5月3日・4日に行われる「横山幸雄 入魂のショパン」の記者懇親会が自身で経営をしているリストランテ ペガソで行われました!

記者懇親会レポート

 この公演を開催する経緯について横山幸雄は以下のように語っています。
 「1990年にショパン国際コンクール第3位受賞。ショパンは一生かけて付き合いたい作曲家でしたが、全貌を知りたいという気持ちが深まりました。そこで、1992年〜1999年にかけてショパン全曲を演奏するコンサートを行いました。
 7年かけてショパン全曲を演奏しましたが、時間が経ってしまうと以前演奏したものは忘れてしまっている。すべてを演奏して“ああ、ショパンはこういう人なんだな…という理解、感触を味わいたい”という気持ちになったのです。それには1日でショパンのすべてを演奏するしかない!と。
 ショパンの演奏会については、その後2008年から、かなりまとまった形で取り組んできました。この頃“ショパンを1日全曲演奏したい”と言ったら、頭がおかしくなったんじゃない…という顔をされて…、相手にしてもらえませんでした。でも、その頃ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲を演奏したのです。ベートーヴェンの協奏曲を全部演奏した時、最後の曲を演奏しながら「ああ、終わらないで欲しい」という気持ちになりました。それは僕だけのことではなくて、共演した仲間や、お客さまからも同じような感想を聞けて嬉しかったのです。ますますショパンを1日で全部演奏したくなりました!
 2010年、ショパン生誕200年というアニバーサリーイヤーだから実現できることになりました。終演後、ステージ上でTOKYO FMのアナウンサーさんから“来年も、このようなコンサートをなさいますか?”と聞かれ“はい!”と答えてしまったんです(笑)
 ショパンの全作品の三分の一は普段のコンサートでもしょっちゅう演奏する曲、三分の一はそれほど有名ではないが時々コンサートで演奏する曲、最後三分の一は全曲演奏会でないと演奏しない曲。全曲演奏していると“ショパンになっちゃった!”ようになります。

―記者からの質問
ショパンが生きていたら何と言うと思いますか?

ショパンと同時期の作曲家リストは、人前で演奏することが大好きでした。喝采を浴びるために作曲したようなところもありますが、それに比べ、ショパンは年齢を重ねるにつれ気が向いたら演奏する、という具合だったんです。ショパンが心許した人たちの前で、気が向いて演奏している…そんな雰囲気、イメージでこの企画は演奏できたら、と思っています。一日中ショパンに浸っていただければ嬉しい。お客さまの中には、長丁場なので腰当てやひざ掛け持参でいらっしゃる方もいるんですよ。

最後に「今年は2日間かけて、21時間でショパン217曲を演奏します。ゴールデンウイークの皆さんそれぞれのスタイルで愉しんでいただきたいです。ショパンは1日中演奏も出来るし、話すこともできます。」


公演概要

横山幸雄(p) 入魂のショパン2014

<公演日程・会場>
2014/5/3(土・祝)〜5/4(日・祝) 東京オペラシティ コンサートホール (東京都

<曲目>
ショパン:ピアノ協奏曲第1番[ピアノ独奏版]
ポロネーズ第6番変イ長調 op.53「英雄」

2014-03-19 18:37 この記事だけ表示

  今年も12月に「TOKYO FM 夢の第九コンサート」が開催される。西本智実の指揮のもとで初心者から上級者まで「第九」を歌いたい人たちが集うこのコンサートは今年で4度目となる。

西本智実インタビュー

「一年に一度、日本国中から集まってきて、声を合わせて、一つの作品で通じ合うのは、素晴らしいことです。これまでの3回を通じて顔なじみもできました。そういう横の関係はうれしいですね、広がりがあって。年末、一年の総決算という気持ちで参加される方もいます。
 初心者でも、ドイツ語ができなくても、『第九』を全部知らなくても、核になって支えてくれるメンバーがいますから、ここは口ずさめるというところを“ラ”でもいいですから、歌って参加できるコンサートです。合唱の素晴らしさは、見知らぬ人と声を合わせることで、大きな音楽が現れてくるところにあります。声の重なりや空気の動きを一緒に感じてほしい。その場所で作っている『なまもの』を味わっていただきたいですね。
 リピーターの方には、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目、前回よりも向上しようという方が多いです。新しく参加される方のために自分たちが土台となって支えてくださる」


 今回は、合唱との一体感をもつために、西本は客席で歌う合唱の方を向いて指揮をするという。
「これまで2回、東京国際フォーラムで演奏しましたが、同じことを繰り返すのではなく、このホールでどんなことができるのか、いろいろ考えています。ドーム的な声のシャワーを目指します。鑑賞席で聴くだけの方にも是非歌ってもらいたい。ハミングでも。一緒に演奏する空間を感じていただきたい」

 今年は、「第九」の前に、「THE 発声」というプログラムが辻博之によって展開される。
「発声をしながらみんなでやり取りができる曲を作りました。イルミナートには作曲家もいますから。発声がハモるだけでも、『おーっ』って、楽しいものですよ」

今回は、西本が創設時から芸術監督・音楽監督を務めるイルミナートフィルハーモニーオーケストラが演奏を担う。「イルミナート」は様々なジャンルのアーティストが参加する芸術家集団。
「『イルミナート』は、国境を取り払って、国籍を外して、オーケストラだけでなく、バレエ・ダンサーやオペラ歌手も参加します。11月にはヴァチカンに招かれますが、ローマにもメンバーがいて、ヨーロッパのメンバーもローマに集まってくれます。ソリストもいますし、合唱に参加してくれるメンバーもいます」

 西本&イルミナートフィルは、この11月にカトリックの総本山であるヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂で開かれるヴァチカン国際音楽祭にアジアのオーケストラとして初めて招かれ、枢機卿による音楽ミサ(グノーの「聖チェチーリア荘厳ミサ曲」抜粋と復元された長崎の「オラショ」)とベートーヴェンの「第九」を演奏する。
「まず11月9日に、サンピエトロ大聖堂での枢機卿の音楽ミサに出ます。最も権威のある厳格な儀式です。グノーの『聖チェチーリア荘厳ミサ曲』からその日に合ったヴァチカン指定の箇所を演奏します。そして、長崎・平戸・生月島に伝わる『オラショ』を再現します。私の先祖がそこの出身でその歌を守り継いできましたので。私が音楽の道に入ったのも、ここに来るためだったのではないかと、ヴァチカンに関しては感じています。ヴァチカン国際音楽祭の最終日にあたる11月10日にはベートーヴェンの『第九』を演奏します。今回の東京の『第九』では、ヴァチカン国際音楽祭に参加する人もたくさん歌いに来ますので、彼らがヴァチカンで習得したものを日本に持ち帰って、広げてくれればと思います」

