たんなる「天才美少女」とは呼ばせない! 天賦のピアニストがリスト年に贈る、オール・リスト・プロ。

リーズ・ドゥ・ラ・サール
(C)Lynn Goldsmith

 これから確実に世界に羽ばたくであろう才能豊かな若い演奏家が、3年間に渡り、国内3都市で継続的に演奏する画期的なプロジェクト、「プロジェクト 3×3」。その第2弾として、「天才美少女」ピアニスト、リーズ・ドゥ・ラ・サール が登場する。

【東京公演】

【大阪公演】

 私は今でも忘れることはない。あの日のことを。
 そう、それは、3年ほど前。2008年6月、上野の東京藝術大学奏楽堂でのできごと。 なんの予備知識もなく、さほど期待もせずに出かけた、ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会。そこで彼女は、モーツァルトのピアノ協奏曲を弾いた。その演奏もいまだ感銘深いものだったが、私をさらに驚かし、身震いさせたのが、アンコールで弾いたバッハのオルガン小曲集《主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる(BWV639)》(A.タルコフスキーの映画『惑星ソラリス』のテーマ曲でもある)のピアノ編曲版(F. ブゾーニ)だった。
 当時、まだ19歳の少女の演奏。だがしかし、そうとは思えない、長く深い人生を巡ってきたかのような、これまでまるで聴いたことのない、成熟しきった、静かで深々とした、それでいて瑞々しい、優しく、慈悲深いバッハが、そこにあった。私の心は鷲づかみにされた。

(C)STEPHANE GALLOIS / NAIVE

 なぜ、ここまで人の心をえぐる演奏ができるのか? 個性的なテンポ、揺れ、繊細さが、彼女の音楽を決定づけていると言ってもいいだろう。「天才美少女」というキャッチフレーズが一人歩きしている嫌いもあるが、単なるビジュアルありきの少女ではない。まさにそれらは、「天賦の才」そのものなのだ。
 優れた感性による、詩情に充ち満ちた美しい響が持ち味の彼女は今年、リスト生誕200年の記念イヤーにふさわしく、オール・リストのプログラムに挑戦する。
 さきに紹介したバッハと今回演奏するリストの作品がカップリングされたCDをすでに2005年に発表していることからもわかるように、彼女にとって、リストとバッハは相通じるものでもあり、また、自信の作曲家でもある。
 あれから時が過ぎ、彼女もさらに大きく成長したに違いない。22歳の女性とは思えないほど、研ぎ澄まされた、完成された音楽が、そこにあるはずだ
 まずは、ここにある動画で、彼女の最新の演奏を聴いてみてほしい。これを聴いて心動かされない人はいないだろう。
 今年から毎年3年間にわたって彼女の演奏を、そして、彼女の音楽家としての成長を、驚くべき低料金で体感し、聴くことができるのだ。望外の悦びというしかない。

(文:唯野正彦)


【東京公演】

【大阪公演】

<関連公演> プロジェクト3×3 Vol.1 パク・ヘユン ヴァイオリン・リサイタル

2011-02-02 19:05 この記事だけ表示

東欧オペラの雄、待望の再来日。総勢150名完全引っ越し公演!現代に舞い降りた運命の女(ファム・ファタール)、ミリヤーナ・ニコリッチ主演による「カルメン」を上演。

ブカレスト国立歌劇場来日公演 ビゼー作曲:歌劇「カルメン」(全4幕)
【出演】
指揮:ユーリ・フロレア
演出:マリアナ・エマンディ・ティロン
カルメン:ミリヤーナ・ニコリッチ
ドン・ホセ:ダニエル・マグダル
エスカミーリョ:ステファン・イグナット
ミカエラ:ミハエラ・スタンチウ
※劇場側の都合により一部出演者が変更になる場合があります。予めご了承ください。
管弦楽:ブカレスト国立歌劇場管弦楽団
合唱:ブカレスト国立歌劇場合唱団
バレエ:ブカレスト国立歌劇場バレエ団



ミラノ・スカラ座最新スター初来日。
リッカルド・ムーティがその美声で恋に落ちた、
運命の女(ファム・ファタール)!

 セルビア生まれ。ベオグラード芸術大学へ学び、数多くのコンクールで受賞したのち、ベオグラード国立歌劇場の『魔笛』の童子、『チェネレントラ』のティスベを歌ってオペラ・デビュー。

 2001年、ミラノ・スカラ座アカデミーへ奨学生として招かれ、リッカルド・ムーティに認められてオルガ・ボロディナの代役やムーティ指揮『イフェゲニーとエウリデ』へ抜擢されるなど早期から頭角を現し、ほどなく、『オベルト』のクニーツァ役を歌って主役級デビューを果たした。以来、スカラ座を中心に、ベネチアのカルロ・フェニーチェ劇場、ベルガモのドニゼッティ劇場、カターニアのベッリーニ劇場、サルディーニャのカリアリ劇場、フィンランドのサヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル等多くの著名劇場、音楽祭へ出演、『ナブッコ』『ドン・カルロ』『アイーダ』『トロヴァトーレ』『リゴレット』『サムソンとダリラ』『ホフマン物語』『ウェルテル』『タンホイザー』『ばらの騎士』等オペラの名作から、モーツァルトとヴェルディのレクイエム、ヘンデルのメサイア等大規模な宗教曲まで多彩な演目を歌っている。ことに、『カルメン』は、強烈な存在感もあいまって当たり役と評価が高い。今後の動向が注目される若手歌手のひとりである。


ブカレスト国立歌劇場&ニコリッチのカルメンの特色

 1800年代前半にルーマニアに移住したイタリア系移民の音楽活動が歌劇場設立のきっかけとなったが、その移民の中にはジプシーも多く、「カルメン」(ジプシーの女工の設定)ではその伝統的な民族衣装を再現するなど細部までこだわりを見せている。

