これからの演奏会のおすすめ、聴きどころ

司会(唯野): それぞれのオーケストラの成り立ち、特徴などをご紹介いただき、あらためて個性あふれるオーケストラの魅力を再確認したところです。さて、ここからは、今後の定期演奏会などから、おすすめの公演、聴きどころをご紹介ください。


リスト《ファウスト交響曲》と池辺晋一郎の新作〜読響
ショパン・コンクール優勝のユリアンナ・アヴデーエワ〜N響
スダーン指揮 ブルックナー第8番をセッション録音で再録音〜東響
100周年記念は大野和士が考え抜いたプログラム〜東京フィル
欧州名門へデビュー重ねる29歳ヤクブ・フルシャが披露演奏会〜都響
世界が注目する俊英インキネンの《マーラー撰集》〜日本フィル
ブリュッヘンとのベートーヴェン・プロジェクト〜新日本フィル
現代作品の紹介には、確かな吟味と積み重ねの努力が必要
聴き手がいろいろなチョイスが可能


◆リスト《ファウスト交響曲》と池辺晋一郎の新作〜読響

大久保(読響): まず11月には、常任指揮者のシルヴァン・カンブルランが、創意工夫に溢れた2つのプログラムを振ります。ハイドンとストラヴィンスキーの《火の鳥》を組み合わせたプログラム(第127回芸劇マチネー 11/20東京芸術劇場、第532回名曲 11/21サントリーホール、みなとみらいホリデー名曲 11/23みなとみらいホール)と、ヴィヴィアン・ハーグナーをソリストに迎えてのコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲やシューマンの交響曲第4番のプログラム(第177回芸劇名曲 11/27東京芸術劇場、第498回定期 11/29サントリーホール)です。

 2011年1月は、リスト生誕200年のリスト・イヤーですので、《ファウスト交響曲》をとりあげます(第500回定期演奏会 1/22サントリーホール)。おそらく滅多に生では演奏されない曲だと思います。貴重な機会ですので、ぜひ聴いていただき、みなさんと500回を祝いたい、そんなコンサートです。

 名曲シリーズでは、よく知られた曲目を最高の品質でお届けするのはもちろん、各指揮者の持ち味を出し、世界中から指揮者を呼んでいるので、日本ではあまり聞かれていないけれども、その指揮者の国や地域といったものを反映した、個性のある曲目も入れています。

読売日本交響楽団(読響)のチケット情報

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◆ショパン・コンクール優勝のユリアンナ・アヴデーエワ〜N響

渡辺(N響): 今年ショパン国際ピアノコンクールで優勝したロシアの女流ピアニストのユリアンナ・アヴデーエワを迎えてのA定期(第1688回定期 12/4,5 NHKホール、指揮:シャルル・デュトワ)は、今年の定期公演最後のハイライトになるのではないかと思っています。1965年、第7回優勝者マルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりの女性の受賞者ということで注目されていますが、先日、12月から2月までの3ヶ月分のチケットを売り出したところ、ほとんどがこの公演のチケットを買い求めるお客様で、まさか私もここまで話題になるとは思っていませんでした。

法木(読響): それは非常に興味ありますね。

司会(唯野): シリーズの速報に「ソリスト:ショパン国際ピアノコンクール優勝者」とあって、非常におもしろい試みだと思っていたのですが、一方では賭ですよね。

渡辺(N響): 私もちょっと驚くと同時に、1位なしの2位だったらどうするの?と(笑)。いま私はチケット売っている部署にいるもので、お客様になんと説明したらよいのか、お客様の反応が如実にひしひしと伝わってくるものですから、ひとまず、なんとかなってほっとしています。

 1月A定期ではロシア人若手指揮者のワシーリ・ペトレンコがN響初登場です。ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者として、イギリスで高く評価されています。今回演奏するチャイコフスキーの交響曲《マンフレッド》で2009年「グラモフォン賞」を受賞しています。

 また、前半に演奏するベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番では、日本の若手女流ピアニストの小菅優が登場します。(第1691回定期 1/8,9 NHKホール)

 2月にはチョン・ミョンフンを迎え、《幻想交響曲》(第1694回定期 2/5,6 NHKホール)と久しぶりにマーラーの交響曲第3番(第1695回定期 2/11,12 NHKホール)を演奏いたします。お陰さまでたいへんな人気でチケットがどんどん売れています。

NHK交響楽団(N響)のチケット情報

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◆スダーン指揮 ブルックナー第8番をセッション録音で再録音〜東響

高瀬(東響): 11月は音楽監督のユベール・スダーンで、ピアノのダン・タイ・ソンを迎えて、ショパン・イヤーを記念した公演を行います(第583回 定期 11/27 サントリーホール、川崎定期第28回 11/28 ミューザ川崎)。曲はショパンのピアノ協奏曲第2番とブルックナーの交響曲第8番ですが、ブルックナーはセッション録音して、来年CDで発売することになっています。昨年ブルックナーの交響曲第7番をセッション録音してリリースしたところ、第22回ミュージック・ペンクラブ音楽賞クラシック部門録音・録画作品賞(日本人アーティスト)の2部門頂けましたので、8番も頑張りたいと思います。2005年にリリースした同曲と比べるのもおもしろいですね。

12月は常任指揮者の大友直人で、ベリオの《シンフォニア》とR.シュトラウスの交響詩〈英雄の生涯〉(第584回定期 12/5 サントリーホール)、2月にクラウス・ペーター・フロールを迎えて、ハイドンの交響曲第101番〈時計〉、ブルックナーの交響曲第5番というところが、注目していただきたいところです(第586回 定期 2/19 サントリーホール)。

 シーズンのフィナーレとしては、再びスダーンで、リストの交響詩〈オルフェウス〉、フランクの《交響変奏曲》をアレクサンダー・ガヴリリュクのピアノで、ベルリオーズの《テ・デウム》ということで、アフター・シューマンをしめます(第587回 定期 3/26 サントリーホール)。