 「TOKYO FM 夢の第九コンサート」は、西本智実&イルミナートフィルにとってもヴァチカンで得た経験を生かす、今年の総決算というべき演奏になるに違いない。


[取材・文/山田治生]


公演概要

TOKYO FM 夢の第九コンサート2013


<公演日程・会場>
2013/12/13(金) 東京国際フォーラム ホールA (東京都)

<出演>
指揮者:西本智実
ソリスト:大山亜紀子(ソプラノ)/山下牧子(アルト)/小原啓楼(テノール)/成田博之(バリトン)
オーケストラ:IlluminArt Philharmonic Orchestra

<曲目>
ベートーヴェン交響曲第九番 ニ短調 作品125(合唱付)、「THE発声」 指揮(指揮者・声楽家)辻 博之
2013-11-08 17:58 この記事だけ表示

  2007年のチャイコフスキー国際音楽コンクールや2004年のオイストラフ国際ヴァイオリン・コンクールで優勝するなど、ロシアと関わりの深いヴァイオリニストの神尾真由子が、10月中旬、オール・ロシア音楽プログラムでリサイタル・ツアーを行う。


神尾真由子インタビュー

「私が尊敬しているロシアのヴァイオリニストたち、オイストラフ、コーガン、カガンらが弾いていたレパートリーのなかで、私が気に入った曲を選びました。私は、ロシア・スクールのガラミアン派なので、ロシア音楽の方が弾きやすく、私の良さが出ると思います。ロシアとは縁が深く、半分ロシア人にもなったので(笑)」

 神尾はこの夏、ロシア人ピアニスト、ミロスラフ・クルティシェフと結婚した。クルティシェフは、サンクトペテルブルク生まれ。神尾が優勝した2007年のチャイコフスキー国際音楽コンクールでピアノ部門の最高位(第1位なしの第2位)を獲得している。近年、彼女とリサイタル・ツアーやCD(フランク、ブラームス、R.シュトラウスのソナタ集)の録音を行っていた。結婚式は、この7月8日にサンクトペテルブルクの市庁舎で行われ、日本からの親戚や恩師・友人をまじえた披露宴には水上の遊覧船が使われた。現在、サンクトペテルブルクで二人の練習部屋を備えた新居を探している。ロシア語は独学という。
 今回のリサイタルでは、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」、プロコフィエフのバレエ音楽「シンデレラ」より5つの小品、5つのメロディ、ヴァイオリン・ソナタ第2番、そして、メトネルの「2つのおとぎ話」より第1番、ヴァイオリン・ソナタ第1番の6つの作品が演奏される。

「メトネルは、ラフマニノフやスクリャービンとほぼ同じ時代の作曲家で、ピアノ曲が有名です。ヴァイオリン曲はそんなに知られていませんが、意外と良い曲なので聴いていただきたいと思い、取り上げました。
 プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタは、第1番を弾くことが多いのですが、今回は第2番を演奏します。第2番はもともとフルートの曲です。でも、ヴァイオリンに編曲したものの方が成功していると思います。暴力的ではなく、噛み付くような感じもなく、プロコフィエフの良さが出ています。
 プロコフィエフの第2番以外は、20分以下の短い曲にしました。初めての方でも聴きやすいように。曲順は、調性的に飛ばないよう(違和感のないよう)にしました。ハーモニーがきれいな曲が多いので、それを聴いていただきたいですね」


 ピアノはノルウェーを代表するピアニストの一人であるホーヴァル・ギムセ。今回が初共演となる。
 また、10月4日には、横浜みなとみらいホールで、サー・アンドルー・デイヴィス指揮BBC交響楽団と共演し、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」を弾く。
「BBC交響楽団との共演は2度目です。前回はシベリウスの協奏曲を弾きました。日本ではモーツァルトを弾くことがあまりないので、楽しみです。エキゾチックな第3楽章が『トルコ風』として有名ですが、私は美しい第2楽章が一番好きです」
 今夏も、かつて自らが受講生であった「いしかわミュージックアカデミー」(原田幸一郎が音楽監督を務め、優秀な演奏家が数多く輩出されている)で講師を務めた。
「私は、まだ教える機会があまりなく、そこで教えることができるのはありがたいです。若い人と触れ合うのは楽しいし、みんなかわいいですね」

人生の新しいステップを踏み出した神尾真由子のこれからの活躍を期待せずにはいられない。


〔取材・文/山田治生〕


編集後記:
取材中、楽しそうに結婚式のエピソードを話されていたので、ぜひ、結婚式のお写真がほしいとお願いしたところ、いただくことができました!
ロシアでは観光名所で記念写真を撮るのがブームなのだそう。これからもお幸せに!



サンクトぺテルブルクの名所「青銅の騎士像」の前で、ウエディングドレス姿が美しい 神尾真由子さんと新郎ミロスラフ・クルティシェフさん。

公演概要

神尾真由子 ヴァイオリン・リサイタル


<公演日程・会場>
2013/10/10(木) いずみホール (大阪府)
2013/10/12(土) 壬生町中央公民館 大ホール (栃木県)
2013/10/15(火) 東京オペラシティ コンサートホール (東京都) 2013/10/18(金) 川口総合文化センター リリア4階・音楽ホール(埼玉県) 2013/10/19(土) 鎌倉芸術館 大ホール(神奈川県)
<曲目>
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
プロコフィエフ:バレエ音楽「シンデレラ」より5つの小品
メトネル:「2つのおとぎ話」より第1番 変ロ短調
メトネル:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ロ短調
プロコフィエフ:5つのメロディ
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ長調

BBC交響楽団 サー・アンドルー・デイヴィス指揮


<公演日程・会場>
2013/10/4(金) 横浜みなとみらいホール 大ホール (神奈川県)
<曲目>
エルガー:行進曲「威風堂々」 op.39 第1番
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 「トルコ風」
ヴォーン・ウイリアムズ:交響曲 第2番 「ロンドン交響曲」
2013-09-09 19:44 この記事だけ表示

2013年7月8日(月) サントリーホール 大ホールで行われる水戸室内管弦楽団 東京公演を目前に控え、指揮者 準・メルクル氏インタビューと、作曲家:細川俊夫氏が〈開花II〉について語ったコメント、そしてピアニスト:小菅優さんインタビューをご紹介します!