 プリマドンナのミリヤーナ・ニコリッチは、その類まれなる歌唱力に加え、ハリウッド女優のような美貌と舞台上の立ち振る舞いが「魔性の女」「運命の女」を演じるにぴったりで、「現代に生まれたカルメンの化身」とも評されている。2010年10月にはフィンランドのサヴォンリンナ音楽祭、2011年2月にはオーストリア・シドニーのオペラハウス等大舞台での「カルメン」が予定されており、新世代の「カルメン歌い」として世界各国の歌劇場から引っ張りだこである。
 伝統的な演出と絶世の美女が織りなす愛と悲劇のドラマ。
ブカレスト国立歌劇場=ニコリッチによるカルメンは見逃せない。



2011-01-25 20:22 この記事だけ表示

 ヨーロッパを中心に世界で活躍するピアニスト、「フレディ・ケンプ」待望の全国ツアー決定!

 ヴィルヘルム・ケンプの遠縁にあたるドイツ人の父と日本人の母のもと、ロンドンで生まれた神童。澄んだ瞳、笑顔、礼儀正しさ…まさに英国紳士。しかし鍵盤に向かうと一転、獣のような荒々しい表情に…そのギャップがたまらない!そして何より、人間離れした激しい手指の動き。その男らしい体格からは想像できない繊細優美な音色…今回の来日公演は、そんな彼の超絶技巧を堪能できる奇跡的プログラムです。

 “ピアノの魔術師”リスト生誕200年にお贈りするのは、「オペラ・トランスクリプション」の世界。さらに、映画「羊たちの沈黙」でも使用された、長大かつ孤高の名作、バッハ「ゴールドベルク変奏曲」。新時代ピアニスト、フレディ・ケンプの深遠な音の世界を満喫できる、またとない機会。
是非足をお運びください!


公演概要

【東京公演】プログラムA
公演日:2011/3/2(水)
会場:サントリーホール 大ホール (東京都)

【鹿児島公演】プログラムB
公演日:2011/2/18(金)
会場:宝山ホール 鹿児島県文化センター (鹿児島県)

【大阪公演】プログラムA
公演日:2011/2/23(水)
会場:ザ・シンフォニーホール (大阪府)

【福岡公演】プログラムA
公演日:2011/2/25(水)

【神奈川公演】プログラムB
公演日:2011/3/3(木)
会場:横浜みなとみらいホール 大ホール (神奈川県)


<プログラムA>
ピアノヴィルトゥオーゾ〜フレディ・ケンプピアノリサイタル
PIANO VIRTUOSO〜FREDDY KEMPF PIANO RECITAL


J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲 BWV 988
J.S. Bach:Goldberg Variations BWV 988

F.リスト F.Liszt
リゴレット(演奏会用パラフレーズ)(ヴェルディ歌劇「リゴレット」より) S.434
Rigoletto (Paraphrase de concert)(G.Verdi) S.434

イゾルデ〜愛の死(ワーグナー楽劇「トリスタンとイゾルデ」より) S.447
Isoldes Liebestod from Tristan und Isolde(R.Wagner) S447

ハンガリー狂詩曲 第6番 変ニ長調 S.244
Ungarische Rhapsodie Nr.6 Des-dur S.244


<プログラムB>
フレディ・ケンプピアノリサイタル
FREDDY KEMPF PIANO RECITALL


ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 「悲愴」 Op.13
L.v.Beethoven:Sonate fur Klavier Nr.8 c-moll "Pathetique" Op.13

ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 「熱情」 Op.57
L.v.Beethoven:Sonate fur Klavier Nr.23 f-moll "Appassionata" Op.57

リスト : ランメルモールのルチアの回想
F.Liszt:Reminiscences de Lucia di Lammermoor(Donizetti ) S.397

ショパン: ノクターン 第2番 変ホ長調 作品9-2
F.Chopin:Nocturne Nr.2 E-dur Op.9-2

ブラームス:16のワルツ 作品39
J.Brahms::16 Waltzes, Opus 39 (nos. 1 - 16)

リスト:メフィスト・ワルツ 第1番 イ長調 S.514
F.Liszt:Mephisto Waltzer Nr.1 A-dur S.514


2011-01-25 19:00 この記事だけ表示




 〜聴きたいときに、気楽にいけるように、調べたいときに簡単に調べられるように。在京オケの情報を『オケプラス』に〜

 去る11月1日、在京オケの情報を特集するサイト『オケプラス』開設を記念し、在京オケの現場に携わる方々が一同に会し座談会を行いました。(座談会 その1)

 前回は、その前半部分として、それぞれのオケの魅力、コンサートの聴きどころをご紹介しましたが、後半では、新たな聴衆に向けた取り組み、若い方へのメッセージなど、現場の方々が胸に秘める熱い思いを語っていただきました。


ライフスタイルにあわせた開演時間の工夫は?
若い聴衆へどうアピールするか
ゲネプロ・リハーサル公開


出席者

●大久保広晴(読売日本交響楽団 制作課 広報・宣伝)
●高瀬緑(東京交響楽団 企画制作・広報本部 広報担当 フランチャイズ事業部 係長)
●福地耕治(東京都交響楽団 パブリック・コミュニケーションズ・オフィス ゼネラル・マネージャー)
●法木宏和(読売日本交響楽団 事業課)
●益満行裕(日本フィルハーモニー交響楽団 企画・制作部・副部長)
●三田村宗剛(東京フィルハーモニー交響楽団 広報)
●安江正也(新日本フィルハーモニー交響楽団 事務局次長 事業部長 事業担当)
●渡辺克(NHK交響楽団 事業広報部 担当部長)
(敬称略・五十音順)

{司会・進行・構成}
●唯野正彦(クラシック音楽ライター)

2010-12-21 18:42 この記事だけ表示

ライフスタイルにあわせた開演時間の工夫は?