 常任指揮者の大友直人が20年近く続けている東京芸術劇場シリーズでは先日、エルガーのオラトリオ《生命の光》を日本初演したのですが、来年の2月でシリーズを終了します。ラヴェルのピアノ協奏曲を上原彩子で、そして、パヌフニクの交響曲3番〈祭典交響曲(シンフォニア・サクラ)〉、スタンフォードの交響曲第3番〈アイリッシュ〉という、超知られざる、でもいい作品をご紹介しようという、このシリーズのコンセプトに添ったフィナーレを迎えます(東京芸術劇場シリーズ 第107回 2/25 東京芸術劇場)。

東京交響楽団(東響)のチケット情報

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◆100周年記念は大野和士が考え抜いたプログラム〜東京フィル

三田村(東京フィル): 来年1月の定期演奏会は東京フィル100周年最初の定期になるのですが、桂冠指揮者の大野和士が登場します。「祝祭」をテーマに、大野さん自らこの演奏会をプログラムしていただきました。

 1曲目は東京フィルハーモニー交響楽団100周年記念委嘱作品として、人気現代作曲家の望月京さんの作品が披露されます。もちろん世界初演です。メインはプロコフィエフの交響曲第5番、作品100です。「新しい生命の芽生え」というメッセージが、東京フィルの次の100年への期待として込められています。バーンスタインのセレナードを独奏するのは、ニューヨーク・フィルやボストン響、ロンドン響など世界のトップクラス・オーケストラのソリストとして共演するなど、世界で活躍する実力派の竹澤恭子さんです(第59回東京オペラシティ定期 1/13 東京オペラシティコンサートホール第796回サントリー定期 1/14 サントリーホール第797回オーチャード定期 1/16 Bunkamura オーチャードホール)。

東京フィルハーモニー交響楽団(東京フィル)のチケット情報

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◆欧州名門へデビュー重ねる29歳ヤクブ・フルシャが披露演奏会〜都響

福地(都響): 11月はインバルのブルックナー交響曲第6番が注目です。ブルックナーは5番、8番に続いて、今月末に6番、来春3月には9番、その後2番と続きます。マーラー指揮者、ブルックナー指揮者という言い方で言えば、インバルはマーラー指揮者というイメージが強いかもしれませんが、ブルックナーでも多くの名演をつくってきました。8番では、インバルのこだわりで第1稿(初稿)を使用しましたが、非常に新鮮でスケールの大きな演奏でした。インバルの指揮も精彩で緻密な部分とともに、オーケストラから雄大な流れを引き出す力が素晴らしく、これが「ブルックナーの田園」とも呼ばれる第6番でも聴きどころではないかと思います。ソロ・コンサートマスターの四方恭子が奏でるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番との組み合わせで、艶やかな音楽をご堪能いただけます(第706回定期演奏会 11/29 東京文化会館第707回定期演奏会 11/30 サントリーホール)。

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◆世界が注目する俊英インキネンの《マーラー撰集》〜日本フィル

益満(日本フィル): 12月は首席客演指揮者のピエタリ・インキネンがシベリウスの知られざる名曲、組曲《クリスティアン2世》と、マーラー・イヤーということもあり、マーラー撰集第一弾として交響曲第1番を指揮します(第626回定期 12/10,11 サントリーホール)。

 以前、インキネンが来たときに、ダニエル・バレンボイムが杉並公会堂まで練習を見に来たというくらい世界的に注目されている指揮者です。先日、EMIからワーグナー作品集のCDを出したように、非常に明晰な耳をもって大規模なオーケストラを捌いていますので、彼が日本から始めるという初のマーラー演奏が、今後どう展開していくのか非常に楽しみです。本人からはワーグナーをやりたいという声もあったり、もちろんフィンランド人なのでシベリウスも今後なにか集中的にできればいいかなぁと思っています。

 1月は、なるべく若い聴衆層を呼びたいという考えもあり、スティーヴ・ライヒの曲をやることになりました。《管楽器、弦楽器とキーボードのためのヴァリエーション》という20分くらいの曲です(第627回定期 1/28,29 サントリーホール)。指揮のシズオ・Z・クワハラは純粋に日本人なのですが国籍はアメリカという指揮者です。アメリカンプログラムでやろうとなったとき、ガーシュイン、コープランド、バースタイン以外で何かできないかと言うことであがってきたのが、ウィリアム・シューマンとスティーヴ・ライヒでした。後半はアメリカではないのですが、バレエ音楽の《春の祭典》をもってきて、若い指揮者ならではのバリエーション豊かなプログラミングができたと思っています。

 3月には、首席指揮者のアレクサンドル・ラザレフと55周年事業の幕開けとなる香港ツアーに行く関係もあり、そこにもっていく曲として、芥川也寸志《交響管絃楽のための音楽》、矢野玲子のヴァイオリンでストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲、そして、これまで継続的に取り組んでいるプロコフィエフから、ひとまずシンフォニーをお休みして、《ロメオとジュリエット》の抜粋というプログラムです(第628回定期 3/11,12 サントリーホール)。ラザレフとは、この3年間プロコフィエフのチクルスをやっていますが、ロシア音楽のまっとうなところを攻めていこうと思っています。

日本フィルハーモニー交響楽団(日本フィル)

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◆ブリュッヘンとのベートーヴェン・プロジェクト〜新日本フィル

安江(新日本フィル): 定期演奏会のプログラミングの特徴としては、音楽監督のクリスティアン・アルミンクが就任当初から「愛」「人生」など年間テーマを決めて、全プログラムそのテーマで指揮する。そして、客演の指揮者にも趣旨を説明して、そのテーマで組んでもらうということを続けてきました。これはかなりインパクトがあったと思いますが、ヨーロッパでもちょっと評価してもらっています。