▼指揮者:準・メルクル氏インタビュー!
▼作曲家:細川俊夫氏〈開花II〉について語る!
▼小菅優さんインタビュー!


指揮者:準・メルクル氏インタビュー!

メルクルさんは、<月夜の蓮>の世界初演(北ドイツ放送交響楽団、2006年)などをはじめ、これまで細川俊夫さんの作品を数多く指揮されています。そして、今回は<Blossoming II>の日本初演となります。細川俊夫作品の魅力をお教えください。

 細川さんの作品は、伝統的なヨーロッパのオーケストラのスタイルを用いて、日本的な感覚や思考の探求を行っており、とても魅力的です。そして、彼は、たとえば風鈴のような、幾つかの伝統的な日本の音具を細心の注意を払いながら、オーケストラの中に導入しています。
 彼の音楽の際立った特徴のひとつは、音が鳴っている状態と無音の状態との境界、いわば「静寂」の探求にあります。彼のすべての作品が、この領域から始まり、そして終結しています。


今回ピアノ独奏者を務める小菅優さんとは、フランス国立リヨン管弦楽団(2011年)で共演されていますね。小菅優さんとの共演で何かご記憶に残っていることがありますか?また、今回の彼女との共演について、コメントをお願いします。

 小菅優さんは、日本の最も才能あるピアニストの1人です。そして、彼女は多くの作品で、実にユニークなアプローチを行っています。それは、精巧で卓越した技巧を持つと同時に、激しさや情熱に満ち溢れたものであります。
 彼女とベートーヴェン作品を一緒に演奏するのは今回が初めてなのですが、彼女は、私たちに、この偉大な作品の意味深く説得力のある解釈を提示してくれるであろうと確信しています。


今回のシューベルトの「交響曲 第8番 D944<グレイト>」の演奏は、「挑戦」であるとマエストロはおっしゃっていました。そのことについて、お話しいただけますか?

シューベルト以降の世代が、この交響曲をベートーヴェンの〈交響曲 第9番〉と一対に捉えて、「グレイト」と呼んでいるので、私たちはこの作品を大規模なオーケストラで演奏するものだという考えと常に結びつけてしまっています。そして、20世紀には、そのような演奏がいつでも行われてきました。16人か18人の第1ヴァイオリン、そして総勢で最低でも60人を越える弦楽器奏者、そして管楽器は木管楽器に加えホルンまで2倍の人数に増やされています。
 しかし、音楽構造や美学的な点で、例えばブルックナーなどよりはベートーヴェンと親近性があるという意味で、この作品の音楽書法はとても古典的であると言えます。私たちが、今回挑戦しようとしているのは、この本質に立ち戻るということです。人数を倍増させずに、シューベルトが作曲時に想定していた小編成の弦楽器と管楽器から成るオーケストラの枠内で、本来のバランスを取り戻すということです。もちろん、交響楽的な規模の大きさは保持しながらも、その一方で、この「オリジナル」なアプローチによって、より多くの細部が浮き彫りにされ、より良い音楽構造の理解が得られることを、私は確信しています。私たちは、シューベルトの交響曲の新しい探求の道の途上にいるのです。


最後に、聴衆に向けてメッセージをお願いします。

長年にわたって、私は水戸と茨城の皆様の前で演奏することに大きな幸せを感じてきました。どれほど多くの意識を皆さまが音楽に向けてくださったか、どれほど多くの若い人たちがコンサートに来てくださったか、それを見つめることが、私の大きな喜びです。この水戸での体験は、音楽を通して私たちはよりよい世界を創出することができ、困難な時にも音楽が勇気を与えられるのだ、という私の希望を強固なものにしてくれています。これからも、皆さまの素晴らしい街に、音楽の力が、光となって輝き続けますよう、心より願っております。


作曲家:細川俊夫氏〈開花II〉について語る!

 この作品は、エディンバラ芸術祭の委嘱作品で、スコットランド室内管弦楽団の 指揮者、Robin Ticciatiのために作曲しました。ロビンには,ベルリンフィルのロンドン公演のとき,私の『ホルン協奏曲、開花の時』のイギリス初演の際に、サイモン・ラトルから紹介されました。その時の『開花の時』をロビンがたいへん感動してくれて、この委嘱作品を頼まれることになりました。

 私には,いくつかの『花』をテーマにした作品があります。日本人は,着物に花の絵を描いて,それに身を包みます。そうすることによって、花の持っている宇宙的な力を身体に身につけようとするのです。それと同じように、私は、音楽で花の持っている力を想像し、それを歌うこと、聴くことによって、花の持っている宇宙的な力を、人間の生きる力に変換していきたいのです。花が『開花』に向かって、全エネルギーを集中させます。それは静かな目覚めの時なのですが、私には極めてダイナミックな音楽的なうたが、そこに生まれているように感じられるのです。

 さらに私には,明治の初めに夏目漱石が『私の個人主義』という講演のなかで書いている、日本の文明開化は西洋のものを取り入ることに必死になり,内からの開花を持っておらず,外から強制された上滑りな開花でしかない、という批判をいつも心に留めていました。明治から150年以上も時を経た現在もまた、その上滑りな開花は変わっていないのではないか。それでは、どうすれば日本人が日本人という歴史の土壌に根を張った「内から開花する」音楽を生み出すことが出来るのか、という問題を私はいつも考えて、作曲の仕事をしています。
 この〈開花II〉は2007年に東京クヮルテットの委嘱で作曲した弦楽四重奏曲〈開花〉をベースとして、それを自由に室内オーケストラへ書き換えていきました。

水戸室内管弦楽団は、小澤征爾さんの指揮、児玉桃さんのピアノでピアノ協奏曲〈月夜の蓮〉を素晴らしく日本初演(2006年)していただき,さらにヨーロッパ公演(2008年)でも何度も演奏していただきました。その作品もまた『蓮の開花』をテーマにしたものです。準・メルクルさんは、今、私の音楽の最も信頼する理解者であり、世界中のオーケストラで素晴らしい演奏をしてくれている指揮者です。その彼の指揮のもと、どのような音楽の花が、水戸で開花するか、とても楽しみにしています。

 作品は、最初に響く長い一つの音を、水面の響きと捉えてください。そしてその音より下は水面下であり、さらに低音は泥の中です。その音より上の音は、空の空間。光や風を含んだ空の響きです。そして音楽の花は、小さなメロディーを生み出し、それがいくつも重複して上昇音型として、水面下から少しずつ上昇していきます。中間からの高い弦の音が、トリルとトレモロを持って降りてくる音は、月から蓮に向かって降りてくる光のエネルギーと思ってください。そうした世界からの響きのエネルギーを受けて、音の花は、少しずつ開花を目指します。
 それはかなりドラマティックなものです。最後は、深い静けさのなかで、静かな花の歌が浄化されて歌われます。


小菅優さんインタビュー!