司会(唯野): さて、さきほど都響さんの「別宮プロデュース」でプレトークについて少しふれましたが(座談会その1 現代作品の紹介には、確かな吟味と積み重ねの努力が必要)、日本フィルさん、新日本フィルさんも、コンサート前にプレトークを行われています。実際にコンサート聴かれるお客様のうち、どれくらいの割合がプレトークを聞かれてますか?

安江(新日本フィル): 公演の30分前に始めるので、夜だと開演に間に合うか間に合わないかという感じの方が多いので、なかなか集客は難しいですね。

益満(日本フィル): 私たちは土曜日の東京定期で開演前の15分間、舞台上でプレトークを行っています。最初から聞くには開演の50分前にはホールへ入らなければならないのですが、回を追うごとにお客様の数は増えていますよ。割合で言うと20パーセント弱くらい、といったところでしょうか。

司会(唯野): 以前、新日本フィルさんのオーチャードホール定期は19時30開演でした。開演時間をもう少し遅くするとかいうことは検討されていますか?

安江(新日本フィル): いまは錦糸町のすみだトリフォニー、サントリーホールともに平日夜は19時15分開演です。開演時間を遅くすることも検討したことがあります。ただ今度は帰る時間の問題がでてくるんですね。遠隔地からいらっしゃるお客様が結構いて、遅い開演だと帰るのになかなか苦労されるんです。海外のようにお客様のほとんどが会場の周辺だと違ってくるのですが、日本のオーケストラのあり方からするとしょうがない。そのために昼夜の2公演制で行っているというのも一つにあります。

司会(唯野): 新日本フィルさんは墨田区を、日本フィルさんは杉並区を、そして、東響さんは川崎市を拠点に活動されています。そういった地域に根ざした考え方も一方で可能じゃないかと考えます。つまり、ちょっと乱暴な言い方ですが、遠隔地の方は来れなくてもしかたない、と割り切った、地域の方のための、ちょっと遅めの公演もなかにはあってもいいのかなと。そういったチャレンジはいかがでしょうか。

益満(日本フィル): いままで水曜平日昼間の14時から年4回、アフタヌーンシーズンというのをやっていました。平日のこの時間しか来られないという方もいます。来年度からは杉並での公演はそれこそ新日本フィルさんの真似じゃないですが、19時15分からやろうかなと考えています。やはり会社帰りに19時から杉並でというのは結構しんどい。その15分がどの程度効くのか分かりませんが、終わる時間は今まで通りで、プログラミングも少し短め、といったものができればいいかなと考えています。

司会(唯野): 読響さんも1月の500回記念定期演奏会ではプレトークと、それからこれは非常に珍しいことだと思うのですが、アフタートークが企画されていますね。

大久保(読響): プレトークは作曲家の池辺晋一郎さんが新作について、正指揮者の下野竜也と語ります。アフタートークは、作曲家の西村朗さん、音楽評論家の片山杜秀さん、ジャーナリストの江川紹子さんをお招きし、下野竜也との4人で、『今、オーケストラに何を求めるか?』というテーマで、終演後に行うことにしています。
 どうすればもっとお客様にオーケストラを楽しんでいただけるのか、これからのオーケストラに何が求められているのか、今後のオーケストラの可能性などについて、お客様と一緒になって考える機会になればと考え企画しました。

司会(唯野): コンサートの後であれば、多くのお客さんが残っておられるでしょうし、こうしたテーマで語る場を設けるというのは、ともすれば発信者側の一方通行になってしまいがちななか、画期的なことじゃないかと思います。
 幸い、500回記念定期当日は土曜日で、開演18:00(プレトーク17:40)、終演20:00ですから、比較的みなさん参加しやすいんじゃないかと思います。ぜひ多くの方に参加していただきたいですね。

▲上に戻る

新日本フィルハーモニー交響楽団のチケット情報
日本フィルハーモニー交響楽団(日本フィル)のチケット情報
読売日本交響楽団(読響)のチケット情報


>>若い聴衆へどうアピールするか
>>ゲネプロ・リハーサル公開
>>座談会その2 TOP

2010-12-21 18:40 この記事だけ表示

若い聴衆へどうアピールするか

司会(唯野): 最近、クラシック音楽のコンサートに足を運ぶ若い方々がますます減ってきてしまっているという印象をもちます。一時期「のだめ現象」で盛り上がった感もありましたが、それも一時的なもので終わってしまった。そのあたりの危機感は現場でもお感じになりますか?
 また、さきほど日本フィルさんからはエデュケーション・プログラム、リージョナル・アクティビティ(地域振興)など、具体的なお話もいただきました(座談会 その1 熱い心とエネルギーをもったオーケストラ〜日本フィル)。各楽団さんでも、それぞれに教育プログラムを実施されていますが、そのほか、具体的な施策などありましたらお話ください。

福地(都響): 都響では、小中学校の音楽鑑賞教室や学校や福祉施設への出張演奏などのアウトリーチ活動に積極的に取り組み、若者にも親しみやすいオーケストラであるようにと心がけています。
 ただ、確かにお客様は高齢化していますね。第2代音楽監督、渡邉暁雄の頃から通っている方、若杉弘の時代、第4代のベルティーニの時代から、長く熱心な定期会員の方に支えられている。たいへんありがたいことなんですが、同時に、青少年に対してのコンタクトをどんどんしていき、次世代の音楽芸術に興味がある方を増やしていくのが、私たちの使命だと思っています。