 独自性がはっきりするプログラミングだと思いますし、また、現代音楽だけでなくて忘れ去られようとしている音楽まで手を伸ばして、日本の聴衆に紹介したいという取り組みを一貫してやっています。

 1月は音楽監督で、フランクの交響曲とラヴェルの《高雅で感傷的なワルツ》、そして、以前にも競演しているエンダー姉妹というウイーン出身のピアノ・デュオとのプーランクの《2台のピアノと管弦楽のための協奏曲》です(第471回定期 1/26 サントリーホール)。

 2月はフランス・ブリュッヘンとのベートーヴェン・プロジェクト(2/8〜19,21 すみだトリフォニーホール)。一昨年、ハイドン・プロジェクトで、「ロンドン・セット」全曲をやりましたが、今年はベートーヴェン全曲をやりたいと。1月末くらいから日本に滞在するのですが、リハーサルが彼流のかなり特徴的なやり方で、詳しくはWEBを見ていただきたいのですが、いままで何年もつきあってきて、一緒に音楽を作ってきたブリュッヘンと、また一つの音楽的な結実がみられる演奏会になると思います。定期の方はバッハのロ短調ミサも演奏いたします(第473回定期 2/26,27 すみだトリフォニーホール)。

 3月にはダニエル・ハーディングがMusic Partner of NJPというタイトルをもってからは初めての出演になります。《春の祭典》(第475回定期 サントリーホール)とマーラーの交響曲第5番(第474回定期 3/11,12 サントリーホール)という2プログラムになります。

 「新クラシックへの扉」というタイトルがついています名曲シリーズ。これは今年から1プログラムを金曜・土曜日マチネの2公演やることにしたのですが、12月は音楽監督のクリスティアン・アルミンクがバレエ音楽《くるみ割り人形》組曲と、シベリウスのヴァイオリン協奏曲を指揮します(12/3,4 すみだトリフォニーホール)。

 自主公演以外では、新日本フィルとも親しくしているピアニスト、マルタ・アルゲリッチとアルミンクが共演します(11/28,12/1 すみだトリフォニーホール)。

 このほか、4月にはアルミンクの指揮で新国立劇場のオペラ《ばらの騎士》のピットに入ります。これまで年1回セミステージ形式のオペラをやっていますが、2年前にやった《ばらの騎士》は音楽監督のお国物ということもあり、音楽的にもとてもうまくいき印象深かったのですが、その演奏を関係者が聴いていてくださって、それが新国立劇場につながったということです(4/7〜22 新国立劇場)。

新日本フィルハーモニー交響楽団のチケット情報

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◆現代作品の紹介には、確かな吟味と積み重ねの努力が必要

司会(唯野): 都響さんの現代の作曲家シリーズは長く続いているものですが、それ以外でも、新作が取り上げられる機会が最近多いように感じます。東京フィルさんが1月に望月さんの新曲を披露しますが、新日本フィルさんも9月に望月さんをとり上げて、読響さんは1月に池辺さん。現代音楽に対しての聴衆の反応ですとか、実際現場にいらっしゃって、そのあたりはどうお感じですか?

福地(都響): 《日本管弦楽の名曲とその源流》 シリーズの以前から、都響は毎年1月の定期で現代日本の管弦楽作品を取り上げてきた実績があり、他にもサントリー芸術財団の「作曲家の個展」やCD録音などで現代作曲家の作品を数多く演奏してまいりました。古くからのリピーターのお客様の中には、数多くの日本初演を聴いてきたというような、かつての現代音楽フリークのような方までいらっしゃいます。

 都響は、第3代音楽監督だった若杉先生時代の非常にチャレンジングなプログラムを、お客さんがそのまま引き継いできていて、新しいものに対する警戒感が案外少ない部分もあるように思います。聴衆は時間をかけて、良さも分かってくる。1月の公演も、少しずつですがお客さんも増えてきていますので、継続的に取り上げている意味も理解されてきているのかもしれません。またこのシリーズでは、作曲家の別宮貞雄先生にプロデュースをお願いすることで、客観的にも意義深い企画になったと思っています。

 それぞれの楽団さんが工夫されて、普通のプログラムに1曲だけ現代物入れたり、組み合わせを工夫されていますよね。最初は警戒感があったりすると思いますし、もう懲り懲りだと思って二度と来ないという心配もあり、多少苦労すると思うのですが、うまくそういうのを育てていけばという気持ちはあります。

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◆聴き手がいろいろなチョイスが可能

司会(唯野): こうしていろいろなお話をうかがっていると、私たちの身近にあるオーケストラが、それぞれに工夫し、魅力ある公演を数多く提供していることがよくわかります。日頃なかなか聴けない作品や、これから世界に羽ばたく若い才能など、注目すべき公演も多いですね。

安江(新日本フィル): 東京だといろいろなチョイスが可能じゃないですか。同じ日にぶつかってしまうコンサートもありますが、お客様の立場からすると、あるいはちょっと興味持っている人からすると、これだけ選べる場所にいる人たちって本当にうらやましい。

 私は名古屋出身で、しかも実家は中心部から離れているので、クラシックのコンサートに行こうと思っても簡単に行けないし、あったとしてもやはり良い物が集中してくるという環境ではなかった。だから、ちょっと僕にとってはうらやましいな。東京や近郊に住んでいる人たちがうらやましいなと思うのは、ちょっと調べてちょっとその気になれば、手が届く場所にそういう物がある。お客様にもそういうチャンスが毎日あることを知ってもらえたらなと思います。

法木(読響): クラシック音楽の演奏会って、その場にいてその瞬間しか共有できない、一瞬で過ぎ去っていく刹那みたいなのを味わうのが醍醐味かなと感じているんです。同じ〈新世界〉という曲を何回も聴いても、指揮者によっても違うし、ホールによっても違う、聴くお客さんの状態によっても、会場の雰囲気によっても聞こえ方が違う。そういう楽しみ方、味わい方があるんですよ、ということを知っていただけたらと思います。