小菅さんは、水戸室内管弦楽団(MCO)とは今回で3回目の共演となります(第75回定期・指揮:小澤征爾[2009年]、第82回定期・指揮者無し[2011年])。その一方で、小菅さんは、世界中のオーケストラから協奏曲の独奏者として招かれて、ご活躍されています。そんな小菅さんから見て、MCOはどのような楽団であると思いますか。

 まず、活動拠点である水戸芸術館のホールが素晴らしくて、オーケストラでも、室内楽を演奏しているような感覚を持つことができます。
 MCOは、一人一人が素晴らしい音楽家で、そして1つ1つの音楽的対話を大事にしてくれます。共演させていただく以前に、私が初めてMCOの演奏を聴いたのは、2008年の指揮者無しで行ったミュンヘン公演で、ベートーヴェンの〈交響曲 第4番〉などのプログラムでした。それぞれの楽器が会話するように、明確にお客様に訴えてきて、アンサンブルとしても呼吸の合った、全体から伝わってくる自然な音楽性に感動しました。そして、私が協奏曲のソロを弾かせていただく時には、私に色々なアドヴァイスをしてくださり、自分の成長にとって本当によい勉強になります。今回も、自分が上に向かってステップアップできるような演奏にしたいと思っています。

指揮者の準・メルクルさんとは、フランス国立リヨン管弦楽団との公演(2011年)で共演されていますね。その時のメルクルさんの印象をお聞かせください。

とても知的な方で、曲の隅々まで熟知なさっていて、正統的な音楽を求めていらっしゃるように思いました。そして、その音楽に対する姿勢はたいへん尊敬しています。リヨンでの共演ではモーツァルト作品だったのですが、今回はベートーヴェンの協奏曲で、どのようなアプローチをなさるのか、とても楽しみにしております。

現在、小菅さんは5年越しの計画で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音を行っていらっしゃいます。今度の演奏会ではベートーヴェンのもうひとつの重要なピアノ曲のレパートリーである「ピアノ協奏曲」から第3番を演奏されます。今回、この作品を選ばれた訳をお聞かせください。

 ベートーヴェンの協奏曲はどの作品も大好きなのですが、第3番は、ベートーヴェン独自の様式を獲得するに至る変わり目にある作品で、しかもハ短調というのがベートーヴェンにとって、とても大事な調性であると言えます。例えば、〈交響曲 第5番 “運命”〉や〈ピアノ・ソナタ“悲愴”〉がこの調性で書かれていています。これらは内面的な音楽であると同時に、情熱的でドラマティックです。この頃、ベートーヴェンは耳が聞こえなくなってきていて、友人に相談したりしているのですが、その彼の苦悩が滲み出ている音楽だと思います。第2楽章はお祈りのような本当に美しい音楽です。また、ベートーヴェン自身が書いたカデンツァが素晴らしいです。第1番や第2番のピアノ協奏曲と比べでも、ピアノがより広く深い表現を獲得しているように感じます。さらに管楽器のパートにもソリスティックな面があり、MCOの管楽器奏者の人たちも素晴らしいので、とても楽しみにしています。シンフォニックな響きをもつオーケストラとピアノとが投げ交わす対話を、お聴きいただければと思います。

最後に、聴衆に向けてメッセージをお願いします。

水戸には親しい気持ちを抱いておりまして、第二の故郷のように思っています。ですから、水戸へは「帰る」というような気持ちでいます。水戸芸術館もサントリーホールも素晴らしいホールなのでお客様と一緒にホールの空気を感じながら、ベストを尽くして演奏したいと思っております。ぜひ、ベートーヴェンのはてしない世界をお楽しみいただけたらと思います。


公演情報

水戸室内管弦楽団 東京公演 指揮:準・メルクル

<公演日程・会場>
2013/7/8(月) サントリーホール 大ホール (東京都)
<出演>
小菅優(p)
<曲目>
細川俊夫:室内オーケストラのための<開花II>
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37
シューベルト:交響曲 第8番 ハ長調 D944<グレイト>

資料提供:水戸芸術館音楽部門

2013-06-25 17:58 この記事だけ表示

★名古屋公演直後のキャストインタビューを追加!★
>>アルマヴィーヴァ伯爵役のクリストファー・ボルダック
>>フィガロ役のエフゲニー・アレクシエフ

伯爵夫人役:カルメラ・レミージョ、スザンナ役:マヤ・ボーグ、ケルビーノ役:フランツィスカ・ゴットヴァルト、伯爵役:リストファー・ボルダック、演出のエルマー・ゲールデン のインタビュー掲載!

【関連記事】バーゼル歌劇場 総裁 ジョルジュ・デルノン氏から日本のオペラ・ファンへメッセージが到着!