渡辺(N響): 固定客としての定期会員席数が現在約1万席ありますが、非常にご高齢の方が多く、昭和の初期からN響を聴いてくださっている90歳を超える方々もいらっしゃる。ところが、高齢層も激減したうえに若い層の獲得も伴っていないのが現状で、その取り組みが今後の課題ではあります。

司会(唯野): クラシック音楽を少しかじって楽しむようになってきた、さあこれからコンサートに行ってみようと思われている方にとって、演奏家の名前や曲目を見たときに知らないものだと尻込みしてしまうかもしれない。絵画などと違って音楽となると、なかなかその良さを文字で伝えられない難しさがありますね。
 たとえば、N響さんであれば、放送メディアを持っていますので、例えば『N響アワー』で演奏会を後追いで紹介するのでなく、公演に先駆けて何か工夫ができないものかと考えます。これは多くのN響ファンも同じ気持ちではないかと。

渡辺(N響): それは可能じゃないかと思います。

▲上に戻る


◆50年後の音楽界を見据えたとき、いまの学生にはぜひ聴いてほしい

安江(新日本フィル): 学生にはすごく来てほしいんです。いまの学生があまり来ない状況で数年後、50年後100年後、いったいどうなってしまうのか。特に音大の学生さんには聴きに来てほしいです。
 例えば、日本の音楽文化が、将来の演奏家がどう育つのだろうかと考えると、不安になりますよね。将来の日本のオーケストラ、演奏家がどういう位置にいるのかを考えると、とても残念な環境だなと。
 私たちがその必要性を伝えきれていないということがあるのかもしれませんが、実際に大学などに案内したとして、どれくらいのリアクションがあるかというと、もう少しあってもいいんじゃないの?と思ってしまいます。

司会(唯野): それはなぜなんでしょう? 実際に音楽を勉強されている学生さんが、しかも、安いチケット設定があるにもかかわらず聴きに来ないとなると、お手上げに近い状態ですよね。

渡辺(N響): 私は音楽学校出身ですが、私たちの学生時代、やはりプレイヤーになろうという人間は、実際どんな音を出しているんだろうと興味津々でした。ある時、シカゴ交響楽団のホルンセクションに憧れて、初来日の時もぐって(会場にこっそり忍び込んで)聴いたとか、そういうことがいっぱいあったんですよ。
 でも、今の時代なかなか演奏で食べていくのは大変だし、学校の先生になれればもう万々歳だ、みたいな時代になりつつある。なかなかオーケストラにも入りづらい、まして自分がソリストになるなんてあり得ない状況になって、どうも若い人達の意欲がなくなってきているのではないかな。

安江(新日本フィル): 不思議ですよね。40歳の私でさえ、某絶対リハーサル公開しないオーケストラの指揮者をどうしてもチェックしたくて、忍び込んで入っていきましたよ(笑)。好きで、なんとかしたいと思ったら、興味あったらそうなると思うのですよね、どんなことしてでも、と。

法木(読響): 時代が違うのかなあ。僕自身はアマチュア学生で、そのあとアマオケもちょっとやったりしていたのですが、いわゆる大学オケ、ブラスバンドもそうなんですが、それはそれは凄まじい人数がいるんですよ。ただ、いつも思うのは、集まって楽器やるのが好きな人間はいても、音楽が好きというのは、実は意外と少ないのかなと。音大の方は音楽好きも嫌いもない、それを選んだから勉強に来てほしいですけど。
 大学オケの人たちはそういった点で全然動かないんですよね。同じ曲やるとかってなると、大挙してくることはありますけど。それぐらいなんですよね。一回で終わってしまうという感じで。
 大学時代、N響でアルバイトしていて、いつもゲネプロ(最終総稽古)聴かせてもらってましたけど、生であの会場であの響きに包まれて、というのは他では得られないものがある。それで、音楽の好き嫌いと言うよりも、オーケストラそのものが好きになっていったのですが、そういうのを何とか広めていくのはどうしたらいいか。

▲上に戻る

NHK交響楽団(N響)のチケット情報
新日本フィルハーモニー交響楽団のチケット情報
東京都交響楽団(都響)のチケット情報
読売日本交響楽団(読響)のチケット情報


>>ライフスタイルにあわせた開演時間の工夫は?
>>ゲネプロ・リハーサル公開
>>座談会その2 TOP

2010-12-21 18:33 この記事だけ表示

ゲネプロ・リハーサル公開

司会(唯野): ゲネプロ、リハーサルもいくつかの楽団さんで公開されていますが、限定された、わりと少ない人数を対象にされているところがほとんどです。新日本フィルさんのブリュッヘン「ベートーヴェン・プロジェクト」は購入者全員聴けますが、そこまで踏み切った公開を日常的にやるのは正直なところ難しいですか?チケットの販売につなげる意味では、あまり直前では効果がないのかもしれませんが、これから先々につなげていくという意味でも、こうした積み重ねが大事だと思うのですが。

益満(日本フィル): 杉並公会堂での定期演奏会リハーサル3日目の最後の練習の時、年に4、5回くらい無料でどなたでも聴けるというのをやっています。杉並区が新聞に広告を出すので、そうするとタダで聴ければいってみようと600人くらいお客様がいらっしゃる。でも、無料だからと聴いていく方はそれ以上にお金を出してくれない、すぐに50枚、100枚売れるということにはならない、という現実はありますね。
 一部、お客様からは「マイクをつけてくれないか、指揮者が何言っているかきこえない、なんで曲の途中で止めるんだ」と、そう言われるとお手上げなんですけど(笑)。なので、あんまりサービスしすぎても本体の方に傷がついてしまいますので難しい面もあります。