司会(唯野): そうですね。ぜひ在京オケの演奏会のなかから気に入った公演をみつけていただき、そういったクラシック音楽ならではの楽しみ方も感じていただけたらと思います。

(次回に続く)


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2010-11-22 19:29 この記事だけ表示

◆欧州名門へデビュー重ねる29歳ヤクブ・フルシャが披露演奏会〜都響

福地(都響): 11月はインバルのブルックナー交響曲第6番が注目です。ブルックナーは5番、8番に続いて、今月末に6番、来春3月には9番、その後2番と続きます。マーラー指揮者、ブルックナー指揮者という言い方で言えば、インバルはマーラー指揮者というイメージが強いかもしれませんが、ブルックナーでも多くの名演をつくってきました。8番では、インバルのこだわりで第1稿(初稿)を使用しましたが、非常に新鮮でスケールの大きな演奏でした。インバルの指揮も精彩で緻密な部分とともに、オーケストラから雄大な流れを引き出す力が素晴らしく、これが「ブルックナーの田園」とも呼ばれる第6番でも聴きどころではないかと思います。ソロ・コンサートマスターの四方恭子が奏でるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番との組み合わせで、艶やかな音楽をご堪能いただけます(第706回定期演奏会 11/29 東京文化会館第707回定期演奏会 11/30 サントリーホール)。

 さらに注目いただきたいのが、12月のフルシャのプリンシパル・ゲスト・コンダクター就任披露公演です。チェコものがメインで、サントリーホールではドヴォルザークの《フス教徒》、スメタナの交響詩《ブラニーク》、マルティヌーの《リディツェへの追悼》、ヤナーチェクの《グラゴル・ミサ》と、チェコの歴史に基づいた曲ばかりです。(第708回定期演奏会 12/14 サントリーホール)東京文化会館ではマルティヌーの交響曲第3番を取り上げます(第709回定期演奏会 12/20 東京文化会館)。

 ご本人からはチェコものばかりでなく幅広いレパートリーをやりたいという希望もあるのですが、同時にチェコの隠れた名作を、それこそ伝道師的な使命でやりたいという想いもあり、ぜひマルティヌーを紹介したいと。マルティヌーは、チェコでの評価ほど日本ではまだまだ評価されていない作曲家だと思いますので、ぜひ、ご注目いただきたい。

 1月の定期演奏会は、別宮貞雄プロデュースとして毎年、日本人の作品と海外の作品を組み合わせてやってきましたが、その最終シリーズ第11回、12回では、指揮にヨナタン・シュトックハンマーが登場します(第710回定期演奏会 1/18 サントリーホール第711回定期演奏 1/24 東京文化会館)。現代物も得意で、フランク・ザッパの録音など幅広い分野で活躍する気鋭で、都響へは初登壇なのですが、権代敦彦、田中カレン、西村朗の最先端の作品と、ジョリヴェ、M・A.ダルバヴィを集めた演奏会となります。作品は協奏曲が中心で、ピアノの向井山朋子、永野英樹、サクソフォンの須川展也、そして当楽団首席チェロ奏者の古川展生といった多彩で魅力的なソリストを迎えて、古典的な協奏曲とは一味違った独奏の妙技を楽しんでいただけるのではないかと思っています。


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2010-11-22 19:24 この記事だけ表示

◆現代作品の紹介には、確かな吟味と積み重ねの努力が必要

司会(唯野): 都響さんの現代の作曲家シリーズは長く続いているものですが、それ以外でも、新作が取り上げられる機会が最近多いように感じます。東京フィルさんが1月に望月さんの新曲を披露しますが、新日本フィルさんも9月に望月さんをとり上げて、読響さんは1月に池辺さん。現代音楽に対しての聴衆の反応ですとか、実際現場にいらっしゃって、そのあたりはどうお感じですか?


福地(都響): 《日本管弦楽の名曲とその源流》 シリーズの以前から、都響は毎年1月の定期で現代日本の管弦楽作品を取り上げてきた実績があり、他にもサントリー芸術財団の「作曲家の個展」やCD録音などで現代作曲家の作品を数多く演奏してまいりました。古くからのリピーターのお客様の中には、数多くの日本初演を聴いてきたというような、かつての現代音楽フリークのような方までいらっしゃいます。

 都響は、第3代音楽監督だった若杉先生時代の非常にチャレンジングなプログラムを、お客さんがそのまま引き継いできていて、新しいものに対する警戒感が案外少ない部分もあるように思います。聴衆は時間をかけて、良さも分かってくる。1月の公演も、少しずつですがお客さんも増えてきていますので、継続的に取り上げている意味も理解されてきているのかもしれません。またこのシリーズでは、作曲家の別宮貞雄先生にプロデュースをお願いすることで、客観的にも意義深い企画になったと思っています。

 それぞれの楽団さんが工夫されて、普通のプログラムに1曲だけ現代物入れたり、組み合わせを工夫されていますよね。最初は警戒感があったりすると思いますし、もう懲り懲りだと思って二度と来ないという心配もあり、多少苦労すると思うのですが、うまくそういうのを育てていけばという気持ちはあります。


安江(新日本フィル): クリスティアンと話していて「へぇ〜」と思うのは、かれは「初演」というものを気にするんですね。日本で初演なのかどうかとか。ヨーロッパでは初演や新しいものへの興味が日本よりも強くて、音楽監督が期待するような盛りあがり方が日本で見られないというのは、残念だと思っている節はありますね。

 彼が就任してからずっと積極的に、海外で喜ばれているいい作品、彼自身もそう思っている作品を紹介し続けてきましたが、もちろん、われわれ制作側もその作品をやるかやらないか、相当吟味します。

 以前は聴く前に「げっ・・・」という感じもなきにしもあらずだったのですが、聴衆の現代音楽に対する興味は以前よりも高くなっているように感じます。いまは「この曲はよかったね」とか、お客様が自然と会話できるような雰囲気が感じられるようになった。そういう意味ではお客様も楽しめるようになってきたのかなという気はします。