公演概要

スイス・バーゼル歌劇場
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」

<公演日程・会場>
2013/6/22(土) 愛知県芸術劇場 大ホール (愛知県)
2013/6/26(水) オーバード・ホール (富山県)
2013/6/28(金) 東京文化会館 大ホール (東京都)
2013/6/30(日) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
(滋賀県)

<演目>
「フィガロの結婚」全4幕
イタリア語上演/日本語字幕付き
作曲:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ

<スタッフ&キャスト>
演出:エルマー・ゲールデン
指揮:ジュリアーノ・ベッタ
アルマヴィーヴァ伯爵:クリストファー・ボルダック
伯爵夫人:ジャクリーン・ワグナー/カルミラ・レミージョ
スザンナ:マヤ・ボーグ/ロザンナ・サヴォイア
フィガロ:ユン・カン・リー/エフゲニー・アレクシエフ
ケルビーノ:フランツィスカ・ゴットヴァルト
管弦楽:バーゼル・シンフォニエッタ
合唱:バーゼル歌劇場合唱団

2013-06-14 17:10 この記事だけ表示


写真提供:ビクターエンタテインメント(株)

作曲家、久石譲の娘として『風の谷のナウシカ』にて「ナウシカ・レクイエム」にてデビュー、NHK合唱団を経て、NHKドラマ「坂の上の雲」や「ハリー・ポッター」劇中歌、ジブリ作品の各イメージアルバムへの参加など多岐にわたる歌手活動を行う麻衣が、童謡や日本の歌を歌う時の活動名"うたうまい"名義で5月22日(水)にアルバム「うたうまい〜童謡唄う」をビクターエンタテインメントよりリリースする。

今回、リリースの関連公演として東京・紀尾井ホールにて全2回にわたるコンサートを開催。
【12時-公演】全年齢対象を対象とした1時間のプログラム。公募によって集まった子どもたちとの共演など、家族で楽しめる内容。
【15時-公演】本公演にあたる15時からの回では、うたうまいが主幹を務める女声合唱団体“リトルキャロル"ほかゲストらと共に、日本の童謡・「となりのトトロ組曲(うたうまい自身の編曲)」を演奏。その他にも映画「ハリー・ポッターと死の秘宝PART2」の劇中曲として使用された「リリーのテーマ」や、オリジナル曲などを含む彼女の魅力を存分に味わえるプログラム。

曲目や、演出も含め全体を通し老若男女問わず楽しめるコンサート、彼女の透き通った歌声と、「うた」の持つエネルギーをぜひ会場で体感していただきたい。




インタビュー




5/22に新アルバム「うたうまい 童謡うたう」がリリースされましたが、なぜ今回、童謡をテーマに取り上げたのでしょうか?
6歳からNHK児童合唱団に入っていたこともあり、童謡は私にとってとても身近な音楽でした。とにかく、色々な曲を色々な形(伴奏、編成、声部など)で歌い、今でもふとした時に口ずさむことが多いです。そんな私の音楽のルーツでもある童謡を今回はテーマに選びました。

麻衣さんが思う、日本の童謡の魅力とは何でしょうか?
どの国でも、童謡というのはそうだとは思うのですが、とにかく、一言でいうと「ぐっ」とくる曲。派手なアレンジもたくさんの楽器もまったく必要とせず、シンプルなメロディで、ひとつの伴奏と歌ですべての心を違う世界(なつかしい時代、楽しかった思い出、悲しい思い出、好きな人を思い出すなど)に一瞬で連れて行ってくれる。そんな力が童謡にはあると感じています。

また、3月には東日本大震災の被災地である女川町に訪問して童謡を披露されたようですが、その時のお話や印象に残ったことなどお聞かせ下さい。
私がコンサートをした体育館は震災直後3月から8月までの避難所になっていた場所で、現地の方が「ここにくると胸がまだぎゅーっと締め付けられる」と、お話してくれました。物理的な復興もまだまだですし、心もまだまだついていけないというのが現状でした。そんな中でも、コンサートのときは、皆さん私の歌を真剣にきいてくださいました。一緒にうたうだけでなく、盆踊りなども一緒に踊り、最後には「楽しいひとときを過ごせた」と言ってくれました。
震災直後は、音楽の出る幕がなく、自分ができることは何もなくて「なんて自分は無力なのだろう」と思いました。でも、今になって、今だからこそ、こういった形でほんの一瞬でも、みなさんに「楽しかった!」と思ってもらえることが、嬉しかった。
震災自体はどんどん風化されてしまいますが「忘れてはいけない」ということを強く感じました。

8/24の公演の聴きどころはどんなところでしょうか?
お昼のコンサートは小さいお子さんにも聴いて頂きたいので、1時間の親子で楽しめるようなプログラムを用意しました。歌う事の歓びを全身で味わっていただければ、と思っています。

15時からの公演ですが、前半は童謡を主体にシンプルな編成で、それぞれの曲の魅力を最大限に活かせるようなプログラムになっています。また、後半の「トトロ組曲」(編曲:うたうまい)では私の歌・ナレーションと合唱を主体に「となりのトトロ」の物語を歌とともに物語の情景が浮かぶような音楽の世界をお届けします。子ども向けのプログラムのように感じますが、大人の方も楽しんでいただけるような聞き応えあるものになっておりますので、ご期待ください。

また、今回共演も予定されている合唱の魅力も教えてください
みんなで一斉に声出すことって素晴らしいです。純粋に楽しいです。声が集まったときの魅力は、どの楽器にも勝ると思っています。私は、6歳から現在までずっと合唱をやってきていますが、ちょっと落ち込んだときも、練習をすると心がすっきりします。そう考えてみると、私の合唱仲間で、グレた子はいませんね(笑) また昨年12月に六本木ヒルズのHIlls Breakfastというイベントで、合唱の魅力についても触れさせて頂きました。(動画参照)


公演に向けての意気込みをお聞かせ下さい
8月24日、きっと猛暑だと思いますが、そんな中、少しでも息抜きになる時間を過ごしてもらえればと思っています。みなさんにお会いできるのを楽しみにしています。



「月刊ぶらあぼ」7月号にてうたうまいインタビュー記事掲載!
eぶらあぼにて、WEB上でもご覧いただけます。
http://www.mde.co.jp/ebravo/
※72ページの「ぴっくあっぷ」をご覧ください。

公演概要

うたうまいコンサート

<公演日程・会場>
2013/8/24(土) 紀尾井ホール (東京都)
<出演>
うたうまい/麻衣(歌とお話)/北方寛丈(ピアノ)/ 石川智(ドラム・パーカッション)/植木昭雄(チェロ)/ リトルキャロル&フレンズ(混声合唱)/児童合唱団<12:00公演のみ>
<曲目>
<12:00公演>
[みんなで歌おう]おはなしゆびさん、あめふりくまのこ、トトロ組曲 ほか
<15:00公演>
[うたうまい]椰子の実、紅葉、ふるさと、あめふりくまのこ、真っ赤な秋、Lily's Theme(『ハリーポッターと死の秘宝 PART2』劇中歌)、トトロ組曲 ほか