安江(新日本フィル): 私たちはパトロネージュとしてサポートしていただいている方々へのサービスとして、月に1回くらい、リハーサルの2日目にやるようにしています。音楽監督自身もなるべくリハーサルは公開したいという考えですので。
 ブリュッヘンの場合、多少チケットセールスのことも念頭にあるんですが、一方でそうした身内のように親しくしている指揮者の場合は非常にやりやすく、こちらも無理がきくというのもあります。
 個人的には、今後絶対にやろうと思っていますけど、区民の方になるべく見てもらえるように公開したい。墨田区にフランチャイズしているオケですから、区の「住人のひとり」として新日本フィルという「人」が普段何をやっているのかというのを見てもらいたい。

▲上に戻る


◆オーケストラは社会的財産

福地(都響): そういうのは重要だと思うのです。オーケストラって社会的な財産ですよね。そう考えると、普段来られない方にも知って頂くチャンスという意味で、「開かれる」という活動は大事にされるべきじゃないかと思います。
 都響では、定期会員を対象とした年2回の公開ゲネプロのほか、一般の都民の方のための公開リハーサルも東京文化会館との共催で年2回行っています。
 また制度としてはやっていませんが、特別なリクエスト、たとえば、たまたま修学旅行でこちらに来ていて、吹奏楽の子供達がリハーサル聴かせて下さい、みたいなのは対応させていただいています。

安江(新日本): 墨田区のアウトリーチで小学校の授業にお邪魔しているのですが、墨田区に住んでいる小学生は、新日フィルを何らかの形で聴いている。聴いていない子は一人もいないはずなんです。
 その子たちが20歳になって成人式に集まる。成人式では新日本フィルのアンサンブルが弦楽器だけで20分くらい演奏するんですね。すると、それまで騒がしかったのが、演奏が始まるとものすごく集中して聴いてくれる。演奏した楽員たちも今年印象深かった演奏会として、たった15人で演奏した成人式を挙げるくらい、ショックというか嬉しかった。
 先生方曰く、子供の頃に皆、近い距離で新日本フィル、オーケストラに接しているので、オーケストラに対する距離や感覚がかなり近いんじゃないか。
 だから、早い時期にオーケストラの音、生のクラシック音楽に接する機会を作ることが、ひょっとしたら一番有効なのかなと思います。

渡辺(N響): 最近、N響も金管五重奏や弦楽四重奏で小学校に行くようになりました。子どもと一緒に給食も食べて(笑)。

安江(新日本): 一回はコンサートホールで聴いたことがあるとか、生で聴いたことがあると、その時は“点”だったかもしれないけど、二回目が、もしかしたら30年、40年、50年後かわかりませんが、それが“線”になれば、それでも結果としてはいいんじゃないかと思うんです。

法木(読響): いつか大人になって自分で稼げるようになって、チケット買って来てくれるかな、という期待はありますよね。それが一回券だけじゃなく、会員になってくれれば、よりいいなと思います。
 最初に小学校で聴いただけという人が一回券を買い、さらに、会員になってくれる・・・という図式が当然あるでしょうから、種は広く蒔かないといけないなと思います。

福地(都響): 時間が経ち、大人になって何かきっかけがあってファンになられることもありますよね。だから、割引きは十分あるし、青少年招待の機会だってあるけれども、それでも聴きに来ないというのは、いまの若い方々の時間の使い方とあわないのかもしれないし、親がせかせかさせているのかもしれない。あるいは音楽は好きでも、ネットやCDを聴いて満足してしまっているのかもしれない。だけど、あらためて大人になってからきっかけがあれば、生の音に病みつきになって、戻っていらっしゃるんじゃないかな。

司会(唯野): クラシック音楽は、絵画などと違い、雑誌やチラシで情報を見ても、直感的にすぐにその良さがわかるものではありません。また、一度聴いただけでは良さがわからなかったり、以前何気なく耳にした音楽が、ふとしたきっかけで、こんなにすばらしいものだったのかと気づかされることもあります。
 クラシック音楽の歓びに浸るには、ともかく何度もコンサートに足を運ぶしかないと思うんです。そして、何度か聴いているうちに、クラシック音楽のよさ、楽しさ、美しさ、などなど、わかってくる。
 ぜひ、多くの方に在京オケの演奏会に足を運んでいただき、クラシック音楽のすばらしさを体感していただけたらと思います。

▲上に戻る

NHK交響楽団(N響)のチケット情報
新日本フィルハーモニー交響楽団のチケット情報
東京都交響楽団(都響)のチケット情報
日本フィルハーモニー交響楽団(日本フィル)のチケット情報
読売日本交響楽団(読響)のチケット情報


>>ライフスタイルにあわせた開演時間の工夫は?
>>若い聴衆へどうアピールするか
>>座談会その2 TOP

2010-12-21 18:30 この記事だけ表示

韓国の超大型新人ヴァイオリニスト、パク・ヘユン 初リサイタル

 世界の名だたるコンクール優勝者をはじめ、これから確実に世界に羽ばたくであろう才能豊かな若い演奏家を継続的に紹介するという、画期的なプロジェクトが始まる。それが「プロジェクト 3×3」。その第一弾は、2009年、若干17才にしてミュンヘン国際コンクールで史上最年少優勝のヴァイオリニスト、パク・ヘユンだ。


 「プロジェクト 3×3」は、毎年のように世に送り出されてくるクラシック音楽界の若手演奏家のなかから、将来有望な新進気鋭の期待の演奏家を選び出し、2011年からの3年間に渡り、東京、大阪、名古屋の3都市で紹介するというプロジェクトだ。

このプロジェクトの特筆すべき注目点は、選ばれた一人の演奏家が、3年連続してリサイタルを行うということ。つまり、これから将来を嘱望される期待の若手が毎年変貌を遂げていく様を追うことができる、ということだ。しかも、驚くべき低料金が設定されているのは、なんとも嬉しい限り。
 お気に入りのアーティストをみつけて、毎年その成長を楽しみに聴きに行く、というのもクラシック音楽の楽しみ方、そして、演奏家を応援するパトロネージュの精神にも通じることだろう。