 私の考えですが、積み上げて、そういう信用を勝ち得るしかない。現代音楽をやりますとは言ってなくて、テーマを決めてプログラミングする、としか言ってなかったのですが、その中に自ずと現代物が入ってくる。時代差としては300年以上もある、ということや組み合わせのおもしろさを伝えていたわけですが、いい現代音楽も悪い現代音楽もある中、いい現代音楽の打率を高めるというか、「このオーケストラのとり上げている現代音楽はいいだろう」、という信用をどう勝ち取るかということに尽きる。

 音楽は文字で伝えることが難しいですが、それでも文字で伝えなきゃいけないことがあるとなれば、違う切り口で攻めてみる。例えば、作品の背景、こういう哲学が後ろに流れている、こういう歴史的な事象がある、といった部分から紹介したり、クリスティアンがプレ・トークをやっていますので、実際の音をまじえつつ、あまり分析的になりすぎず、音楽を楽しむ醍醐味の部分を教えたり、楽しむためのヒントを与えるくらいな感じでやっています。


司会(唯野): 都響さんの「別宮プロデュース」では、作曲家の権代敦彦さん、西村朗さんのプレ・トークもありますね。そちらも楽しみです。


大久保(読響): 定期会員になってシリーズを聴くなかで、毎回入れるのはきついですが、たまに一つ二つチャレンジングな曲目をやったり、知られていない現代曲があるという方がお客様にも違った楽しみ方をしていただけるので、トータルとしてオーケストラを愛してもらうためにはいいのかなあと。カンブルランが常任指揮者に就任したことでもっと現代物をやってくれと言う声はありますし、もちろん楽団としても、新しい創作物の立場にかかわってくことも必要だと考えますが、一方で一部コアなファンだけが楽しむものにはなってはならないと思います。やはり今はカンブルランを知ってもらうことを含めて、クラシック音楽ファンの底辺を広げてからではないかなとも思います。


法木(読響): ヨーロッパのオーケストラが、この11月、ウィーン・フィル、ロイヤル・コンセルトへボウ管、ロンドン響など、すごい指揮者と来て、超名曲がずらりと並ぶ。外国の伝統あるオーケストラは日本に来るときは名曲をもってくるけれども、本当は彼らも自分たちの国では、われわれと同じような活動をしている。名指揮者もいれば若手も使う、クラシックのマスターピースもやれば、新しい音楽を耕す活動もしている。実は同じことをやっているだけなんです。日本の音楽文化の一員として演奏者もいて、聴衆もいるなかで、その活動としてやっているわけですから、何も特別なことではない、ということを感じていただけたらいいかなと思いますね。


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2010-11-22 19:22 この記事だけ表示

 もはや伝説と言ってもよい、元祖「3大テノール」、ルアチーノ・パヴァロッティ(故人)、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスのひとり、プラシド・ドミンゴが、また日本のファンの前でその美しい歌声を披露する。しかも今度は、多くのファンが長いあいだ待ち望んでいたリサイタル。ドミンゴファンのみならず、多くのクラシック音楽ファンにとって、たまらない一夜となりそうだ。

 1990年、ワールドカップ・イタリア大会の前夜祭として開催された伝説的なコンサート『3大テノール 世紀の競演』は、世界50ヶ国以上で放映され、8億人以上がその歌声に酔いしれた。その感動は舞台を移し、日本でも1996年、国立競技場に6万人の聴衆を集め、その後も東京ドームで、そして、横浜アリーナで、それぞれ5万人を超える聴衆を圧倒した。あれから20年余りの時が過ぎ、69歳となった今もオペラの舞台で歌うだけでなく、歌劇場の監督として指揮台にも上り、そして異分野のアーティストとの競演など一線で活躍を続けるドミンゴは、いまなお世界最高のオペラ歌手と言っても過言ではないだろう。

 ドミンゴの歌声の魅力は、いつまでも若々しく甘く艶のある、張りのあるドラマチックな表現力にある。2010年初頭にはオペラの上演で来日したが、生粋のオペラ人は年齢を微塵も感じさせない歌唱と演技で、私たちの心を魅了した。

 もうドミンゴの歌声を日本で聞けるのは最後かもしれない、との思いで会場に詰めかけたファンも多かったと思うが、そこへ、まさかのリサイタル決定だ。オペラと違い、古今東西の名曲やオペラの名アリアの数々が披露される。歌手は歌うことに集中でき、聴衆もその歌声に集中できる。そして、表情さえも間近で感じることができる。オペラ界の至宝と言うよりも、人類の宝とも言うべきドミンゴの7年ぶりのリサイタルは、多くのクラシック音楽ファンへの、とっておきのプレゼントとなることだろう。

 サポートするのは、長年ドミンゴのリサイタルやCD録音に欠かせない存在となっている指揮者のユージン・コーンと日本フィルハーモニー交響楽団。そして近年ドミンゴと多くの舞台をともにするソプラノ歌手アナ・マリア・マルティネスが共演、息のあった名演が期待される。

 公演を前に、2011年新春には、Livespire『3大テノール 世紀の競演〜特別上映版』が全国の劇場で公開される予定だ。 当時を知るオペラ・ファンには再び感動を呼び覚ますものとなるだろうし、当時を知らない若いクラシック音楽ファンには、ぜひ当時の熱狂を知ってもらい、変わらないその歌声の魅力に直接、生で触れてほしい。

(文:唯野正彦)

2010-11-02 17:14 この記事だけ表示

 バイエルン国立歌劇場管弦楽団、ベルリン・フィル定期演奏会へのデビューが決まるなど、ドイツを拠点にますます活動の場を広げる指揮者佐渡裕が、イギリスの名門BBCフィルハーモニックとともに初の凱旋公演を行う。ソリストにヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝で注目を集めるピアニスト、辻井伸行が同行するなど、佐渡、辻井両ファンにとって聴き逃せない公演だ。