2013-06-03 20:39 この記事だけ表示

  先シ−ズン末の6月、ソフィア国立歌劇場で上演された『トスカ』では、題名役の佐藤しのぶの圧倒的なステージ・プレゼンスに客席は最大級の賛辞を惜しまない。デビュー以来、長きに渡って第一線を張ってきたプリマドンナのオーラが燦然と輝いている。


佐藤しのぶ、『トスカ』を語る

Q:ソフィアには、これまで『オテロ』や『仮面舞踏会』等で出演されていますが、今回はソプラノ歌手にとって最高のロールである『トスカ』が実現しました。『トスカ』をこれまでも度々歌ってこられて、いまこの作品に対して、どう考えていますか?
佐藤(以下S):プッチーニの作品中、『トスカ』は最高傑作だと思います。無駄なく見事に書いてあるので、演じている方はたいへんです。そのうえ今回のカルターロフ総裁の演出では、第二幕から休みなく第三幕に続きますので、ますます大変な舞台です。
歌手冥利に尽きる作品であるとともに、演技上の要求も多いのです。音楽が一番白熱したところで歌手から歌を奪ってしまうという、つまり、スカルピアを殺害した後、トスカは歌わず、ずっとオーケストラに情景を語らせるシーンで。舞台はトスカただ一人になり、客席は彼女の一挙手一投足に集中するのです。

Q:しのぶさんは舞台女優だから、最高の見せ場になっていますね。ここで、トスカって、どういう女性でしょうね?
S:スカルピアは、もしトスカが自分の思いのままになっていたとしても、マリオを処刑してしまったでしょう。だから冷徹非情な悪人をどうしても許せないトスカは咄嗟にスカルピアを殺してしまい、しかも最後に「神の御前で決着をつけましょう!」と大見得を切って城壁から飛び降りるわけです。スカルピアは最高の権力者であり、すべてを意のままに操った男ですが、トスカには完全に負けた、という解釈を私はしています。

Q:やはり、それだけの練られた舞台だからですね、ソフィアの客席があれほど盛り上がったのは。
S:お客様が夢中になって舞台に引き付けられている様子がうかがえて、なによりもうれしかったです。日本でも、そうなると最高ですが・・・。

Q:大丈夫、しのぶさんが渾身のステージを見せれば大成功間違いなしですよ。

[インタビュー/山崎睦(音楽ジャーナリスト)]


公演概要

ソフィア国立歌劇場

<公演日程・会場>
2012/11/15(木)〜11/18(日) 東京文化会館大ホール (東京都)
<出演>
指揮:アレッサンドロ・サンジョルジ
ソプラノ:小林沙羅(11/15)/佐藤しのぶ(11/17)
<曲目>
【11/15(木)】
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」、プッチーニ:「ジャンニ・スキッキ」
【11/17(土)・18(日)】
プッチーニ:「トスカ」

ソフィア国立歌劇場
「カヴァレリア・ルスティカーナ」「ジャンニ・スキッキ」

<公演日程・会場>
2012/11/10(土) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール (兵庫県)
2012/11/11(日) 千葉県文化会館 大ホール (千葉県)
<出演予定>
カヴァレリア・ルスティカーナ:ゲルガーナ・ルセコヴァ(サントゥッツァ)、コンスタディン・アンドレエフ(トゥリッドゥ)、プラーメン・ディミトロフ(アルフィオ)、リュミアナ・ペトロヴァ(ルチア)
ジャンニ・スキッキ:ウラディミール・サムソノフ(ジャンニ・スキッキ)、小林沙羅(ラウレッタ)、ダニエル・オストレツォフ(リヌッチョ)
管弦楽/ソフィア国立歌劇場管弦楽団
合唱/ソフィア国立歌劇場合唱団
指揮/【カヴァレリア・ルスティカーナ】アレッサンドロ・サンジョルジ、【ジャンニ・スキッキ】ウェリザール・ゲンチェフ
演出/プラーメン・カルターロフ
<曲目>
マスカーニ作曲:「カヴァレリア・ルスティカーナ」(全1幕・イタリア語上演/日本語字幕付)
プッチーニ作曲:「ジャンニ・スキッキ」(全1幕・イタリア語上演/日本語字幕付)

2012-10-31 12:26 この記事だけ表示

  西本智実の指揮する「TOKYO FM 夢の第九コンサート」が今年も開催される。合唱練習会に出席して本番に備えることも、練習会には出ないが本番だけ声を合わせることもできる、“誰でも参加型”の「第九コンサート」である。

西本智実に公演の見どころを聞いた!

「ここの第九の特徴は、合唱団としてグループで来る人だけでなく、当日の個人参加もOKということです。『やっぱり歌いに行こうかしら』ってその日に決めてもOKみたいな(笑)。全員ドイツ語ができるというわけではないけれど、それでもいい。そういう柔軟で間口の広いところに、指揮者としては怖いところもありますが、誰もが参加できる良さを感じます。合唱をやりたいけど子育てや仕事の関係で練習に出るのが難しい人も大歓迎。それでも形になるところがここの第九の素晴らしさです」

2010年の第1回は日本武道館で、昨年の第2回は東京国際フォーラム・ホールAで、開催された。参加者にはリピーターも多いという。既に練習会は始まっている。
「1回目、2回目に出たという人は結構多いですね。1度歌った経験でどんどん楽しくなって、もっと掘り下げてやりたいという熱心な方がたくさんいらっしゃいます」

もちろん、初心者も大歓迎だ。
「今年初めてという方もまったく気がねなく参加していただきたい。とにかく合唱は非常に楽しい。一人ひとりが声を出し、声を合わせることは素晴らしい現象。私も合唱大好きで、できるなら合唱に入って歌いたいくらいです(笑)。自分の声が他の人の声と重なって大きな音楽ができることが感じられます。CD鑑賞とはまったく違うレベルの感動です。是非、味わっていたただきたいと思います」

指揮者にも毎年違った楽しみがある。
「何度同じメンバーで演奏したとしても本番は違う空気になるものですが、ここはその幅が大きい。指揮者としてまとめながらも、生まれて来る予想も付かない部分をどれだけ広げられるかだと思っています。2年目、3年目、年を積み重ねていますが、同じことを繰り返すことはありません。去年とは違った高みに行ければいいなと思っています。来年があるとすれば、来年は来年の形になります。第九には時代を越えた強さがあり、何回演奏しても素晴らしさを感じます」