 プロジェクトに参加する演奏家には、現在までのところパク・ヘユンとともに、ヴァイオリニストの三浦文彰、そして、ピアニストのリーズ・ドゥ・ラ・サール、ヤン・リシエツキらの名前があがっている。なかでも第一弾となるパク・ヘユンは、期待の超大型新人だ。


 1992年1月生まれ、今年18才になる韓国出身のヴァイオリニストパク・ヘユンは、2009年、若干17才にしてミュンヘン国際コンクールで史上最年少優勝を果たし、世界中の注目を集めることとなった。すでに、バイエルン放送交響楽団、マリインスキー歌劇場管弦楽団など、多くの著名オーケストラとも競演、特に指揮者のサー・ロジャー・ノリントンからの評価は高く、今年5月のシュトゥットガルト放送交響楽団との来日公演でもソリストに指名したほどだ。
 韓国のヴァイオリニストとしては世界的指揮者のチョン・ミュンフンの姉チョン・キョンファに比肩する世界的な活躍が期待されているが、世界を驚愕させたチョン・キョンファ同様、その才能は天賦のものと言っていいだろう。確かな技術に裏打ちされた、情感あふれる表現は、およそ18才のそれとは思えないほど磨き抜かれ、その響きはどこまでも美しく、透明で、艶やかだ。
 演奏する曲目は、どれも彼女の魅力をアピールするにふさわしい曲ばかり。ラヴェル《ツィガーヌ》、ワックスマン《カルメン幻想曲》では華麗な超絶技巧をこれでもかと披露し、R.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタでは、その美しい詩情溢れる音楽を、情感たっぷりに聴かせることだろう。
(文:唯野正彦)


2010-12-13 14:09 この記事だけ表示




 世界中の名門オーケストラが続々と来日し、毎日いくつものホールで熱演が繰り広げられている東京のクラシック音楽シーンは、世界的にみても稀な、恵まれた音楽環境と言えるでしょう。しかし、多くの選択肢がある一方で、高額のチケット代ゆえ、そのすべてを聴くことが難しいのも事実です。そうしたなか、在京オーケストラに注目が集まってきています。それぞれに独特のカラーをもち、多種多様な作品を個性豊かな指揮者やソリストの演奏で楽しめ、そして何よりも、低価格の入場料で聴けるのが最大の魅力の在京オケ。

 イープラスでは、私たちの身近にある優れたオーケストラを聴くことで、外来オケにはない新たな魅力を感じてほしいとの思いから、在京オケの情報を特集するサイト『オケプラス』を開設しました。

 聴きたいときに、気楽にいけるように、調べたいときに簡単に調べられるように。
在京オケの情報を『オケプラス』に。

 この思いを胸に、実際の音作りの現場に携わる在京オケの方々にお集まりいただき、それぞれのオケの魅力、コンサートの聴きどころ、そして、これからの展望など幅広いテーマについて語っていただきました。(11/1 イープラスにて)

 これから数回にわけてご紹介していきますが、第一弾は、各オーケストラの特徴とコンサートの聴きどころです。

楽団のカラー、特徴
・世界唯一の新聞社が母体のオーケストラ〜読響
・正統的ドイツ音楽を背景に〜N響
・熱血スダーンの熱い演奏〜東響
・オペラ演奏に定評。創立100周年の節目を迎える〜東京フィル
・巨星インバルの下、さらに磨きがかかった演奏に注目〜都響
・熱い心とエネルギーをもったオーケストラ〜日本フィル
・はっきり顔がみえるオーケストラを目指す〜新日本フィル

>>詳細

これからの演奏会のおすすめ、聴きどころ
・リスト《ファウスト交響曲》と池辺晋一郎の新作〜読響
・ショパン・コンクール優勝のユリアンナ・アヴデーエワ〜N響
・スダーン指揮 ブルックナー第8番をセッション録音で再録音〜東響
・100周年記念は大野和士が考え抜いたプログラム〜東京フィル
・欧州名門へデビュー重ねる29歳ヤクブ・フルシャが披露演奏会〜都響
・世界が注目する俊英インキネンの《マーラー撰集》〜日本フィル
・ブリュッヘンとのベートーヴェン・プロジェクト〜新日本フィル
・現代作品の紹介には、確かな吟味と積み重ねの努力が必要
・聴き手がいろいろなチョイスが可能

>>詳細


出席者

●大久保広晴(読売日本交響楽団 制作課 広報・宣伝)
●高瀬緑(東京交響楽団 企画制作・広報本部 広報担当 フランチャイズ事業部 係長)
●福地耕治(東京都交響楽団 パブリック・コミュニケーションズ・オフィス ゼネラル・マネージャー)
●法木宏和(読売日本交響楽団 事業課)
●益満行裕(日本フィルハーモニー交響楽団 企画・制作部・副部長)
●三田村宗剛(東京フィルハーモニー交響楽団 広報)
●安江正也(新日本フィルハーモニー交響楽団 事務局次長 事業部長 事業担当)
●渡辺克(NHK交響楽団 事業広報部 担当部長)
(敬称略・五十音順)

{司会・進行・構成}
●唯野正彦(クラシック音楽ライター)

2010-11-22 19:35 この記事だけ表示

楽団のカラー、特徴

世界唯一の新聞社が母体のオーケストラ〜読響
正統的ドイツ音楽を背景に〜N響
熱血スダーンの熱い演奏〜東響
オペラ演奏に定評。創立100周年の節目を迎える〜東京フィル
巨星インバルの下、さらに磨きがかかった演奏に注目〜都響
熱い心とエネルギーをもったオーケストラ〜日本フィル
はっきり顔がみえるオーケストラを目指す〜新日本フィル


