への訪問者に歌を聴かせてさしあげます。憩いの家には1984年に夫(指揮者のマリオ・パスクァリエッロ)とともに入居しました。憩いの家には、150席ほどのきれいなヴェルディ当時からのサロン(広間)があり、そこで月に2,3回コンサートをひらきます。リクエストがあれば、外に出掛けて歌いますよ。

 私はシチリア島のカターニャ出身です。6,7歳の頃から歌っていました。14歳のとき、初めてステージで《蝶々夫人》の『ある晴れた日に』を歌いました。母から教わった曲です。母は私以上に音楽に情熱を持っていましたが、親が厳しく、歌手になれなかったのです。オペラ・デビューは16歳のとき、《セビリアの理髪師》のロジーナでした。ミラノの郊外の劇場でした。でも結婚後は、夫が、私の歌手活動に反対していたので(ファンが近づいてくるから嫉妬したのでしょう)、私は35歳でオペラの舞台から降りました。これからという時に辞めたので、スカラ座などの大きな劇場で歌うことはできませんでした。歌っていたのはイタリア南部を中心とした地方の劇場ですね。私は、リリコ・レッジェーロで、《ラ・ボエーム》のムゼッタ、《セビリアの理髪師》のロジーナ、《ドン・パスクァーレ》のノリーナなどが得意でした。ヴェルディやプッチーニのアリアも大好きです」


 転機は、憩いの家に入ってから訪れた。

リナ「84年に憩いの家に入居して、少しずつ歌い始めました。88年に夫が亡くなってからは、自由に歌うことができるようになりました。
 日本に来るようになったきっかけは、憩いの家での私のレッスンを偶然聴いた日本人女性(作曲家でオルガン奏者)が私を日本に招いてくださった事からです。99年に初めて来日して以来、今回が5度目の日本です。
 今は、昔歌っていたものを歌っています。《修道女アンジェリカ》のアリアや、《ノルマ》の『清らかな女神よ』などもです。
 声を保つ秘訣は、幼い頃に学んだ正しい歌い方で、歌い続けることですね。もちろん、冷たい風にあたらないとか、アルコールをとりすぎないとか、タバコは吸わないとか、守ってきましたよ」


6月の東京オペラシティコンサートホールでの演奏会はどんな内容になるのだろう?
リナ「これまで歌ってきたことの延長になると思います。オペラのアリアのほか、ナポリ民謡も歌いたいと思っています。既に日本で活躍されているバリトンの上江隼人さん、日本人離れした声を持つテノールの笛田博昭さんにも歌ってもらいます。お二人とも私の優秀な生徒です」

 日本に来る楽しみの一つが刺身を食べること。さすがにシチリア島出身の彼女、なまの魚が大好きという。


[取材・文/山田治生]
[撮影/坂野 則幸]

公演概要

奇跡の歌声 リナ・ヴァスタ
〜ヴェルディ音楽家の家から生まれた感動!〜

<公演日程・会場>
2014/6/8(日) 14:00開演 東京オペラシティ コンサートホール (東京都)

<出演>
リナ・ヴァスタ(ソプラノ)
上江隼人(バリトン)
笛田博昭(テノール)
ヴィンセンツォ・パスカレッロ(ピアノ)

<演奏予定曲目>
ヴェルディ:「運命の力」より、「椿姫」より
プッチーニ:「修道女アンジェリカ」より
イタリア歌曲 他

2014-04-01 12:15 この記事だけ表示