今年のオーケストラは、西本が今年9月からミュージックパートナーを務める日本フィルハーモニー交響楽団。
「日本フィルとは随分長く共演してきました。日本フィルはひとつの作品に対して良いものを作ろうという熱気があります。オーケストラの熱が直接伝わるような演奏をしたいと思っています」

現在、西本は、オリンパスホール八王子のエグゼクティヴプロデューサーを務めるほか、新しく結成されたイルミナートフィルハーモニーオーケストラを率いる。イルミナートフィルは、国内外の優秀な音楽家が集ったオーケストラ。
「今はフィルになっていますが、実は、オーケストラだけではなく、メンバーには、バレエ・ダンサーやオペラ歌手もいます。プロフェッショナルな集団で、クラシックだけではありません。ミュージカルもやるかもしれません。イルミナートは日本だけのものでもありません。様々な国にイルミナートのメンバーがいて、彼らと連携して活動していきます。もともと私はオペラ畑の出身で、いろいろな才能が集まって世界が広がる劇場が大好きなのです。イルミナートは志を同じくする芸術家集団です。全貌はこれから明らかになっていきます」
今後がとても楽しみなプロジェクトである。

[取材・文/山田治生]

公演概要

TOKYO FM 夢の第九コンサート2012


<公演日程・会場>
2012/12/18(火) 東京国際フォーラム ホールA (東京都)

<出演>
指揮者:西本智実
オーケストラ:日本フィルハーモニー交響楽団
ソリスト:日比野幸(ソプラノ)/山下牧子(アルト)/経種廉彦(テノール)/成田博之(バリトン)

<曲目>
ベートーヴェン:交響曲第九番 ニ短調 作品125(合唱付)

2012-10-26 17:03 この記事だけ表示

 ロシアの名指揮者、ウラディーミル・フェドセーエフが、1974年以来音楽監督を務めるチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラとともに来日する。チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラはこれまでモスクワ放送交響楽団と呼ばれてきたが、彼らのチャイコフスキー演奏を讃えて国際チャイコフスキー協会などが「チャイコフスキー」の称号を彼らに与えたのであった。今回の日本公演では、彼らが最も得意とするロシア音楽が披露される。十八番のチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」と弦楽セレナーデ、小山実稚恵をソリストに迎えてのラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェヘラザード」と「スペイン奇想曲」、そして、ショスタコーヴィチの交響曲第10番などである。ショスタコーヴィチの交響曲第10番は、交響曲第5番ほど人気はないが、その完成度の高さから彼の最高傑作ともいわれる。実際、大指揮者カラヤンが唯一レパートリーとしたショスタコーヴィチの交響曲がこの第10番であった。
 今年80歳になった巨匠フェドセーエフが40年近く率いてきた手兵とともに、ロシア音楽の真髄を堪能させてくれるに違いない。

〔文/山田治生〕

 

日本のみなさまへ

 私がチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ(元モスクワ放送交響楽団)の芸術監督に就任してから35年以上経ちますが、本当に様々なことがありました。祖国はもちろん世界中で。最近では、日本の大震災と、それにともなう数々の悲劇には本当に心が痛みました。そして日本の皆様の凛とした姿勢には本当に尊敬の念をあらためて覚えました。
 私の指揮者人生について言えば、今や家族とも言えるチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラと、これほど長く一緒に歩んでこれたことを心から幸せに思います。また、日本でも私の80歳を祝っていただけること大変光栄に思います。

 このたび、私の愛するロシア音楽の数々の名曲を、日本の皆様にお届けできることを心から幸せに感じています。
 ピアノ協奏曲は実稚恵さんとの再びの共演が楽しみです。彼女とはこれまで何度もご一緒していますが、私の大好きなピアニストです。そしてロシア音楽を正しく理解し、感じることができる天性の感覚をもった数少ない音楽家のひとりです。きっと潜在的にロシア人の心を持っているのでしょう。再びラフマニノフを一緒に演奏できることを心から嬉しく楽しみに思います。

 そしてロシアを代表する作曲家チャイコフスキーの名を冠する私たちにとって、やはりチャイコフスキーは特別な作曲家です。聴きどころ、魅力・・・それはきっと世界でもっともチャイコフスキーを愛してくれている日本の皆様が一番良くご存じでないでしょうか!
 「悲愴交響曲」は、広島での雨の中でのコンサート、大阪でのチャイコフスキー没後100年メモリアルコンサート(ライブ録音も発売されました)など、たくさんの特別な思い出のある曲です。今回も聴いて下さったお客様の心に残る演奏となれば嬉しいです。
 
 日本にはこれまで何度も訪れていますが、本当に素晴らしい国で、いつも幸せな時間を過ごしています。
 私は、音楽は専門家や研究者、一部の人のためのものではなく、すべての人のためのものであり、そして聴いてくださる方がいてはじめて成立するものだと思います。CDももちろん素晴らしいですが、やはり私たちは生の演奏、コンサート、そしてそれを共有することは何よりも素晴らしい体験だと信じています。
 どうぞ皆様、コンサート会場にいらしてください。お会いできることを楽しみにしています。

ウラディーミル・フェドセーエフ

 

公演情報

チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ
ウラディーミル・フェドセーエフ指揮


<公演日程・会場>
2012/10/15(月)、16(火)、17(水) サントリーホール 大ホール (東京都)

<出演>
芸術監督・首席指揮者:ウラディーミル・フェドセーエフ
管弦楽:チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ
ピアノ:小山実稚恵(10/16(火)のみ)

<曲目>
【10/15】 オール・チャイコフスキー
チャイコフスキー:
≪エフゲニ・オネーギン≫より3つの交響的断章(フェドセーエフ編曲)
チャイコフスキー:弦楽のためのセレナード ハ長調 op.48
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調op.74「悲愴」

【10/16】 ロシアン・ロマンティック
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op.30(ピアノ:小山実稚恵)
R.コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」 op.35

【10/17】 フェドセーエフの芸術
スヴィリードフ:
交響組曲「吹雪」〜プーシキンの物語への音楽の挿絵〜より
R.コルサコフ:スペイン奇想曲 op.34
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 op.93

2012-09-25 18:16 この記事だけ表示

飛ぶ鳥を落とす勢いで日本のバンドネオン界を揺るがす期待の新星、三浦一馬。
本場アルゼンチンの世界最高峰バンドネオン・プレイヤー、ネストル・マルコーニ。
昨年震災で中止された夢の師弟競演が、今年12月にとうとう実現する。共にクラシック音楽の世界でも活躍、巨匠ピアソラ譲りの音楽性を共有する2人が、それぞれに得意な曲をひっさげてタンゴの「粋」をめぐり火花を散らす。ソロ、デュオ、コンチェルトの3本柱で、タンゴの魅力、バンドネオンの魅力を余すところなく堪能できる一夜。
マルコーニによるピアソラのコンチェルト、三浦一馬による師マルコーニ作曲の《カーメラ・タンゴス》は必聴!乞うご期待!