◆世界唯一の新聞社が母体のオーケストラ〜読響

法木(読響): 読売日本交響楽団(読響)は、まもなく創立50周年を迎えます。新聞社が母体となっている世界唯一のオーケストラというのが独特の個性です。

 最近はオペラにも多少出させていただく機会がありますが、活動の中心は主催のコンサート活動で、指揮者に内外の名指揮者を招いて、その独自性を打ち出した充実したプログラミングを組み立てるという大方針でやっています。

 2010年4月からヨーロッパの大指揮者シルヴァン・カンブルランを常任指揮者に迎え、日本の若手のホープ、下野竜也が正指揮者にとして脇を固める、その二人が軸の両輪となって活動しています。

読売日本交響楽団(読響)のチケット情報

▲上に戻る


◆正統的ドイツ音楽を背景に〜N響

渡辺(N響): NHK交響楽団(N響)は、来年85周年を迎えます。長年、音楽監督を置かず、ドイツの正統的な指揮者と組んでやってきましたが、1998年にシャルル・デュトワが音楽監督に就任して以来、それまでドイツ音楽主体だったところに、フランス・ロシアものなどを演奏する機会が増え、かなりレパートリーが広がりました。それによりオーケストラ全体に、色彩感や繊細さが加味されたと思います。

 一方で、名誉指揮者のホルスト・シュタイン、オットマール・スウィトナーといったドイツの指揮者が相次いで亡くなられ、ウォルフガング・サヴァリッシュは指揮活動を数年前に引退し、正統的ドイツ音楽を継承している指揮者は現在ヘルベルト・ブロムシュテットただ一人というのが現状です。

 N響は公演が9月から翌年6月までA、B、Cのプログラムで各2日ずつあり、合計54回やらせていただいています。

 名誉指揮者として80歳を超えても元気満々なヘルベルト・ブロムシュテットが指揮をすると名演が期待され、お客様もそれを十分に分かっています。お陰さまで3000人以上入るNHKホールが完売もありうるという、恐ろしいほどの人気を獲得しています。

 また、アンドレ・プレヴィンが昨年から首席客演指揮者に就任しており、2011年3月には、彼と北米公演を行うことが決まっています。

NHK交響楽団(N響)のチケット情報

▲上に戻る


◆熱血スダーンの熱い演奏〜東響

高瀬(東響): 東京交響楽団(東響)は、来年創立65周年を迎えます。特徴は、お客様はもとより身内をも引き込む熱い演奏です。

 40年間音楽監督を務めた秋山和慶に続いて、2004年に音楽監督に就任したユベール・スダーンの下、川崎市フランチャイズオーケストラとして、ミューザ川崎シンフォニーホールにてリハーサルを行い、個性ある響きをつくっています。また、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、そしていまアフター・シューマンというように定期演奏会では、毎年シーズンテーマを据え、活動していることがあげられます。

 会員の方々にも、スダーンのコンセプトをすごく喜んでいただけているようで、当初シューベルト、シューマン・チクルスのチケット販売は難しいのではないかと言われていたのですが、回を追うごとにお客様も増えていきました。いまではスダーンの演奏会は毎回ほぼ満員でして、次のシーズンも引き続き頑張っていきたいと思います。2011年度のシーズンテーマは「シェーンベルク」と、なかなかチャレンジングな作曲家をテーマにしますが、かなり面白い内容になると思っています。注目してください。

東京交響楽団(東響)のチケット情報

▲上に戻る


◆オペラ演奏に定評。創立100周年の節目を迎える
〜東京フィル


三田村(東京フィル):東京フィルハーモニー交響楽団(東京フィル)は、1911年に設立された名古屋のいとう呉服店(現・松坂屋)少年音楽隊がルーツで、来年で100周年を迎えます。ひとえに100年といっても、特定の自治体や企業がついていた時期は松坂屋少年音楽隊のときのみで、戦前から自主運営オーケストラとして常に厳しい運営を続けてきましたが、皆様のおかげでようやく100年を迎えられることができます。

 もともとオペラの日本初演を多く手がけるなど、オペラ演奏には定評がありますが、そうしたところからも、“歌心”を強く持ち合わせた楽団といえます。

 初代常任指揮者のマンフレート・グルリットから、近年では尾高忠明、大野和士、チョン・ミョンフンといった指揮者陣を構えてきましたが、現在では世界の歌劇場で活躍するダン・エッティンガーが常任指揮者を務めています。

 2001年の新星日本交響楽団との合併で160名を超す楽団員数になり、シンフォニーとオペラ演奏の両輪で活動することができる柔軟性も持ち合わせたオーケストラとなっています。

 新国立劇場の年間2/3の公演でピットを務めるほか、年間大小300以上の公演、そしてNHK他の放送演奏など、幅広く皆様にお聴きいただける機会が多いオーケストラです。

東京フィルハーモニー交響楽団(東京フィル)のチケット情報

▲上に戻る


◆巨星インバルの下、さらに磨きがかかった演奏に注目〜都響

福地(都響): 東京都交響楽団(都響)は、東京オリンピックの記念文化事業として、東京都がその翌年1965年に設立したオーケストラで、今年で45周年を迎えました。

 森正、渡邉暁雄、若杉弘、ガリー・ベルティーニという歴代音楽監督の下で第1級のオーケストラへと成長を遂げ、特にマーラーやフランス音楽など近現代の壮麗な管弦楽作品の演奏には定評があります。