 2007年の客演以降、定期的に指揮台に招かれるなど、関係を深めつつある佐渡裕&BBCフィルのコンビが、ついに日本にやってくる。

 兵庫県立芸術文化センターでのオリジナリティあふれる企画や、シエナ・ウインド・オーケストラとの活動、そして、TV『題名のない音楽会』などを通じての教育活動など、師バーンスタイン譲りの熱血ぶりを発揮している佐渡裕だが、海外のオーケストラとの活動については、演奏評やCDなどで漏れ伝わってくるだけで、これまで実際に日本で披露されることはなかった。
 ようやく実現した今公演で披露される曲には、ベルリオーズの《幻想交響曲》とドヴォルザークの〈新世界より〉が選ばれた。なかでも〈新世界〉は、2008年、たびたび招かれているベルリン・ドイツ交響楽団の定期演奏会で指揮、その様子はCDでも聴けるが、終演後オケのいないステージに何度も呼び戻されカーテンコールを受けるなど、火の出るような一糸乱れぬアンサンブルでドイツの聴衆に強い印象を与えた圧倒的な名演が記憶に新しい。また、《幻想》はフランスの名門オケ、パリ管弦楽団と2002年に録音、兵庫芸術文化センターオープニングでも取り上げた。どちらも佐渡が最も得意とする作品と言ってもよく、高い機能性を誇るBBCフィルの味を最大限に引き出すには最適の作品で、佐渡の今公演にかける意気込みが伝わってくる。

 今回のツアーで忘れてならないのが、ピアニスト辻井伸行との競演だ。2002年、佐渡が首席指揮者を務めるパリ・ラムルー管弦楽団と共演したのを皮切りに、2008年には、コンクールでも話題となったラフマニノフの協奏曲のCD録音で共演するなど、辻井にとって佐渡は最大の理解者であり、深い信頼を寄せる存在だ。辻井伸行の“いま”を聴くには最良のコンビだろう。披露する作品は、コンクール、CDで話題となったラフマニノフと、ピアノ協奏曲の名曲中の名曲、チャイコフスキーだ。
 すでに発売された関西の公演はそのことごとくが完売という人気公演だけに、チケット争奪戦となるのは間違いないだろう。

(文:唯野正彦)

2010-10-25 19:08 この記事だけ表示

 今秋、ついに最後の来日を果たす巨匠アーノンクールとウィーン・コンツェントゥス・ムジクス。彼らの来日公演に向けてこの唯一無二のコンビと、アーノンクールの目指した音楽について皆様に紹介してきました連載も今回が最終回。アーノンクールの貴重なインタビュー映像が登場します!

KAJIMOTO

T.誕生 〜まずは楽器を探す旅へ…

U.アンサンブルの秘密 〜演奏技法へのあくなき挑戦



V.アーノンクールの思いの全てを語る

アーノンクール自身が語る、最後のツアーへの思い、そして前回の日本公演の思い出とは・・?

まずは、貴重なハイドン「天地創造」のリハーサル風景と共にどうぞ。


さて、それぞれのプログラムについて。

バッハ:「ロ短調ミサ」

バッハが最後に作曲した世紀の大作。この曲こそ、教会音楽の範疇を超え、すべての人に向け、すべての人のために祈られる音楽。「マタイ受難曲」とともに西洋音楽の頂点に立つ大伽藍。モーツァルトもベートーヴェンも、ショパン、シューマン、ブラームス、ワーグナー・・・ 皆バッハを知って大作曲家になったのだ。

この世の平安を勝ち取ろうとする、感動的な崇高さを持った「ロ短調ミサ」。アーノンクール&CMWも折にふれて取り上げてきた、大切な一曲。
音楽界の惰性を排し、真実への道を切り拓くために戦ったアーノンクールの思いと祈りを分かち合わんことを!


ハイドン:「天地創造」

“交響曲の父”“弦楽四重奏の父”など、あらゆる面で後世に多大な影響を与えた作曲家、ハイドン。アーノンクール曰く、「その人生の全てが込められた」曲。これは大きな意味での生命賛歌であるようにも聴こえる。
冒頭の混沌から、「光あれ」の言葉と共に響く圧倒的なハ長調!そして生命の光の強さを想起させるほどのまばゆいティンパニの響き!しばらくすると、水の中の生き物、そして空を飛ぶものが生まれゆく。地上に生命が満ちていくのだ。耳を澄ませてみて欲しい。木管楽器の流れるメロディと、それに寄り添う合唱から、波立つ海原と、その上を群れになって飛ぶ鳥たちの姿が見えてくるようだ!
この曲は我々に、人間、そして生命が“生きる”ということを芸術で示した、素晴らしい作品なのだ。


モーツァルト:交響曲 第35番「ハフナー」、セレナード 第9番「ポストホルン」

2006年来日時の「レクイエム」の名演から4年。
アーノンクールのライフワークの柱であるモーツァルト作品から、最後の日本公演のために惜別の意味を込めて選んだ2曲が演奏される。
アーノンクールのモーツァルトは1970年代から、他のアーティストの流麗な演奏とはあまりに違ったスタイルで物議を醸してきた。フォルテとピアノの極端な対比や、強烈なアクセントが頻発する「ジュピター交響曲」然り、「フィガロの結婚」然り・・・
皆、従来のモーツァルト観を覆すものだった。しかし、これらの意欲に満ちた独創的表現は、モーツァルトの音楽に本来備わっているものを引き出したものだ、ということを、今や世界はアーノンクールの指揮から納得させられることになったのだ。
マエストロが指揮するモーツァルトの管弦楽作品が、日本で聴ける最初で最後のこの機会。



いかがでしたでしょうか。
いよいよ今週、アーノンクールが来日します!
二度と訪れることのない世紀の瞬間を、どうぞお聴き逃しなく!