三浦一馬に独占インタビュー!

――昨年5月に開催予定だった「バンドネオン・ヒーローズ〜師弟デュオ競演」。東日本大震災の影響で中止となった同公演でしたが、今年12月に開催されることになりました。今の心境はいかがですか?

まず、何より最高に嬉しいです!
僕の尊敬するマルコーニ氏との共演の実現というだけでなく、氏の作品を日本初演できること、また、それを、今度こそ日本で多くの方に聴いて頂けるチャンスがあるというのも、今からとても楽しみです!

(以下2011年3月10日 都内レコーディング・スタジオにて)

――ついに実現、日本でマルコーニと競演しますね。

ネストル・マルコーニは世界最高峰のバンドネオン奏者であり、僕も含めて世界中のバンドネオン奏者にとって憧れの存在です。マルコーニはヨー・ヨー・マ(のタンゴCDでもバンドネオンを演奏していますから、元々アルゼンチン・タンゴやバンドネオンに詳しくない方でもファンが多いかと思います。僕がCDで初めてマルコーニの演奏を聴いた時は、1人がまるで2人、3人分を演奏しているかの様、テクニックや表現力を感じさせられて「凄い!こんなに凄い奏者がいるのか?」と思いました。ですから、「ネストル・マルコーニ×三浦一馬」というタイトルで、尊敬する師匠とコンサートが出来ることは夢のような気持ちですし、彼が来日するだけで大変な事なのに、日本で競演できるなんて本当に夢のような出来事です。

――ピアソラとマルコーニ、時代を担う"バンドネオン・ヒーローズ"について。

今年はモダン・タンゴの基礎を作ったアストル・ピアソラ生誕90周年ということで、5月に「ブエノスアイレスの四季」という、ピアソラが作曲した4曲をメインにした2ndアルバムをビクターからリリースします。バンドネオンには楽譜がなかなか存在せず、出版されているものは「後は演奏者が味付けしてください」といった簡単なものばかりで、僕はピアソラのライヴ盤などを聴いて一音一音を書いてゆくというとても大変な作業をして修正しながらレコーディングしています。ピアソラはマルコーニを高く認めていたし、マルコーニはピアソラ最高の解釈者として、互いに多くのアーティストに影響を与えた音楽家です。今回のバンドネオン・ヒーローズでは、その2人の曲がプログラムされていますが、2人は僕にとっては本物のヒーローたちです。

――マルコーニとの出会い

5年前、マルコーニが「別府アルゲリッチ音楽祭」に出演するため来日するというので、別府まで聴きに行きました。その時は自分のバンドネオンには限界はないと感じるくらい彼の演奏に強い衝撃を受けました。僕は、その夜にマルコーニが参加する打ち上げ会場である別府のお寿司屋さんに楽器を持って押しかけ、目の前で演奏をしたのです(笑)。初対面の翌朝、彼は公演日にもかかわらず、ホテルの部屋で2時間近くもプライベート・レッスンをしてくださり、僕はすぐに弟子入りを志願しました。そして、その夏にはさっそく、ブエノスアイレスでレッスンを受けることが実現しました。彼は、本番前は近寄りがたいと感じる程のオーラ、存在感でマエストロという感じがします、普段は、練習中もその場を和ませるようなお茶目で楽しい方ですよ。

――最後に、この公演にむけてのメッセージを!

今回のコンサートはソロ、デュオ、室内オケとの共演など盛りだくさんな豪華な内容になっています。マルコーニはピアソラのバンドネオン協奏曲を演奏しますが、マルコーニ独特のカデンツァ(独奏部)があって、本人が生で弾くのを聴ける機会は他には無いと思います。僕はマルコーニの傑作とも言える作品《カーメラ・タンゴス》という曲を、今回特別に編成されたカーメラ・オルケスタ(クラシック室内楽オーケストラとタンゴオーケストラとの造語)と日本で初演させて頂きます。そして、マルコーニとの競演という重責もありますが、自分自身が出演者でありながら、師匠の演奏を一番間近に体験できる特等席に座れるのも楽しみですね(笑)

 

公演情報

ネストル・マルコーニ×三浦一馬 バンドネオン・ヒーローズ〜師弟デュオ競演

<公演日程・会場>
2012/12/11(火) 紀尾井ホール (東京都)

<出演>
【ランチタイムコンサート】
ネストル・マルコーニ(Bn)、三浦一馬(Bn)、フランソワ・キリアン(p)
【本公演】
ネストル・マルコーニ(Bn)/三浦一馬(Bn)/フランソワ・キリアン(p)/カーメラ・オルケスタ

<曲目>
【ランチタイムコンサート】
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー/他 
【本公演】
ピアソラ:リベルタンゴ/マルコーニ:ロブスタンゴ/マルコーニ:モーダ・タンゴ/マルコーニ:グリス・デ・アウセンシア/ピアソラ:現実との3分間/ピアソラ:バンドネオン協奏曲/マルコーニ:カーメラ・タンゴス(協奏曲形式)[日本初演]/他

※演奏曲目は変更になる場合がございます。

ネストル・マルコーニ×三浦一馬 バンドネオン・ヒーローズ

<公演日程・会場>
2012/12/13(木) アートピアホール (愛知県)

<曲目>
【プログラム(予定)】
ピアソラ:リベルタンゴ、アディオスノニーノ、ブエノスアイレスの夏
マルコーニ:モーダ・タンゴ、ロブスタンゴ(新曲・初演)他

2012-09-13 18:39 この記事だけ表示