 2008年からはエリアフ・インバルがプリンシパル・コンダクターに就任し、お得意のマーラー、ブルックナーを中心に幅広いレパートリーを取り上げていますが、登壇の度に非常に密度の高い演奏が話題となっています。マーラーでは就任披露公演での「千人の交響曲」や4番、3番、ブルックナーの5番、8番、ベートーヴェンなど、ライブCDが次々とリリースされて、お蔭様でどれも大変好評いただいております。

 インバルは95年から5年間特別客演指揮者を務めた時期がありますが、その時の非常に緻密で神経が張り詰めた印象から比べ、音楽がさらに大きなスケールとなり、躍動感も加わったとご評価いただいています。

 インバルに加えて、われわれの楽団と長く厚い信頼関係で結ばれているレジデント・コンダクターの小泉和裕、そして今期からは世界的に活躍著しいチェコ生まれの29歳の指揮者ヤクブ・フルシャをプリンシパル・ゲストコンダクターに迎えました。

東京都交響楽団(都響)のチケット情報

▲上に戻る


◆熱い心とエネルギーをもったオーケストラ〜日本フィル

益満(日本フィル): 日本フィルハーモニー交響楽団(日本フィル)は、杉並区の杉並公会堂を拠点にしたオーケストラで、来年55周年を迎えます。

 主な活動は、オーケストラ・コンサート、エデュケーション・プログラム、リージョナル・アクティビティ(地域振興)とよぶ3本柱です。

 指揮者陣については、2008年からロシアの名指揮者アレクサンドル・ラザレフを首席指揮者に、2009年9月からフィンランドの俊英ピエタリ・インキネンを首席客演指揮者に迎えました。活動の中心となるオーケストラ・コンサートでは、東京、横浜、さいたま3都市での定期演奏会を開催しています。サントリーホールでの東京定期演奏会では、年間の半分の定期をラザレフとインキネンが担当し、そのほか、桂冠指揮者の小林研一郎、レギュラーに登場をお願いしている広上淳一が中心となります。

 オーケストラの特徴として、これはインキネンが言っていた言葉ですが、「野性的ともいえる強靭なエネルギーがある。」と。一度火がつくと止まらないという感じでしょうか(笑)。芸術的な大胆さとお客様との近い距離感を大切に、熱い心をもっているというウリは今後も無くさないようにしたいと思っています。

 このほか、横浜定期演奏会では、《輝け! アジアの星》と題し、積極的にアジアの若手指揮者やソリストを招こうと考えています。11月には山田和樹さんが、2011年5月にはペリー・ソーさんという香港フィルのアソシエイト・コンダクターが登場します。

 エデュケーション・プログラムは、長年にわたり意欲的に取り組む、日本フィルの強みの一つ。36周年を迎えた夏休みコンサートや元ロンドン交響楽団エデュケーション担当マイク・スペンサー氏との提携による《音楽創造ワークショップによる授業づくり》プロジェクトをスタートさせるなど充実していますよ。

 リージョナル・アクティビティでは、本拠地である東京・杉並区のみならず、多くの地域でますますその輪を広げています。市民とともにつくる九州公演は2010年2月に35周年を記念するツアーをラザレフのもと行い、山口県宇部市では、企業・行政・日本フィルの3者共同による「音楽を通した地域還元事業」が2年目を迎えました。九州公演は来年で36年目、36年間ずっと地元の実行委員の方々がコンサートを作ってくださっています。

 そうそう、来年3月には、55周年事業の幕開けとして、ラザレフと第39回香港芸術祭に参加してきます。アジアに向けて、文化の発信を目指します。

日本フィルハーモニー交響楽団(日本フィル)

▲上に戻る


◆はっきり顔がみえるオーケストラを目指す〜新日本フィル

安江(新日本フィル): 新日本フィルハーモニー交響楽団は、1972年に小澤征爾のもと設立したオーケストラで、まもなく40周年を迎えます。

 私たちのプロフィールには一番最初に、「一緒に音楽をやろう!」という小澤さんの言葉を掲げていますが、その伝統を堅く守る楽員主体の自主運営のオーケストラです。

 いまは、オーケストラのキャラクター作り、「はっきり顔がみえるオーケストラ」というのを目指しています。墨田区(すみだトリフォニー)に拠点を置いて、利点を生かした音作りができていると思います。拠点を置くことで、そのスキルを日本中の地域のための演奏会活動にも結びつけることができる。

 音楽監督のクリスティアン・アルミンクが年間の定期公演の半分を指揮していますが、そこまで音楽監督に任せているオーケストラはおそらく、日本で唯一ではないかと思いますが、これは海外でも珍しい。それぐらい腰を据えて音楽作りをしたいと考えています。

 アルミンクを軸に今年からはダニエル・ハーディングをMusic Partner of NJPとして迎えます。このタイトルは、ダニエルと話をして、首席客演指揮者といったありふれた名前は新日本フィルらしくない、それに、ありきたりなのは自分としても嫌だということで決めたものです。彼も最低でも4プログラム6公演指揮しますが、この二人を中心に音楽作りしていくのが今の方向性です。そこに、フランス・ブリュッヘンが一年おきに日本に来ますので、準レギュラーのような感じで、こうしたはっきりした個性を持った指揮者が、しっかりと同じ時間を過ごして音楽を作っていく、それがオーケストラの顔作りになる、というポリシーで活動しています。

 いまインゴ・メッツマッハーが来ていますが、彼もオーケストラの素地・方向性がはっきりしいることをすぐに分かってくれて、すぐに来年の客演も決まりましたが、そういった形で、単なる客演じゃなく、音楽をやろうと賛同してくれる、音楽作りに共感を持ってくれる指揮者と今後もやっていきたいと思っています。

新日本フィルハーモニー交響楽団のチケット情報

▲上に戻る


>>これからの演奏会のおすすめ、聴きどころ
>>座談会TOP

2010-11-22 19:31 この記事だけ表示