【お知らせ】
先日公募しました「アーノンクールと私」エッセイの一部を公開しています。

>>拝啓 ニコラウス・アーノンクール様

皆さんの心にも特別な思い出が残ることを願って・・・。


2010-10-22 13:12 この記事だけ表示

【南紫音 公式サポーターズクラブ開設】
登録無料・メールアドレスのみで登録できる南紫音 公式サポーターズクラブが開設!!

>公式サポーターズクラブ

来年1月に行われる【南紫音 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル】では、サポーターズクラブでしか購入できない特別席<プレミアムシート>と<カジュアルシート>を限定にて販売するなど、サポーターズクラブならではの特典を予定しています! この機会に是非、公式サポーターズクラブにご登録いただき、お申込みください。


南紫音 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル
公式サポーターズクラブ先行

【公演情報】
会場:トッパンホール (東京都)
公演日:2011/1/22(土)開場 15:30 開演 16:00
料金:全指定席 ¥5,000

【受付期間】
2010/10/16(土)12:00〜10/24(日)18:00
>お申込はこちら

■プレミアムシート ¥7,000
・前方2列のセンター、もしくは中通路後ろのセンターのみの良席
・サイン入りオリジナル卓上カレンダー付
・プレミアムシート購入者に限り、公演終了後のトークイベントにご参加いただけます。

■カジュアルシート ¥3,000
・後方になりますが、通常よりお安いお席です。

<お問合せ>
南紫音 公式サポーターズクラブ事務局
shionfc@gmail.com

2010-10-19 11:26 この記事だけ表示

「めざましクラシックス」、「12人のヴァイオリニスト」、「バギーコンサート」に「ちさ子の部屋」などなどあらゆる企画で、多くの人々にクラシック音楽を届け続ける高嶋ちさ子。この10月も大忙しです!

★高嶋ちさ子出演公演リストはこちら


高嶋ちさ子さんからのメッセージ

めざクラは今年で14年目!信じられませんね。王子ホールに、サントリーホール、全国各地で開催中のめざクラですが、ヨコハマ公演は、なんと今年で10周年!10月6日にヨコハマみなとみらいで、スペシャルゲストに元ちとせさんをお迎えしてお贈りします。元ちとせさんとめざクラは初めてのコラボなので楽しみです!

そして、10月10日には、高嶋ちさ子新企画、「ちさ子の部屋」。第1回目のゲストにつんく♂さんをお迎えします。つんく♂さんの思い出の曲や聴いてみたいと思うクラシック曲をピックアップしてもらいました。そして、つんく♂さんとの共演もあります!コンサートメインなのか、トークメインなのか!?
ぜひ新しい形の「高嶋ちさ子」コンサートを体験してみて下さい。

こんな感じで、毎日過労死寸前で頑張っています。けど、なにが一番大変かというと、やっぱり子育て。世の中のおかあさんって本当に偉い!心から尊敬します。
そんなおかあさんと子供たちのために、10月11日バギーコンサート体育の日スペシャル!クラシックと体育の日のコラボって!!!新しいと思いませんか?思いっきり身体を動かし、そして音楽を感じて、日頃の色々を発散させてください!

他にも年内、全国飛び回って頑張ります!どの入り口から入ってもいい!ぜひ一歩足を踏み入れて、クラシック音楽を色んな形で楽しんでみてください。


2010-09-28 19:16 この記事だけ表示
 いよいよ来月に来日公演が迫る上岡敏之とヴッパータール交響楽団。e+では、公演で 演奏される曲目を収録した彼らの待望の新譜をさっそく入手いたしましたので、コン サートのご紹介も兼ねてレヴューさせていただきます!


 まずはワーグナー作品を集めたアルバム。冒頭にめったに演奏されない初期の傑作 『ファウスト序曲』、そしてワーグナー畢生の大作『ニーベルングの指環』からの管 弦楽曲集が収録されています。『ラインの黄金』から『神々の黄昏』までの四作から 大づかみに筋書きが追えるような曲目はなかなか魅力的です。

 肝心の演奏は、いずれも実にドラマティックなもの。上岡が聴かせる『ファウスト序 曲』は、その真価が十全に発揮されたもの。神秘的な雰囲気もあり、全体の構成もよ く考えられたこの演奏を聴けばこの曲がロマン派の隠れた傑作であることがわかるは ず。

 そして『ニーベルングの指環』からの管弦楽曲集は、前回2007年の来日公演を聴いた ファンが夢見たプログラム。話題を呼んだブルックナーでも感じられた自然な呼吸は 実にお見事、そして美しいだけではない雄弁な語りは楽劇の場面を思いださせてくれ ます。「魔の炎の音楽」や「ジークフリートの葬送行進曲」のような劇的な場面のみ ならず、「森のささやき」のような描写からも感じられるドラマは日頃からオペラを 演奏している指揮者とオーケストラならではのもの。ますますコンサートでの演奏が 楽しみになりますね!

 なお、コンサートではCDに収録された作品に加え、ワーグナー作品の中では異色と言 える、室内楽的なジークフリート牧歌が演奏されます。神秘的、劇的な作品とは一線 を画すこの曲が果たしてどんな演奏になることでしょう…

 そしてもう一枚は、今年生誕150年を迎えたグスタフ・マーラーの交響曲第五番。ほ ぼ一般的な約70分で演奏されていますが、その時間以上に実が詰まって感じられる演 奏でした!オーケストラの名人芸を見せるだけでは終わらないこの演奏、この曲を何 度も聴いた人にこそオススメです!

 特に気になる第四楽章のアダージェットは、ニュアンス豊かな弱音の歌が印象的な演 奏でした。耳元でささやくような歌の美しさには耳をそばだてずにはいられません!

 他の楽章も聴かせどころにはこと欠きません。第一楽章の葬送行進曲と第二楽章の嵐 のように荒れ狂う音楽の対比、第三楽章の多彩な表情が楽しいスケルツォもお見事。 アダージェットに続くロンド・フィナーレの、アダージェットで提示された主題が変 形されながら高揚していくさまはもう圧倒的の一語!これまではそれほど多くマー ラーを演奏していないとのことですが、マーラーと同じオペラ指揮者だからか、雄弁 な演奏は実に説得的でした!!


 以上二タイトルのレビューでした。いずれもSACDハイブリッド盤でのリリースですか ら、どちらのディスクも非常に明瞭で雰囲気のある良い録音でした。音楽のちょっと した表情からオーケストラ全体のフォルテッシモまできっちりと聴き取れるこの二枚 は現在の上岡&ヴッパータール響を知るのに最適のものかと思います!

 ですが、ステージ上の彼らの息づかいや音楽の表情はライヴでなければわからない。 それにいつも生きた音楽を聴かせてくれる彼らのことですから、コンサート会場で鳴 り響くライヴはまた別の音楽となること間違いなし。コンサートに行く前にCDを聴い て予習するもよし、また公演のあとにコンサートの思いでとして聴くもよし、ぜひこ の機会に彼らの演奏に触れてみてください!
【e+MOVIE】演奏映像と9月に発売されたアルバムのPVが到着!!
2010-09-27 15:47 この記事だけ表示

 今秋、ついに最後の来日を果たす巨匠アーノンクールとウィーン・コンツェントゥス・ムジクス。彼らの来日公演に向けてこの唯一無二のコンビと、アーノンクールの目指した音楽について皆様に紹介していきたいと思います。
 数回に分けた連載の中では、アーノンクールの貴重なインタビュー画像も登場予定!
ぜひご期待ください!

KAJIMOTO

T.誕生 〜まずは楽器を探す旅へ…



U.アンサンブルの秘密 〜演奏技法へのあくなき挑戦

結成からデビュー・コンサートまで4年もの歳月が・・・
 アーノンクール&ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(CMW)の活動は、“理想主義者”“風変わり”“奇天烈”などと、あらゆる言葉から見て取れるように、まさに“賛否両論”の嵐を巻き起こした。
 と言うのも、CMWが楽壇に現れた1950年代のヨーロッパにおける、バロック・古典音楽の演奏の主流は、まさにロマン的なもので、(ブラームスやワーグナーを演奏するように)それぞれの音符をソステヌートで演奏することが良しとされていた時代だった。そこへ9人の“風変わりな”ウィーン人が現れ、鐘の音のように音を膨らませたり収束させたりと、それまで聴いたことのない“妙な”アーティキュレーションで演奏したのである。彼らは「古楽」や「歴史的な楽器」を対象とした学術体系が全く確立していなかった時代に、まさに手探りでその演奏法を研究し、実践していった。
 余談であるが、アーノンクールは著書の中で、数百年にわたる歴史の中で、楽器や演奏方法がこれだけ変化してきたことにもかかわらず、楽譜の記譜法についてはほとんどと言っていいほど変化がないことを嘆いている。そのためCMWは、独特の記号で楽譜に注釈を入れて演奏したのである。
 従って、CMWの結成から第一回演奏会までの間に4年と言う歳月がかかったことは全く不思議ではないのだ。この4年の間、彼らは古楽の演奏方法をただひたすらに研究し、試していた。“何が正しいか”という規範のない時代、彼らにとって演奏会は生き生きとした「試作活動」の表現の場であったのだ。そして、そのことは演奏会批評でも高く評価されたのである。このようにアーノンクール&CMWは古楽のパイオニアであった。


「休憩だ!」・・・真実を追求するあくなき練習
 彼らのアンサンブルを支える大きな要素は、何と言っても人間関係である。通常のオーケストラでは、弦楽器と管楽器、あるいは金管楽器と木管楽器の間に溝や上下関係が存在するケースが多いが、元々9人の集まりで始めた彼らのアンサンブルには、結成当初から一切の序列が存在しなかった。“音楽のオリジナルな姿”という未知に対峙する緊張感と、あくなき努力によって支えられた集中力。それらを総動員した演奏活動は、全員の合意の上にあるものであった。
 そしていつもその中心にいたのが、アーノンクールだった。彼の練習へのあくなき追求は計り知れず、当時のメンバーに言わせると、彼は必要性を訴えられるまで休憩をほとんど取らなかったという。現代のオーケストラでは、ほとんどのオーケストラが、1時間のリハーサルに対し、10〜15分の休憩を取るというルールが決まっている。ときには、それは指揮者が求める練習時間よりも優位に立つ鉄則(!)なのだ。しかし、彼は違った。一日中練習が続こうと、何時間かかろうと、練習を止めなかったのである。次々と現れる膨大な古楽作品の山に対し、自分たちが使う未知の楽器群でどのようにアプローチしていくべきか、どう仕上げていくべきかを考えると時間はいくらあっても足りなかった。そこで、練習は度々団員からの「休憩だ!」という号令によって止められることとなった。団員はそうしなければ止められないことを分かっていたし、アーノンクール自身もそうしてもらわなければ止まらないことを分かっていたのである。このように、お互いの役割を分かりあっていたからこそ、その間に衝突は起きなかった。
 そう、彼らは音楽的な「家族」というつながりで結ばれていたため、どんなに音楽的な議論が激しくなろうとも、彼らが相対することはなかったのだ。


いかがでしたか?
次回は、いよいよアーノンクール登場です!
巨匠が遂に最後の来日公演へ向けた思いを語ります。


また、アーノンクール最後の来日記念、「アーノンクールと私」というエッセイを大募集!
アーノンクールの音楽と出会って受けた衝撃、影響を与えられたこと、ひいてはあなたの人生がどう変わったか、等々どんなことでも結構ですのでぜひお書き下さい。たくさんのご応募、お待ちしております。⇒詳しくはKAJIMOTOホームページへ!!

2010-09-10 20:05 この記事だけ表示